GitHub Actions ワークフローの問題:38% のユーザー組織にスクリプト・インジェクションの可能性

38% of GitHub Actions Workflows Exposed to Script Injection Risks

2026/06/03 gbhackers — GitHub Actions ワークフローを使用するユーザー組織の 38% が、スクリプト・インジェクションまたは不正なトリガー・コンフィグに対して脆弱であることが、Datadog の分析により判明した。それが浮き彫りにするのは、現代のソフトウェア・サプライチェーンにおいてリスクが増大している現状である。GitHub は、YAML で定義されたワークフローと再利用可能なアクションを通じて、ビルド/テスト/デプロイを自動化する開発パイプラインの中核を担っている。

多くのケースにおいて、これらのワークフローは高権限で実行され、ソースコードおよび認証情報への直接アクセスが可能なため、ミスコンフィグにより深刻な影響がもたらされる。

Datadog の調査によると、3 分の 2 の組織がワークフローまたはアクションのいずれかに、少なくとも 1 つの脆弱性を抱えている。それにより、攻撃対象領域が大幅に拡大することになる。

最近の事例で確認されたのは、攻撃者により、これらの弱点が積極的に悪用されていることだ。たとえば、Nx リポジトリを標的とする s1ngularity 攻撃では、より高い権限でワークフローを実行できる pull_request_target トリガーが悪用された。

攻撃者は悪意のプルリクエストを作成することで任意コード実行を達成し、いわゆる “pwn request” を成立させた。この手法は、信頼されたリポジトリ・コードを前提とするトリガーが、外部のコントリビュータからの未検証入力を処理するという弱点を突くものだ。

Datadog 2026 State of DevSecOps 調査で明らかにされたのは、マルウェア実行/認証情報窃取/ソフトウェア改竄を目的とする攻撃者にとって、CI/CD パイプラインが主要な標的となっていることだ。

Attack flow of a pwn request (Datadog).
Attack flow of a pwn request (Source : Datadog).

別のキャンペーン hackerbot-claw では、ワークフローにおける未検証の入力が、大規模なリモートコード実行につながることが示された。この AI 駆動攻撃は、GitHub リポジトリを標的とし、ワークフロー・スクリプトに悪意の入力を注入することで、半数以上のリポジトリを侵害した。

たとえば、プルリクエストのタイトルが、そのままの状態でシェルコマンドに挿入されるワークフローでは、文字列を注入する攻撃者によりコマンド構造が破壊され、任意の命令が実行されてしまう。このように、無害に見える文字列であるプルリクエスト・タイトルが、パイプライン全体の侵害入口となり得る。

この種のリスクは、ワークフロー・ロジックに限らない。認証情報の侵害も、サプライチェーン攻撃において重要な役割を果たしている。TeamPCP キャンペーンが実証したのは、Trivy や KICS など広く利用されるツールの、悪意のバージョンを公開する攻撃手法である。

Percentage of organizations pinning actions to a commit hash (Source : Datadog).
Percentage of organizations pinning actions to a commit hash (Source : Datadog).

攻撃者はバージョンタグを改竄し、タグを参照しているワークフローに悪意のコードを実行させた。この問題が深刻化した原因は、71% の組織が GitHub Actions を特定のコミットハッシュに固定していないことにあった。GitHub Actions は、コード/インフラ/デプロイの交点に位置するため、これらの脆弱性はきわめて深刻である。

この種の侵害による影響は単一リポジトリに留まらず、下流のユーザーや依存システムへ波及する可能性がある。攻撃者が引き起こす悪意のアクションには、ビルド成果物の改竄/認証情報の流出/配布ソフトウェアへのバックドア埋め込みなどがある。

GitHub は、これらのリスクを認識し、対策ロードマップを提示している。今後の改善点として挙げられるのは、アクションと依存関係を特定のコミット・ハッシュに固定するという決定論的な管理であり、改竄リスクの低減が期待される。

さらに、ワークフローをトリガーするイベントの種類と、実行権限者を制御する中央ポリシーの導入により、pull_request_target のような危険なトリガーの悪用防止を図るという。

それに加えて、特定ワークフローに紐付くスコープ付きシークレットや、Actions Data Stream による可観測性の向上が計画されている。これにより、異常検知のための準リアルタイム・テレメトリが提供される。

また、CI/CD ランナーからのアウトバウンド通信を監視/制御する、ネイティブ・エグレス・ファイアウォールの開発も進められており、データ流出の抑止が期待される。

攻撃者が CI/CD パイプラインを標的とし続ける中、不安全な GitHub Actions コンフィグは、広範に悪用され深刻な影響をもたらす弱点であり続ける。

これらの保護機能が導入された後も、ワークフローのセキュリティ確保は組織の責任である。ワークフローをアプリケーション攻撃対象の一部として扱い、外部入力の検証/トークン権限の制限/依存関係の固定を徹底することが、露出低減の鍵となる。