Google Ads のポリシー変更:広告主に対して Digital Fingerprinting 使用を解禁?

Google allows advertisers to fingerprint you for even better tracking

2025/01/13 ghacks — Google が発表した広告ポリシーの変更により、2025年2月16日から広告主たちは、Digital Fingerprinting を使用できるようになる。Digital Fingerprinting 採用の主たる理由として挙げられるのは、IP アドレス/場所/言語に加えて、使用しているソフトウェアや OS などの情報により、インターネット上のデバイスとユーザーを識別できる点にある。

この Digital Fingerprinting の手法は数多く存在し、クロス・ブラウザにおける Fingerprinting が可能なものもある。なお、 ブラウザの Fingerprinting 防止保護の有無は、EFF (Electronic Frontier Foundation) の Cover Your Tracks Web ページでテストできる。

この追跡手法は、他の方法と併用しても上手く機能するが、単独でも使用できる。Cookie と比べて、いくつかの利点があるが、それて当てはまるのはトラッカーとしての機能となる:

  • ユーザーの同意を得ることなく、また、ユーザーに知られることなく、情報を収集できる。
  • 収集されたデータは、ユーザーのデバイスではなく、リモートに保存される。
  • いつでも簡単に削除できる Cookie とは異なり、Digital Fingerprinting データは削除できない。

Google Marketing Platform Help サポート Web サイトで、同社による変更が発表された。Google は、「更新されたポリシーが明らかにするものは、有害なアクティビティから、広告エコシステムを適切に保護するために必要な禁止事項である。その一方で、広告のターゲティングと測定方法について、パートナーたちに課す規制は軽微なものとなる」と述べている。

英国の Information Commissioner’s Office は、Google の発表内容にある、「企業はFingerprinting を自由に使用できるわけではない」という部分に、最初に反応した機関の1つである。

同事務局が強調するのは、2019年の時点で Google が、ユーザーの Fingerprinting 使用に反対していたことであり、それはユーザーの選択を覆すものであり、間違っていると述べていたことだ。

何が変わったのだろうか? Google が指摘するのは、最近の広告エコシステムに起こった、2つの変化である:

  • プライバシー強化技術 (PET) の進歩。
  • 広告対応デバイスとプラットフォームの台頭。

PET (Privacy Enhancing Technologies) に含まれるものには、デバイス内処理/信頼できる実行環境/安全な multi-party コンピューティングなどがある。 この進歩により「ブランドがデータを安全かつ確実に管理し、有効に活用するための新しい方法が実現している」と、Google は述べている。

ただし、この大きなポリシー変更は、メインのサポート記事で仄めかされているだけだ。具体的に言うと、本文の真ん中にある、「このポリシーでは、データ信号の使用に関するパートナーの要件も更新される」という部分で説明されている。

ただし、更新されたポリシー自体 に対しては、そのページからリンクされていない。ここから開けるので、確認してほしい。

現在のポリシーと、新しいポリシーを比較すれば、いくつかの変更点に気付くだろう。ユーザーにとって重要な変更点は、”Identifying users and user consent” に記載されている。

これまで Google は、以下の情報を、広告主に渡すことを許可していなかった:

  • 個人を特定/認識するために Google が使用する情報
  • 特定のデバイスを永続的に識別する情報 (ID をリセットできない携帯電話など)

しかし、新しいポリシーでは、2番目のルールが削除されている。つまり、広告主は、ユーザーが使用するデバイスをベースにユーザーを識別し、トラッキングを目的として、その情報を Google に渡すことが可能となる。

ユーザーは何ができるのか?

Brave や Firefox などの一部のブラウザには、指紋防御機能が搭載されており、Fingerprinting を使用する企業によるユーザー・トラッキングを困難にしている。また、コンテンツ・ブロッカーも、さまざまな形式の指紋防御を提供している。