Apache Jena の脆弱性 CVE-2025-49656/50151 が FIX:パス・トラバーサルによる不正操作の可能性

Apache Jena Vulnerability Leads to Arbitrary File Access or Manipulation

2025/07/22 CyberSecurityNews — Apache Jena が公表したのは、バージョン5.4.0 以下に存在する、2つの重大なセキュリティ脆弱性に関する情報である。これらの脆弱性 CVE-2025-49656CVE-2025-50151 (深刻度:Important) は、すでにバージョン 5.5.0 で修正されている。その悪用に成功した攻撃者は、管理者のアクセス権限を介して、標的サーバのファイル・システムの整合性を侵害する可能性を得るという。

要約
  1. Apache Jena 5.4.0 以下には、2つの脆弱性 CVE-2025-49656/CVE-2025-50151 が存在する。
  2. これらの脆弱性は、Fuseki 管理インターフェイスの不十分なパス検証に起因するものであり、ファイル・システム制限の回避を許すとされる。
  3. ユーザーに推奨されるのは、修正済みバージョン 5.5.0 への、速やかなアップグレードである。

これらの脆弱性が浮き彫りにするのは、Fuseki サーバの管理インターフェイスにおける深刻な弱点である。このインターフェイスの不十分な入力検証により、ファイル・システム上の意図されたディレクトリの境界を超えた、不正な操作が可能になっている。

CVE-2025-49656:ディレクトリ・トラバーサル

1つ目の脆弱性  CVE-2025-49656 は、Fuseki 管理インターフェイスを悪用する管理者に対して、指定されたディレクトリ境界外でのデータベース・ファイル作成を許す欠陥である。つまり、このディレクトリ・トラバーサルの脆弱性を悪用する攻撃者は、管理 UI の不十分なパス検証メカニズムを悪用し、ファイル・システム制限のバイパスを可能にする。

この脆弱性は、データベースを作成する際の、ファイル・パス・パラメータの不適切なサニタイズに起因している。技術的分析によると、この欠陥は、管理エンドポイントへの POST リクエストにおいて、ユーザーが指定するディレクトリ・パスへの検証が不十分であることに関連するという。

攻撃者は、”../” のなどのシーケンスを用いて悪意のパス文字列を作成し、親ディレクトリへのトラバースを達成し、標的サーバのファイルシステム上の任意の場所への、ファイルの書き込みを可能にするという。

つまり、典型的なパス・トラバーサルの脆弱性が発生するため、ターゲットのシステム・コンフィグレーションに応じて、コンフィグ・ファイルの改竄/ログの改竄/リモートコード実行などが生じるという。

CVE-2025-50151:設定ファイルのアップロード

2つ目の脆弱性 CVE-2025-50151 は、管理インターフェイス内でのコンフィグ・ファイルのアップロード機能に影響を及ぼすものだ。アップロードされたコンフィグ・ファイル内の、ファイル・アクセス・パスが適切に検証されないことで、任意のファイルへの不正アクセスの機会が生じる。

この脆弱性の悪用に成功した攻撃者は、制約されたセキュリティ境界の回避を達成し、不正なパス参照を取り込んだ、コンフィグ・ファイルのアップロードを可能にする。

その実装上の問題点は、コンフィグ・パーサーによるファイル・パス指示の処理にある。具体的に言うと、アップロードされたコンフィグ・ファイルを処理する際に、システムによるファイル・パスの検証やサニタイズが適切に行われないため、相対パスの不正な操作により、機密性の高いシステム・ファイルへの参照が起こり得る。

したがって、この問題を悪用する攻撃者は、制約されたアプリケーション・ディレクトリの外側にある、コンフィグ/システム・バイナリ/機密データなどのファイルへの参照の可能性を手にする。

この脆弱性は、Cyber Defense Institute の Noriaki Iwasaki により発見されたものであり、セキュリティ研究における協力体制の重要性を示している。

CVETitleCVSS 3.1 ScoreSeverity
CVE-2025-49656Administrative users can create files outside the server directory space via the admin UI7.5 Important
CVE-2025-50151Configuration files uploaded by administrative users are not checked properly8.8Important
緩和策

Apache Jena を運用する組織に推奨されるのは、2つの脆弱性 CVE-2025-49656/CVE-2025-50151 に対する包括的な修正が実装された、バージョン 5.5.0 へと向けた速やかなアップグレードである。

このバージョンでは、パス検証メカニズムの強化と、任意のコンフィグレーション・アップロードの制限により、悪用が防止されるようになった。

前述に脆弱性を悪用するためには、管理者権限が必要となる。そのため、管理者の認証情報が漏洩している可能性のある環境や、内部脅威が存在する環境に、この問題によるリスクは限定される。

システム管理者にとって必要なことは、アクセス・ログの監視による異常なファイル作成パターンの確認、および、Fuseki サーバへの管理者アクセス権限が、信頼できるユーザーに限定されていることの確認である。

さらに、ファイル・システム・レベルでのアクセス制御などの、多層防御戦略を実施することで、同種の脆弱性に対する保護層を構築できる。