W3C Slams Google’s Cookie Reversal: Privacy at Risk?
2024/07/30 SecurityOnline — 先日に Google が発表したのは、Chrome におけるサードパーティ・クッキーの段階的な廃止は、もう行わないというものだ。この決定が意味するのは、従来の方法で広告ネットワークが、Web サイトを横断してユーザーを追跡し、センシティブなユーザー情報の収集を行い、ユーザーのプライバシー保護にとって有害な状況を継続するこということだ。それに対して、業界標準化団体である W3C (World Wide Web Consortium) は、Google の決定を強く非難する公開書簡を発表した。Google の動きは、サードパーティ・クッキーを排除しようとする、業界全体の努力を損なうものだと、W3C は考えている。

W3C の Architect for Open Standards & The Web である Hadley Beeman は、「サードパーティのクッキーは、Web にとって良いものではない。サードパーティのクッキーは、複数の Web サイトを絡めてでユーザーの行動を追跡するというトラッキングを可能にする。ログイン/シングルサインオン/E コマースなどのユースケースに役立つ場合もあるが、監視や広告ターゲティングの目的で、サイトをまたぐユーザーのブラウジング活動を、秘密裏に追跡するために使われることもある。このような個人データに対する隠れた収集は、すべての人のプライバシーを侵害する」と述べている。
彼女は、「心配しているのは、我々だけではない。クッキーを定義する RFC (Request for Comments) の更新版では、サードパーティー・クッキーには “固有のプライバシー問題” があると指摘されている。さらに、したがって Web リソースは “サードパーティー・クッキーがユーザー・エージェントにより一貫して扱われることを、当分の間において信頼すべきではない” と記されている。私たちは、それに同意する。さらに、トラッキングに続くデータの収集と仲介は、Privacy International などの組織が指摘するように、社会に有害な影響を及ぼす、政治的メッセージのマイクロ・ターゲティングをサポートし得る。英国の Information Commissioner’s Office などの規制当局も、サードパーティ・クッキーのブロックを求めている」と付け加えている。
1994年に設立された W3C は、Web の主要な国際標準化団体であり、様々なプロトコルの開発と業界メンバー間の互換性の育成を担っている。W3C でさえ、Google を公に批判しているという事実により、同社の決定の深刻な影響が浮き彫りにされている。
Google Chrome の市場シェアは 60%以上を占め、Chromium ベースのブラウザを合計すると、市場の 90%以上を占めることを考えると、W3C の長年の努力を、Google の決定が無にする可能性すら生じてくる。
現在のところ、これらの論争に対して、Google は反応していない。しかし、世界最大の広告会社として、広告は依然として Google の中核事業の一つであり、Google がクッキー・ベースのトラッキング方法を放棄することは困難なのである。
Chrome のクッキー廃止に関する方針変更については、2024/07/22 の「Google の発表:Chrome サードパーティ・クッキー排除の撤回と言訳とは?」が第一報となっています。このときの記事では、EFF (The Electronic Frontier Foundation) の強烈な批判が紹介されていますが、ついに W3C も非難という展開です。Google の狙いが、様子見にあるのか、強行突破にあるのか、そのあたりが分かりませんが、いずれにしても “良くないこと” だと感じます。その一方で、つい先ほどには、「Google Chrome の新機能 App-Bound Encryption:情報窃取マルウェアをブロック」という記事もポストされています。収益構造を、なかなか転換できない Google の苦悩が伝わってきます。
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