バイブ・コーディングによる破壊を活用すべき:UK NCSC が示唆する未来とは? – RSAC 2026

RSA Conference: UK NCSC Head Urges Industry to Develop Vibe Coding Safeguards

2026/03/25 InfoSecurity — 英国の National Cyber Security Centre の CEO が、「バイブ・コーディングによる破壊的な機会を活用すべきだ」と、セキュリティ専門家に対して呼びかけている。ただし、AI コード生成ツールが、セキュリティにとって正しい効果を生み出すためには、普及のスピードに応じた安全対策の迅速な整備が不可欠である。


2026年3月24日に、サンフランシスコで開催された RSA Conference の基調講演において、UK National Cyber Security Centre (NCSC) の CEO である Richard Horne は、AI 支援ソフトウェア開発 (Vibe Coding) の急速な普及を活用し、サイバー攻撃に対する全体的な脆弱性を低減すべきだと述べた。

Richard Horne. Source: UK's National Cyber Security Centre
Richard Horne. Source: UK’s National Cyber Security Centre

人間のレビューを伴わないソフトウェアには、脆弱性を拡散する可能性がある。その一方で、安全設計された AI ツールによるコード生成は、セキュリティの成果を大きく変革し得る。

Richard Horne は、「バイブ・コーディングの利点は明確である。常態的に脆弱性を抱える、手作業によるソフトウェア開発の、現状を打破する大きな機会である。ただし、同時にリスクも伴う。コード生成に用いる AI ツールが、意図しない脆弱性を導入または拡散しないよう、設計段階から安全性を組み込む必要がある」と強調した。

NCSC による Secure Vibe Coding の原則

同日に、NCSC の CTO for Architecture である David C は、「現時点の AI が生成するコードは、数多くの組織にとって許容できないリスクを伴う。その一方で、バイブ・コーディングは、新たなパラダイムの兆しを示している」と、ブログで指摘している。

同氏の予測は、AI によるコード生成がもたらすビジネス上の価値により、その採用が加速していくというものだ。その上で、セキュリティ専門家たちは、そのリスクに対して速やかに取り組み、ソフトウェアを安全にするための原則を組み込むべきだと指摘している。

提示された主な原則は、以下の通りである。

  • Secure by Default の統合:AI モデルは、初期状態から安全で強化されたコードを生成する必要がある。
  • Trust But Verify の採用:モデルの来歴を検証し、バックドア混入を防止する。
  • AI によるコードレビュー:人間/AI が生成する、すべてのコードを対象に脆弱性スキャンを実施する。
  • Deterministic Guardrails の導入:侵害時でもコード動作を制限する、ルールベース制御を適用する。
  • ホスティング環境の強化:AI 生成コードを含めて、すべてのコードを安全に隔離/実行するための環境を構築する。
  • セキュリティ作業の自動化:ドキュメント/テスト/ファジング/脅威モデリングを、AI により実施する。

David C は、「バイブ・コーディングの未来を待つのではなく、今すぐにガードレールを導入すべきだ。たとえば、AI を用いてレガシー (EOL 含む) アプリケーションのコードやホスティングを強化することで、技術面/セキュリティ面の負債を大幅に削減できる」と強調している。

AI の活用範囲は広いため、URL allow-list の管理といった小規模のタスクから、安全設計フレームワークの再構築や、メモリセーフ言語への移行といった、大規模改修まで対応できる。

将来的には、AI が生成するコードの方が、従来のオンプレミス/SaaS 製品よりも、厳格に制限された状態となる可能性を、同氏は示唆している。さらに「皮肉にも、クラウド移行に懸念を持つ組織にとって、この技術が解決策となる可能性がある」と付け加えている。