IBM QRadar SIEM の脆弱性 CVE-2025-0164:権限昇格によるコンフィグ・ファイル改竄の恐れ

IBM QRadar SIEM Vulnerability Allows Unauthorized Actions by Attackers

2025/09/15 gbhackers — IBM QRadar SIEM の権限に関する脆弱性により、適切な権限を持たないローカル・ユーザーが、コンフィグ・ファイルを変更できる可能性が生じている。この脆弱性 CVE-2025-0164 は、重要なリソースに対する権限の割り当て不備に起因し、導入済みのセキュリティ監視環境の整合性が損なわれる恐れがある。すでに IBM は、暫定修正をリリースしており、管理者に対して速やかな適用が強く推奨されている。

脆弱性の概要

IBM QRadar SIEM は、セキュリティ情報/イベント管理のソリューションであり、セキュリティ・イベントの収集/分析/保存に広く使用される。そのバージョン 7.5.0 Update 13 Interim Fix 01 に存在する不適切な権限割り当てにより、権限昇格を得たローカルユーザーが、機密コンフィグ・ファイルにアクセスし、変更できる可能性が生じている。

CVE IDDescriptionCVSS Score
CVE-2025-0164Local privileged user may perform unauthorized actions on configuration files due to improper permission assignment.2.3

このような不正な操作により、ログ・パラメータの変更や、特定の検出ルールの無効化、そして、標準的なセキュリティ制御を回避する悪意のパラメータの挿入が生じる可能性がある。なお、この脆弱性は、リモートからの直接的な悪用はできないが、資格情報の窃取や権限昇格により、攻撃者がローカル特権アクセスを取得した場合には、そのリスクが大幅に高まる。

この脆弱性の CVSS ベース・スコアは 2.3 と評価されており、全体的な影響は低いとされる。しかし、管理者が意図せずに、セキュリティ体制を弱体化させる可能性は無視できない。この脆弱性の悪用は、システム上の高権限ユーザーが前提とされるため、リモート攻撃へと対象領域は拡大されないが、資格情報の窃取や権限昇格により、攻撃者がローカル特権を取得した場合には、重要な検知機能の不正な操作にいたる可能性がある。

主な懸念は、イベント収集とルール適用を制御するコンフィグ・ファイルの改竄である。それを悪用する攻撃者は、QRadar が検知するはずの悪意の動作の隠蔽や、ログ・リダイレクトによる痕跡の隠蔽などを可能にする。

すでに IBM は、QRadar SIEM バージョン 7.5.0 向けに暫定修正パッケージをリリースし、CVE-2025-0164 に対応している。したがって管理者は、Update 13 Interim Fix 02 へと更新し、ファイル権限設定を修正する必要がある。

公式の暫定パッチの適用以外には、回避策や緩和策は存在しないため、IBM のセキュリティ情報通知への登録により、今後のパッチやアドバイザリの情報を把握することが不可欠である。

定期的なシステム監査とファイル整合性の監視により、コンフィグ・ファイルへの不正変更を検出すべきである。また、特権アカウントの付与を、信頼できる管理者のみに限定し、認証情報を頻繁にローテーションすることで、悪用の機会を減らすことが可能になる。

多層防御の維持は、依然として重要である。SIEM ソリューションはセキュリティ監視の中核をなすが、エンドポイント保護/ネットワークセグメンテーション/厳格なアクセス制御などによって補完する必要がある。一貫したパッチ管理と積極的なインシデント対応訓練を組み合わせることで、コンフィグ・ベースの欠陥と、高度な侵入に対する耐性が強化される。