Neiman Marcus のデータ侵害:Snowflakeアカウントのハッキングで個人情報が漏えい

Neiman Marcus confirms data breach after Snowflake account hack

2024/06/25 BleepingComputer — 高級小売店の Neiman Marcus は、最近の Snowflake データ盗難攻撃の被害に遭遇し、同社から盗み出されたデータベースの売却を、ハッカーが試みていたことを明らかにした。同社がメイン州の司法長官事務所に提出したデータ流出通知によると、この流出により影響を受けた人々は 64,472人に及ぶという。この通知の中で Neiman Marcus は、「2024年4月 〜 5月に、Neiman Marcus グループが使用しているデータベース・プラットフォームに、脅威アクターが不正アクセスしていたことが、5月に入ってから判明した。さらに、当社の調査により、データベース・プラットフォーム上の個人情報が、この脅威アクターにより盗み出されていたことが判った」と述べている。


さらに同社は、「流出した情報の種類は、それぞれの被害者により異なるが、氏名/連絡先/生年月日や、 Neiman Marcus あるいは Bergdorf Goodman のギフトカード番号 (ギフトカードの暗証番号は除く) などが含まれていた」と詳述している。

情報漏洩が発見された時点で 同社は、データベース・プラットフォームへのアクセスを無効化し、サイバー・セキュリティの専門家と共同で調査を行い、法執行機関に通知したとしている。

なお、Neiman Marcus と Bergdorf Goodman のギフトカード番号は流出したが、データには暗証番号は含まれていないため、いまもギフトカードはとのことだ。

Neiman Marcus は、「先日に Neiman Marcus Group  (NMG)は、サードパーティの Snowflake が提供し、NMG が使用するクラウド・データベースが、不正アクセスを受けたことを確認した」と、BleepingComputer と共有した声明で述べている。

Snowflake のデータ盗難攻撃との関連性

Neiman Marcus のデータがハッキング・フォーラムで、”Sp1d3r “ という脅威アクターにより $150,000 で売りに出されているという報告の後に、このデータ侵害に関する通知が公開された。この脅威アクターは、最近の Snowflake データ窃盗攻撃で侵害された、他の多数の企業のデータも売却していると見られている。

ハッキング/フォーラムへの投稿の中で Sp1d3r は、Snowflake には言及していない。しかし、Sp1d3r がデータベース・プラットフォームからデータを盗むために作成した、”Raped Flake” というカスタム・ツールの名が記載されている。

Neiman Marcus data for sale on a hacking forum
ハッキング・フォーラムで売りに出された Neiman Marcus のデータ
Source: HacManac

Sp1d3r によると、盗まれたデータは、Neiman Marcus が公表したものに限定されないようだ。具体的に言うと、社会保障番号の下4桁/顧客取引/顧客のEメール/ショッピング記録/従業員データ/数百万件のギフトカード番号なども含まれているという。

このアクターの主張は、フォーラムへ投稿する前に Neiman Marcus への恐喝を試みたが、同社は身代金の支払いを拒否したというものだ。しかし、フォーラムにおける該当の投稿とデータ・サンプルが、その直後に削除されたことから、同社と脅威アクターの交渉が始まったという可能性も否定できない。

165の組織が SnowFlake 攻撃の影響を受けた可能性

SnowFlake/Mandiant/CrowdStrike の共同調査により、UNC5537 として追跡される脅威アクターは、盗み出した顧客の認証情報を悪用することで、アカウントに多要素認証を設定していない 165の組織を、標的としていたことが明らかになった。

また Mandiant が、Snowflake 攻撃と関連付けているのは、2024年5月以来 UNC5537 として追跡している金銭的な動機を持つ犯罪グループである。この脅威アクターは、ユーザー組織に侵入してデータを盗み出し、被害組織に恐喝を試みることで知られている。その交渉の内容と条件は、身代金を支払うことで、盗み出したデータを公開や、他の脅威アクターへの提供は、行わないというものだ。

Mandiant は、UNC5537 について、それほどの詳細情報は公開していない。しかし BleepingComputer は、彼らが脅威アクター・コミュニティの一員であり、特定の Web サイト/Telegram/Discord などを頻繁に訪れていることを確認した。そして UNC5537 は、Snowflake アカウントに侵入するために、2020年以降の情報窃取マルウェア感染により盗まれた、認証情報を悪用していることも判明した。

Mandiant は、「影響を受けたアカウントは、多要素認証が有効化されておらず、認証に必要なのは有効なユーザー名とパスワードだけという状態だった。情報窃取マルウェアの出力で確認された認証情報には、盗まれてから何年も経過した、今でも有効なものもある。つまり、ローテーションやアップデートが行われていなかったことが示唆される。影響を受けた Snowflake の顧客インスタンスは、信頼できる場所からのアクセスのみを許可する、ネットワーク許可リストを持っていなかった」と述べている。

UNC5537 Snowflake attack timeline
UNC5537 Snowflake 攻撃のタイムライン
Source: Mandiant

すでに Snowflake と Mandiant は、これらの進行中の攻撃にさらされる可能性のある、約 165の組織に対して通知している。

これらの攻撃に関連する、最近の侵害には SantanderTicketmasterQuoteWizardLendingTreeAdvance Auto PartsLos Angeles UnifiedPure Storage などがある。