SIEM の時代は終わるのか? 現代のセキュリティ要件に追従する新たな発想とは?

The Death of the SIEM: Why Modern Security Demands a New Data Strategy

2026/03/31 InfoSecurity — いまから 20 年ほど前に SIEM (Security Information and Event Management) は、コンプライアンスを目的とするログ保存のためのツールとして定義/設計された。しかし、脅威環境の進化に伴い、これらのレガシー・システムは、現代のサイバー・セキュリティ要件に追従できなくなっている。


AI によりサイバー攻撃の速度が上がり規模が拡大したことで、脅威の環境は完全に変化した。この状況において要求されるのは、網羅的な可視性だけでなく、即時性を伴う可視性である。AI ベース攻撃は、秒単位から分単位で発生するため、中央集約型のデータ環境では対応できない。それと同時に、AI 駆動の脅威は膨大なデータ量を生み出しているため、従来の設計による SIEM の料金モデルでは、この規模に対応できない。

ここでいう “死” が意味するのは、SIEM 技術そのものではなく、業界が長年にわたり依存してきた旧来の中央集約型アプローチの終焉である。フェデレーテッド・データの戦略を採用する、クラウド・フレンドリーで柔軟なアーキテクチャを採用する組織は、AI 駆動のサイバー脅威の速度に対応できるだろう。

レガシー SIEM が限界に達している理由

現代のセキュリティは、きわめて強力なデータ基盤を必要とするが、本来の SIEM の設計は、その用途に向いていない。さらに、旧来の料金モデルとデータ取り込みのモデルにより制約が強化されるため、レガシー SIEM からの移行を加速している。歴史的に見て、高度な分析は SIEM 外部で実行されることが多く、セキュリティ・チームは追加プラットフォーム管理を強いられている。

SIEM における制約は、3 つの形で顕在化している。第一に、従来の SIEM は技術制限/性能ボトルネック/ベンダーライセンスコストにより、ログ取り込み量に制限が課されている。第二に、データ量課金モデルにより、組織は増大するデータへのアクセスおよび分析のためにコスト増大を強いられている。第三に、GDPR による欧州のデータレジデンシー要件や米国ローカル規制などにより、複数 SIEM 展開が必要となり、コストと複雑性が増大している。

根本的な問題は、検知のためにデータを集約するという、レガシー SIEM の設計にある。AI による脅威が増大している現代のセキュリティでは、その逆が求められる。

フェデレーテッドでクラウド・ネイティブなセキュリティ・アーキテクチャを促進する要因

2019 年以降においてセキュリティ予算は縮小しているが、コスト削減とセキュリティ維持の両立が求められている。従来の SIEM は中小規模の組織では有効であるが、大規模エンタープライズではマルチクラウド/マルチリージョン/多様な規制環境により中央集約が機能しない。

AI による脅威とデータ量の増加が、これらの問題を増幅する。さらに、ディープフェイクのような新たなリスクは従来のログを生成しないため、単純なログ監視は機能しなくなり、より広範なテクノロジー・リスク管理への移行が必要となっている。これらの変化が促進する、フェデレーテッドかつクラウドネイティブなデータ戦略への移行は、リアルタイムな防御のためのものだ。

レガシー SIEM からの移行における障壁と考慮事項

数多くの組織が、プラットフォームの移行を躊躇する最大の要因は、現状のサービスが自社のセキュリティ運用に組み込まれているからである。多くのケースにおいて、長期戦略の再評価は行われず、ライセンスが自動的に更新されていく。

長年にわたる SIEM の運用により、その上に検知ルール/ワークフロー/統合が構築されているため、移行のための再設計が必要となる。しかし、セキュリティ・チームは人員や時間不足により対応困難である。

セキュリティデータ戦略の評価のための問いかけ

衰退していくであろう SIEM 戦略の代替は、データを中央へ集約するのではなく、存在する場所で評価するフェデレーテッド・データモデルである。それは、セキュリティ・データレイクやクラウドネイティブなクエリフェデレーションを活用し、データを移動せずに分析するアプローチである。

セキュリティ・リーダーにとって必要なことは、移行を検討する前に、現行の戦略を厳格に評価することである。以下の観点が重要となる:

  • 全環境のログおよびセキュリティ・データに対する完全な可視性を持っているだろうか?
  • どこに、内部システム/リージョン/クラウド間のギャップが存在するのだろうか?
  • 現在のログ戦略は組織の成長に対応可能だろうか?
  • 検知要件とコンプライアンス要件は、どのように異なるのか?
  • 現時点で、セキュリティ・データはどこに存在するのか。中央集約か分散か?
  • データスケールに関する課題は何なのか?
  • データ量増加/AI 脅威/インフラ拡張が、ログと監視に及ぼす影響は?
  • 現在の SIEM およびデータ取り込みのモデルは、将来にわたり持続可能か?
今後の展望:従来の SIEM を超えるセキュリティ

レガシー SIEM は消滅するわけではないが、その中央集約型のモデルと、取り込み依存型のモデルは、大規模エンタープライズの主要戦略としてはもはや成立しない。データを検知のために集約するのではなく、検知をデータの側へ移動させることで、セキュリティ可視性のアプローチは根本から再構築される。

AI 駆動の脅威により高速での対応が求められる時代において、組織にとって必要となるのは、柔軟でクラウド・フレンドリーなデータ・アーキテクチャの採用による、可視性向上/コスト削減/脅威管理の強化である。