イスラエルのレバノン侵攻と情報戦:以前から通信ネットワークに侵入していた? – Al Jazeera

Did Israel infiltrate Lebanese telecoms networks?

2024/09/24 SecurityAffairs — 全面攻撃が差し迫っていることを理由にするイスラエルは、レバノン国民に対して、国内の特定地域から避難するよう警告するために、テキスト/ボイス・メッセージを送信し、無線ネットワークのハッキングを行っている。これらの警告の後に、レバノン南部と東部で大規模な爆撃があり、270人以上が犠牲となった。Al Jazeera によると、イスラエルの諜報機関は、長年にわたりレバノン国民のデータを収集してきたという。専門家たちは、イスラエルのサイバー軍が、レバノン全土の人々の、プライベートな通信の詳細にアクセスした可能性もあると推測している。

イスラエルはレバノンの通信ネットワークに侵入することで、特定の個人を対象とした警告の送信を可能にしたと思われる。専門家たちの推測によると、イスラエルはヒズボラのメンバーだけでなく、レバノン市民のデータにもリアルタイムでアクセスし、同地域の諜報能力を高めているようだ。

9月23日 (月) の早朝に、レバノン南部とベイルートの一部の住民はメッセージと電話を受け取り、ヒズボラが拠点としている地域から避難するよう警告された。それらの警告は、レバノン国内の番号から発信されていた。

レバノン国民に送られたメッセージには、「ヒズボラの武器がある建物にいる場合は、次の通知があるまで、村に近づかないように」と書かれていた。Al Jazeera が入手したメッセージは、ヒズボラの武器がある村には近づかないようにと、呼びかけるものだった。こうした一斉警告は、この地域での紛争激化への懸念を煽っている。

Al Jazeera は、「ベイルートの国営放送である National News Agency によると、レバノンの情報大臣である Ziad Makary も、録音された電話を受けた人物の一人であった」と報じている。Al Jazeera の Mazen Ibrahim は、「イスラエルが、どのようにして携帯電話の番号や位置情報などを入手したのかは不明だ。レバノンの通信インフラにおける、データ漏洩によるものなのか、それとも、イスラエルのハッキングによるものなのか」と述べている。

その一方で、警告を受け取らなかった住民が住む建物を、イスラエル軍が爆撃したとメディアは報じている。このようなメッセージも、現地コミュニティの不安定化を図るイスラエル国防軍が、ヒズボラのメンバーを孤立させるために実施している、PSYOPS (心理作戦) キャンペーンの一環である。

情報分析家たちによると、イスラエルがゴラン高原を占拠した 2023年10月8日以前から、レバノンのネットワークはハッキングされており、固定電話/携帯電話/ナンバープレート管理システムなどの、同国で使用されているほぼ全てのテクノロジーに不正アクセスが生じていたという。

イスラエルのサイバー部隊は、レバノンの国民と同国への訪問者を追跡できる、高度なスパイ・ウェアとハッキング・ツールを開発していた。

2018年にレバノンの国連代表 Amal Mudallali は、「イスラエルがレバノンの通信ネットワークをハッキングしている。そして、ヒズボラとの緊張状態の最中に、爆発が迫っているという録音メッセージを、Kafr Kila の一般市民に送った」と非難している。