Microsoft Windows 11 に MCP を統合:OS を AI agentic プラットフォームに変革する?

A New Era for Windows: Microsoft’s Protocol Transforms OS into AI Agent Platform

2025/05/20 SecurityOnline — Microsoft Build 2025 において同社が発表したのは、 Windows 11 への Model Context Protocol (MCP) の統合であり、オペレーティング・システムを AI agentic プラットフォームへと変革する重要な一歩を踏み出した。Microsoft によると、MCP は AI agentic ベース・コンピューティングのための統一プロトコルとして、安全かつ相互運用可能な基盤層を提供するという。

AI 企業 Anthropic により開発された MCP は、AI モデルと外部データソースを連携させるために設計されたユニバーサル・スタンダードである。それは、人工知能における最大の課題のひとつである、”静的トレーニング・データへの依存” や、リアルタイム情報の自律的な取得の困難さ” といった問題への対処を目的としている。この統一された規格により、AI システムは多様な外部ツールやデータリポジトリに、安全かつシームレスに接続できるようになる。

このアーキテクチャにおいては、AI アシスタントが MCP クライアントとして機能し、各種データソースが MCP サーバとして機能する。それらの MCP サーバは、メール/カレンダー/クラウドストレージ/コードリポジトリ/データベースに至るまでの、さまざまなリソースに対応できる。MCP はクライアント/サーバ間の通信を標準化し、統一された信頼性の高いインターフェイスを通じて、AI モデルによるリアルタイム・データの取得を実現していく。

Microsoft が強調するのは、MCP が新たな可能性の扉を開く一方で、潜在的なセキュリティ・リスクも伴うことだ。こうした懸念に対処するため、同社は Windows 11 内に専用の MCP セキュリティ・アーキテクチャを構築した。まず、すべての MCP サーバ開発者は、ユーザー・データを保護するための、厳格なセキュリティ要件を満たす必要がある。その一方でユーザーは、自身に代わって実行される重要なセキュリティ関連の操作に対して、完全な制御権を保持する。さらに、Microsoft は悪用のリスクを軽減し、MCP サーバーに対する潜在的な攻撃を抑制するための、”最小権限の原則” (principle of least privilege) を適用する。

Microsoft Build 2025 の終了後に Microsoft は、MCP サーバ機能の早期プレビュー版をリリースし、開発者による機能を検証とフィードバックに対応している。プレビューの段階では、セキュア・モードの使用は任意であるが、プロトコルの正式リリース後は必須となる予定だ。

なお、これらの新機能を試すには、Windows 11 上で開発者モードを有効化する必要がある。この要件は、プレビュー期間中に限って適用され、機能の一般公開後にはMicrosoft が、堅牢なセキュリティ・フレームワークを通じてユーザ・データを保護するため、一般ユーザーによるモード変更は不要である。