サイバー攻撃者たちの手法を分析:悪意のある AI ツールセットと戦術が共有される速度に注目すべきだ

Report Details AI Tactics and Techniques Used to Launch Cyberattacks

2026/10/05 SecurityBoulevard — Abstract Security/Gambit Security が、人工知能 (AI) コーディング・ツールを介したサイバー攻撃を分析した。それにより、これらのツールを悪用する攻撃者が、Web Application Firewall (WAF)/Content Delivery Network (CDN) を回避する方法などが見つけ出され、AI を攻撃で悪用する手法が明らかになった。


この攻撃は、Gambit Security のサイバー・セキュリティ研究者によって発見されたものだ。今回の分析は、2025年7月から開始された一連の侵害において、攻撃者のマシンから収集されたデータに基づいている。合計 27 社に対して 105 件の攻撃が実行され、AI ハーネスから呼び出されたものは、Strix の脆弱性検索ツール/Cairn の侵入テストツール/Hermes と呼ばれるオーケストレーション・エンジンなどとなる。基盤となる AI モデルには、Application Programming Interface (API) へアクセスするためのゲートウェイである、OpenRouter を通じてアクセスしていた。

このハーネスを用いるサイバー犯罪者は、2 社を侵害することで、5 つの Web サイトにカード情報を窃取するスキマースクリプトを設置し、少なくとも 60 万件の有効期限内のクレジットカード情報へアクセスするだけではなく、さまざまな資産にアクセスしていた。多くの場合、被害組織へのアクセスは 1 日未満で確立され、わずか数時間という事例も挙げられている。

さらに攻撃者は、AI エージェントを使用してデータを削除するなど、攻撃の痕跡を隠すための手順も構築していた。

Abstract Security で脅威エンジニアリング担当ディレクターを務める Justin Borland によると、今回のサイバー攻撃で注目すべき点は、攻撃の開発/実行の速度だけではない。人間が実行する可能性のある攻撃と比較して、はるかに高い忍耐力/持続性/創造性が発揮されていたという。また、攻撃者は中国系とみられ、IT インフラを分析するために、85 個の AI スキルを開発して、攻撃を実行したとみられる。そこで悪用されたのは、IT 環境のセキュリティ・テストのための、広く利用されているベスト・プラクティス集である。

さらに Borland は、最初の攻撃経路が発見された後であっても、AI を悪用する攻撃者たちが、蓄積されている別の攻撃手段を投入する可能性があると想定すべきだと、サイバーセキュリティ・チームに対して指摘している。

その一方で、使用されている戦術/手法には一定のパターンがあるため、こうした攻撃を検出することは可能だという。たとえば、エージェントの HTTP 層は、通常 curl/python-requests をベースとしているため、接続に使用するライブラリの特性が TLS ClientHello に現れる。こうしたパターンを検出するよう、サイバーセキュリティ防御を調整することが可能になると、Borland は述べている。

現在の課題は、この攻撃経路を阻止するために必要な制御を導入するだけではなく、AI 時代における攻撃手法の進化を予測することにある。そうしなければ、さらに検出が難しい別の戦術/手法へ移行するサイバー犯罪者に追いつけなくなると、Borland は指摘している。

現時点で問題となるのは、サイバー犯罪者がハーネスを利用し、マシンスピードで高度な攻撃を実行するようになるかどうかではなく、いつまでに、どれだけ多くの攻撃者が、そうした手法を利用するようになるのかという点である。Abstract Security/Gambit Security が詳述する攻撃が示唆するのは、こうした攻撃者の一部が、すでにスキル/専門知識を獲得していることであり、多くの攻撃者が模倣し始めるとみられる状況である。