Apache Syncope Groovy Flaw Allows Remote Code Injection
2025/10/21 gbhackers — Apache Syncope が公開したのは、認証済み管理者にシステム上での任意のコード実行を許す深刻なセキュリティ脆弱性の情報である。この脆弱性 CVE-2025-57738 が影響を及ぼす範囲は、Apache Syncope のバージョン 3.0.14 未満/4.0.2 未満であり、悪意の Groovy コードの注入によるシステム侵害の危険性がある。

脆弱性の詳細と攻撃メカニズム
Apache Syncope の管理者は、Java/Groovy コードのアップロードによりコア機能を拡張できるが、そのカスタム・エンジンの実装に脆弱性が存在すると、研究者たちは報告している。
Java 実装の場合にはコンパイル済み JAR ファイルが必要になるが、Groovy 実装はソースコードをアップロードし、実行時にコンパイルしてホット・リロードできるという、実装方法の違いがある。
この深刻な欠陥の原因は、サンドボックス制限やセキュリティ制御なしで、Groovy コードを実行する点にある。Syncope のパッチ未適用のバージョンはプレーンな GroovyClassLoader を使用し、Syncope Core プロセスと同じ権限で、管理者が提供する Groovy コードをコンパイル/実行する設計となっている。
この設計上の欠陥により、管理者権限を持つ攻撃者は悪意の Groovy コードを注入して、任意のコマンド実行/ファイルシステム操作/環境変数の検査/ネットワーク操作といった危険な操作を可能にする。
つまり、この悪意のコードは、Syncope を実行している OS のユーザー・アカウント (通常は syncope ユーザー/コンテナ・ユーザー) 権限で、サーバ側で実行されることになる。
この脆弱性を悪用する攻撃者は、Syncope テナント内での管理者権限または、委任された管理者権限を有している必要がある。具体的には、Groovy 実装を作成/更新し、レポートなどのエンジン・フックを介して、その実行をトリガーする権限が求められる。
したがって、対象となる攻撃者は特権ユーザーに限定されるが、侵害された管理者アカウントや悪意のインサイダーであれば、この脆弱性を悪用して Syncope デプロイメントを完全に制御できる。
この脆弱性の悪用が成功した場合の影響は深刻である。攻撃者は任意の OS コマンドを実行し、サーバ・ファイル・システム上で任意のファイルを作成/変更し、資格情報や構成秘密などの機密データを窃取できる。さらに、ネットワーク・セグメンテーションやコンテナのセキュリティ対策に不備があれば、ホスティング環境内の他システムへの攻撃につながる可能性もある。
N3mes1s が提供している PoC デモが示すのは、単純な “Runtime.exec” 呼び出しと、より高度な ProcessBuilder 実装を通じて、マーカー・ファイルの作成やシェルプロセスの生成といった、コマンド実行が可能になることだ。
| CVE ID | Product | Affected Versions | Severity |
| CVE-2025-57738 | Apache Syncope | 3.x (before 3.0.14), 4.x (before 4.0.2) | Critical |
すでに Apache は、パッチ適用済みバージョン 3.0.14/4.0.2 のリリースにより、危険な操作をブロックする Groovy サンドボックスを導入している。したがって、影響を受けるバージョンを実行している組織は、直ちにアップグレードする必要がある。この新しいサンドボックス実装により、Runtime.exec/ProcessBuilder/無制限のファイル入出力操作などの危険な API への、悪意のコードによるアクセスを防止できる。
セキュリティ・チームにとって必要なことは、HTTP ログを監査し、”/syncope/rest/implementations” への POST リクエスト、GROOVY エンジンを参照する実装更新エンドポイントへの PUT リクエスト、ならびに、不審なレポート作成/実行アクティビティを検出することだ。
また、ファイル・システム監視により予期しないファイル作成を検知し、プロセス監視により Syncope Java プロセスからの異常な子プロセスを検知することで、進行中の悪用試行を発見できる。
この脆弱性の原因は、管理者がアップロードした Groovy コードを、Syncope がサンドボックスなしで実行時コンパイルし、コアと同じ高権限で動かすというた設計にあります。つまり、侵害された管理者アカウントのレポートなどのフックから、任意コード実行に到達します。ご利用のチームは、ご注意ください。よろしければ、Apache で検索を、ご参照ください。
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