Laravel-Lang パッケージ 700 種類に侵害:GitHub リポジトリを悪用する巧妙な手法

Hackers Compromise Laravel-Lang Packages via 700 GitHub Repos

2026/05/23 gbhackers — 現在進行型の高度なサプライチェーン攻撃が、Laravel-Lang オープンソース組織を直撃している。Laravel-Lang で広く使用されている、4つの PHP ローカライゼーション・リポジトリにおいて、700以上のパッケージ・バージョンが侵害された。この攻撃は、Aikido Security および Socket Research Team により、2026年5月22日に検知/報告された。Composer の autoloader を介して、ユーザー操作を必要とせずに自動実行される、完全なリモートコード実行 (RCE) バックドアが組み込まれている。

影響を受けたパッケージは、laravel-lang/lang (7.8k GitHub stars) / laravel-lang/attributes / laravel-lang/http-statuses / laravel-lang/actions などである。公式の Laravel フレームワークを構成するものではなく、広く利用されているサードパーティのローカライゼーション・ライブラリである。

Packagist は迅速に対応し、悪意のバージョンを削除し、追加のインストールを防止するために、パッケージの公開を一時的に停止した。

GitHub リポジトリを悪用する Laravel-Lang パッケージ侵害

この攻撃の特徴は、公式リポジトリには、悪意のコードが一切コミットされていない点にある。

GitHub のタグにより、同一リポジトリのフォーク内コミットの参照が可能となっている。この仕組みを悪用する攻撃者は、正規のリリース・タグを装って自身の悪意のフォーク・コミットを参照させたと、Socket は指摘している。

2026年5月22日から23日にかけての短時間で、大量の悪意のタグが公開された。laravel-lang/lang の 12.x/13.x/14.x/15.x 系列、および、laravel-lang/http-statuses/laravel-lang/attributes/laravel-lang/actions 全体にわたり、悪意のタグが数秒間隔で展開された。

Socket の解析により、”composer.json” の autoload.files に登録された悪意の “src/helpers.php” が確認されている。それにより侵害されたアプリケーションでは、すべての PHP リクエストでバックドアが自動実行される。

この “src/helpers.php” は通常の Laravel ローカライゼーション・ヘルパーを装い、無害に見える関数を定義した後に、それまで隠していた自身のコードを起動する。それにより、C2 ドメイン “flipboxstudio[.]info” が array_map(‘chr’, […]) を用いて動的に生成され、静的な解析を回避する。

このドロッパーは、ファイルパス/システム・アーキテクチャ/inode 番号に基づき、MD5 ハッシュでホストを識別し、一度限りの実行マーカーを作成して感染の重複を防止している。

続いて、TLS 検証を無効化した状態で “flipboxstudio[.]info/payload” から第 2段階ペイロードを取得する。このペイロードは、Linux/macOS では exec(“php …”) によりバックグラウンド実行され、Windows では .vbs ランチャーを生成して cscript によりサイレント実行される。

第 2段階ペイロードは、約 5,900行で構成される、クロスプラットフォーム PHP 認証情報窃取マルウェアであり、17の専用収集モジュールで構成される。その後に、収集されたデータは、固定 XOR キー (k9X2mP7vL4nQ8wR1) で暗号化され、”flipboxstudio[.]info/exfil” に送信される。続いて、自身を削除してフォレンジック痕跡を消去する。

このスティーラーが収集する情報の範囲は極めて広範である。

Kubernetes/DevOps:”/var/run/secrets/” の Service Account トークン/kubeconfig/Helm レジストリ/HashiCorp Vault API/Docker config.json

CI/CD パイプライン:Jenkins master.key/credentials.xml/GitHub Actions secrets/GitLab Runner/CircleCI/TravisCI/ArgoCD 設定

開発者認証情報:SSH 秘密鍵/.git-credentials/シェル履歴 (bash/zsh/psql/mysql)/.env/wp-config.php/docker-compose.yml/各種パッケージ・マネージャ認証ファイル (.npmrc/.pypirc/.composer/auth.json)

ブラウザ/パスワード・マネージャ:17種類の Chromium 系ブラウザ/DebugChromium.exe による Chrome v127+ App-Bound Encryption 回避/Firefox NSS 復号/1Password/Bitwarden/LastPass/KeePass/Dashlane/NordPass

暗号資産ウォレット:Bitcoin/Ethereum/Monero、MetaMask/Phantom/Trust Wallet/Rabby/seed.txt/recovery.txt

通信と VPN:Slack と Discord セッション・トークン/Outlook/Thunderbird/NordVPN/ExpressVPN/ProtonVPN/WireGuard/OpenVPN

侵害指標 (IOC)
IndicatorType
flipboxstudio[.]infoC2 domain
flipboxstudio[.]info/payloadPayload delivery URL
flipboxstudio[.]info/exfilExfiltration endpoint
src/helpers.phpMalicious dropper file
autoload.files → src/helpers.phpComposer autoload trigger
<tmp>/.laravel_locale/<md5_hash>Per-host infection marker
<tmp>/.laravel_locale/<12-hex>.phpDropped stealer payload
<tmp>/.laravel_locale/<8-hex>.vbsWindows VBS launcher
DebugChromium.exeChrome DPAPI decryption binary
169.254.169.254Cloud metadata access (EC2 IMDS)

注記:IP アドレスおよびドメインは意図的に無効化表記としている。再有効化は MISP/VirusTotal/SIEM などの管理環境でのみ実施すべきである。

影響を受けた Laravel-Lang パッケージを使用しているチームは、該当ホストを完全侵害済みとして扱う必要がある。

直ちに composer.lock を監査し、laravel-lang/lang/laravel-lang/http-statuses/laravel-lang/attributes/laravel-lang/actions を確認し、クリーンなバージョンが確認されるまで使用を停止する。

このスティーラーの情報収集範囲を踏まえ、認証情報の全面ローテーションが必須である。特にクラウド認証情報/Kubernetes トークン/Vault トークン/CI/CD シークレット/GitHub と GitLab のトークン/SSH 鍵/データベース認証情報/Laravel APP_KEY/環境変数内のシークレットを優先する。

影響を受けるコンテナ/ホスト/CI ランナーは、クリーンなイメージから再構築すべきである。なお、その対応前には、composer.lock/Composer キャッシュ/DNS/ネットワーク/tmp ディレクトリ内容などのログを保全する必要がある。