Prometheus: Open-source metrics and monitoring systems and services
2025/12/15 HelpNetSecurity — Prometheus はオープンソースのモニタリング/アラート・システムであり、サービスが頻繁に変更される環境や、障害が急速に拡大する環境向けに構築されている。システムの動作を追跡して早期の警告サインを検知する Prometheus は、大規模なワークロード全体で起こっていることを把握するセキュリティ・チームや DevOps エンジニアのための重要なツールとなっている。
SoundCloud で立ち上げられた Prometheus プロジェクトは、現在では Cloud Native Computing Foundation によりホストされており、Kubernetes などの主要なクラウド・ネイティブ・ツールと並んで位置付けられている。Prometheus は、システムからメトリクスを収集してローカルに保存し、クエリやアラートを容易に実行するというシンプルな考え方に基づいて設計されている。

スケーラビリティを考慮したメトリクス・モデル
Prometheus は時系列データ・モデルを使用する。すべてのメトリクスは、名前と属性を定義するラベルのセットとともに保存される。このラベルに含まれるのは、サービス名/インスタンス/リージョン/ロールなどの詳細である。この構造により、インフラが変更されるたびにメトリクスを再定義することなく、データのスライスやグループ化が可能になる。
メトリクスは数値データであり、一定の間隔でサンプリングされる。この特性が有効に機能するのは、CPU 使用率/メモリ負荷/リクエスト・レート/エラー数といったシステム健全性指標を追跡するときである。セキュリティ・チームにとっては、同一モデルにより、認証失敗/異常なトラフィック急増/サービス再起動といったシグナルの監視も可能である。
前述のとおり、Prometheus はデータをローカル・ディスクに保存する。この設計により、リモート・ストレージに依存しないデータ収集が可能になるため、システム障害やネットワーク不通が発生した際でも監視を継続できる。長期保存が必要な場合には、リモート書き込み統合を通じて、そのニーズに対応できる。
プル・ベース収集とサービス検出
Prometheus の特徴的な機能の一つは、プル・ベースのデータ収集アプローチである。Prometheus は、HTTP を経由して定義された間隔で、ターゲットからメトリクスを取得する。多くのケースにおいて、それぞれのターゲットは、標準パスでメトリクス・エンドポイントを公開している。
このモデルは動的な環境に適している。Prometheus に組み込まれているのは、Kubernetes/クラウド・プロバイダー/仮想マシン・フリートなどのプラットフォーム向けのサービス・ディスカバリ機構である。したがって、設定ファイルを手動で更新することなく、ターゲットの追加や削除が自動的に認識される。
このアプローチにより、セキュリティ・チームは、コンテナや短命ジョブといった一時的なワークロードの監視を効率化できる。エージェントによるデータの集中型プッシュ方式に依存しないため、その際の可視性はシンプルなものとなり、監視の死角を生み出すリスクを抑制できる。
PromQL はチームに直接的な回答を提供する
Prometheus には、PromQL と呼ばれる独自のクエリ言語が含まれる。この言語は、時系列データを直接処理することを前提に設計されている。そのクエリを用いることで、ラベルによるメトリクスのフィルタリング/レート計算/値の集計/現在の動作と過去のベースラインの比較が可能になる。
Prometheus エコシステム全体において、PromQL の利用が可能である。したがって、ダッシュボード/アラート/アドホック調査などが、単一のクエリ言語により操作できる。この一貫性により、チームはクエリを共有し、相互理解を容易にできる。
インシデント対応において、PromQL は迅速な調査を支援する。それにより、エラー率が上昇しているサービスや、現在メモリ不足に陥っているノードなどに焦点を絞ったクエリを、チームとして即座に実行できるようになる。
静的ルールではなく動作に紐づくアラート
Prometheus に組み込まれるアラート・システムにより、期間を指定して PromQL 式を継続させ、評価を実施できる。定義された期間に条件が満たされた場合にアラートが発行されるため、一時的なスパイクや過渡的な問題によるノイズを低減できる。
このアラートは、イベントではなく症状を示す。そのルールにより、ログイン失敗の持続的増加やサービス可用性の急激な低下などを監視できる。関連コンポーネントである Alertmanager は、グループ化/ルーティング/通知配信を処理する。
このアプローチは、セキュリティ・チームおよび運用チームにおけるインシデント対応のワークフローと整合する。一連のアラートは、個々のログ・エントリではなく、注意を要するパターンを指し示す。
各種のプラットフォームと共に成長するエコシステム
Prometheus の大規模なエコシステムには、データベース/オペレーティング・システム/ネットワーク・デバイスなどに加えて、アプリケーションからメトリクスを公開するエクスポータが存在する。現在、数多くのセキュリティ・ツールやインフラ・プラットフォームが、Prometheus 互換のエンドポイントを標準で提供している。
このプロジェクト全体を貫くのは、シンプルさとコンフィグによる柔軟性である。Prometheus 自体は、メトリクス収集とクエリ実行というコア・ミッションに特化し、Grafana による高度な可視化や長期保存ストレージなどを、必要に応じて柔軟に組み合わせる設計となっている。
Prometheus は GitHub において無料で入手できる。
Prometheus が動的な環境に強い理由は、プル・ベースのデータ収集方法にあります。監視対象からデータを送る方式とは異なり、Prometheus 側から定期的に収集する形が取られています。そこにサービス検出という機能が組み合わさることで、サーバの増減に関係なく、設定を書き換えることもなく、自動的な追跡が可能になります。また、収集したデータを、名前だけでなくラベル (属性) で整理して保存する仕組みも大きな特徴です。それにより、大規模で複雑なインフラにおいても、それぞれの領域とサービスのデータを瞬時に絞り込むことが可能となり、トラブルの原因をスムーズに特定できるようになります。シンプルな設計ながら、変化の激しい現代のシステムを支えるための、合理的な工夫が詰まったツールと言えます。よろしければ、カテゴリー SecTools も、ご参照ください。

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