AI の成長速度を Moore の法則と比較する:そのスピードはシリコンの約 5〜6 倍

Beyond Moore’s Law: The Hyper-Acceleration of Autonomous AI Cyber Capabilities

2026/05/18 SecurityBoulevard — 英国の AI Security Institute (AISI) は、すべての CISO と取締役会が再構築すべき、脅威モデルとリスク議論に関する事実を示した。最先端の AI モデルが、自律的に完遂できる複雑なサイバー・タスクは、数ヶ月ごとに倍増している。このシンプルな視点が示すのは、テクノロジー・リスクの物理的な前提の変化である。


数十年にわたり、スピードの基準は Moore の法則により定義されてきた。トランジスタ密度は約 2年ごとに倍増し、それに対して産業も適応してきた。しかし AISI の分析は、AI ソフトウェア能力が、まったく異なる時間軸で進化していることを示している。

2025年11月の時点では、自律サイバータスクの完遂能力が倍増する周期は 8 ヶ月と推定されていたが、2026年2月には 4.7 ヶ月へと短縮された。その後に、GPT-5.5 や Claude Mythos Preview が登場し、この予測すら上回る性能を示したことで、新たな成長が発生している可能性が示唆された。

私たちが、つい最近まで思い描いていた指数関数的な成長の上に、より急峻で新たな指数関数的な成長が出現しているのではないかという、疑問が投げかけられている。

測定困難な能力を定量化するには

AISI はこの加速を “Cyber Time Horizons” と呼ばれる指標で定量化している。これは、AI モデルが複雑かつ専門的なサイバー作業を自律的に継続できる時間を、人間専門家の所要時間と比較して測定するものである。モデルが成功率 80% を維持できるタスク長を追跡し、世代間で指数曲線としてプロットする。

対象となるタスクは単純ではなく、リバース・エンジニアリングや Web 侵害といった、企業インフラに対する多段階攻撃なども含まれる。現在の最先端モデルは、このテスト・スイート内で、最長タスクに対してほぼ 100% の成功率を達成している。AISI は、この数値に対して、熟練アナリストの 12時間分に相当すると評価している。

その一方で AISI は意図的に、これらのモデルのタスクあたりの予算を 250万トークンに制限している。AISI 自身も認めているように、この制限によりエージェントの能力は極度なまでに過小評価される。モデルが最大で 1 億トークンを受け取る “サイバー・レンジ” 環境では、シミュレーションされた企業ネットワークに対する継続的な多段階攻撃能力が実証されている。この種のシナリオは、少し前までの AI では解決できなかった領域にある。

ハードウェアの 5 倍の速度で進化

Moore の法則との比較は重要である。ハードウェアは 24 ヶ月で倍増する一方で、AI のサイバー/ソフトウェア自律性は 4〜5 ヶ月で倍増している。すなわち、AI 能力は基盤となるシリコンの約 5〜6 倍の速度で進化している。

非営利 AI 評価機関 METR も、この傾向を独立に確認している。同機関の研究では、2024年後半以降 AI ソフトウェア・エンジニアリング能力の倍増周期は約 4.2 ヶ月であり、AISI の結果と整合する。

新モデルがなくても跳躍する能力

AISI の発見において特に懸念すべき点は、能力向上が必ずしも新モデルの公開を必要としないところにある。同一モデルに対する後期でのチェックポイントでも、能力が大きく変化している。

たとえば Claude Mythos Preview の新しいチェックポイントとして挙げられるのは、”Cooling Tower” サイバー・レンジ課題を初めて解決したことだ。前バージョンでは不可能だったタスクである。つまり、モデル・リリース周期に基づく脅威評価は、現実の変化速度を捉えていない可能性がある。

防御側に残される時間は短い

AISI は影響を明確に示している。最先端の AI の自律サイバー能力は、年単位ではなく月単位で進化しており、従来のセキュリティ計画では追従できない。

防御側も同様のモデルを活用し、脆弱性発見やプロアクティブ防御を行う必要がある。しかし、攻撃能力の成長曲線は、多くの組織が耐性を構築する速度を上回っている。

さらに、これらの能力は将来的に広く拡散するため、強固なセキュリティ基盤を確立するための時間的な猶予は限られている。

AISI は、より高度な評価手法の開発を進めているが、現時点の結論は明確である。AI 自律性の指数的成長は理論ではなく、すでに観測可能な現実であり、従来の技術進化モデルを超越している。