イラン戦争における Anthropic と米軍:Claude で実施された作戦と OpenAI の動き

US Military Reportedly Used Claude in Iran Strikes Despite Trump’s Ban

2026/03/02 CyberSecurityNews — 米国国防総省は、2月28日に実施されたイスラエルとの共同攻勢 Operation Epic Fury において、Anthropic の Claude AI を使用した。トランプ大統領が、Anthropic を国家安全保障上のサプライチェーン・リスクに指定し、すべての連邦機関に対して同社の AI システムの使用停止を命じたわずか数時間後に、この作戦は実施された。

2026年2月28日に、米軍の Operation Epic Fury/イスラエル軍の Roaring Lion というコードネームの下で、イランの主要な政府施設に対する協調攻撃が開始された。この作戦の標的には、核関連施設および戦略的軍事インフラが含まれていた。

Wall Street Journal/Axios/Reuters の報道によると、米国の Central Command は本作戦において Anthropic の Claude モデルを活用し、情報評価/目標識別/戦場シミュレーションを実施したという。

トランプ政権が、Anthropic を正式にサプライチェーン・リスクと宣言し、防衛契約へのアクセスを即時制限するという国家安全保障レベルの指定を行った直後に、この作戦が実施されたことが注目されている。

国防当局者は、「Claude からの完全な技術的撤退は、運用上において短期間では不可能だった」と認めている。現時点における Claude は、特定の機密系政府ネットワークに組み込まれている、唯一の AI システムであるとされる。

米軍が Claude の使用を報告

Axios によると、Anthropic と Pentagon の対立は、2026年1月のベネズエラ侵攻後に加速したという。この作戦では同国の大統領 Nicolas Maduro が拘束され、その任務でも Claude が使用されたという。この事実が、AI 開発企業と国防指導部との対立を激化させた。対立の核心は、Anthropic の許容使用ポリシーにある。

このポリシーは、以下の用途を明確に禁止している。

  • 自律型兵器システム
  • 米国市民に対する大規模監視

ペンタゴンは、民間企業の倫理ポリシーに作戦が制約されるべきではないと主張し、モデルの無制限利用を求めた。

2月26日 (木) に Anthropic の CEO である Dario Amodei は制限解除を拒否する姿勢を公に再表明した。これにより、Department of War からの圧力が強まった。

2月27日 (金) に Peter Hegseth 国防長官が発表したのは、Anthropic のサプライチェーン・リスクへの指定である。ただし、円滑な移行のため、最大で 6 ヶ月の猶予を与えると付言した。これは、Claude が機密インフラに深く統合されている現実を、事実上認めるものであった。

OpenAI の動き

その一方で、ペンタゴン発表から約 4 時間半後に、OpenAI の CEO である Sam Altman が X 上で発表したのは、Department of War と合意に達し、自社 AI モデルを機密軍事ネットワークに展開するという内容である。

Altman は、交渉においてペンタゴンが “安全性への深い尊重” を示したと述べている。この合意には、OpenAI モデルを国内大規模監視および自律型兵器に使用しない条項が含まれており、Anthropic が求めていた内容とほぼ同一である。

さらに Altman は、モデル挙動を監視する専任セキュリティ・エンジニアを、ペンタゴン内に配置すると発表した。また、Department of War に対し、防衛環境で活動するすべての AI ベンダーに同等の条件を適用するよう求めたという。

AI 業界全体に広がる緊張

しかし Anthropic は、”サプライチェーン・リスク” 指定を、裁判で争う意向を公に表明している。同社は、自社の倫理的セーフガードは任意の制限ではなく、高リスク軍事環境に最先端 AI を展開する前提条件となる、基本面での安全義務であると主張している。

同社の立場は、AI 業界全体に広がる緊張を反映している。同社は、ガードレール使用の維持を求める一方で、政府は無制限の運用裁量を要求している。

ペンタゴンのインフラから Anthropic の Claude を引き剥がして、他社に置き換えるには 3 〜 6 ヶ月を要すると、Defense One は報じている。その理由は、機密システムへの深い統合にある。この期間は、2026年半ばまで Claude の使用が継続され、保証されることを意味している。

米軍の Operation Epic Fury は、現行の大統領令による禁止措置に反して実施された、最初の AI 支援軍事ターゲティングの公的な事例となる可能性がある。この件は、AI 主導型の戦争の時代と、AI 倫理/防衛調達/国家安全保障政策が交差する方式を示す、重要な前例となる。