Tor Project からネットワーク・リレーが削除:営利目的での運営は理念に反する

Tor Project removes relays because of for-profit, risky activity

2023/11/20 BleepingComputer — 先日の Tor Project の発表は、複数のネットワーク・リレーを削除することで、すべての Tor ネットワーク・ユーザーにおける、セキュリティ問題に対処するというものだ。Tor ネットワーク・リレーは、暗号化されたデータを受信して次のノードに渡すことで、Tor ネットワークを通じてオリジナル・トラフィック・ソースを匿名化する、ルーティング・ポイントのことである。Tor ネットワーク・リレーは、インターネット上のプライバシー/セキュリティ/匿名性/情報の自由に情熱を傾ける、ボランティアや愛好家たちにより運営されている。


今回、Tor Project が発見したのは、一部のリレー運営者が、Tor Project の支持や承認を得ることなく、暗号通貨トークンによる金銭的利益を約束するリスクの高い、営利目的の暗号通貨スキームに関与していたことである。

Tor Project は、「私たちは、特定のリレーが要件を満たしていないこと、また、このような金融スキームは、悪意のある個人を引き寄せ、また、ユーザーを危険にさらだけではなく、Tor コミュニティを支えるボランティア主導の精神を混乱させる可能性がある。したがって、ネットワークの完全性と私たちのプロジェクトの評判に、重大な脅威が生じるなどの多くの理由から、これらのリレーは Tor ネットワークにとって有害であると考えている」と述べている。

リレーが切断されたオペレータの多くは、自分が貢献しているプロジェクトを認識していなかったことで、自分自身を危険にさらしていた。また、安全ではない地域やリスクの高い地域で、リレーを運用していた人もいたという。

ネットワークからリレーを削除したことで、コミュニティではリレーのポリシーや、違反にあたる事柄について、多くの議論が巻き起った。そのため、Tor チームは、その決定にいたる経緯について明らかにした。

営利目的でリレーを運営することは、インターネット検閲や蔓延する監視と戦うボランティアという、コミュニティを支える、崇高な精神原理に反するものだ。

もし営利目的の要素の規模が拡大し、Tor ネットワークのリレーの大きな割合を消費するならば、コミュニティの権力が怪しげな手に落ち、ネットワークの安全性は侵襲的な中央集権により損なわれるだろう。

BleepingComputer は Tor Project に対して、削除されたリレーと、それがネットワークにもたらすリスクについての詳細を問い合わせたが、回答は得られなかった。

その一方で、Tor の投稿の下でコメントしているユーザーは、ブロックされたリレーは ATor (AirTor) にリンクしており、その数は 1000近くあると主張している。しかし、この情報の信憑性は確認されていない。

ATOR のサービス・サイトには、「オンチェーン報酬を通じて分散型インターネット・リレー・オペレーターに力を与え、ハードウェアを通じてオープンで匿名なプロトコルをより広く提供することを促進する」と記されている。