SSH Keys Are Crucial for Secure Remote Access but Often Remain a Blind Spot in Enterprise Security
2025/08/19 CyberSecurityNews — 先鋭化する脅威に対応するために、企業におけるセキュリティ戦略は劇的に進化してきた。しかし、ミッション・クリティカルなシステムへのダイレクト・アクセスを可能にする、重要な暗号化認証情報である SSH キーは、組織全体での統制から大きく逸脱し、適切に管理されていない。サーバ/クラウド・インフラ/自動化プロセスへのリモート・アクセスのセキュリティ確保において、基本的役割を果たしている SSH キーであるが、その存在はというと、企業のセキュリティ・フレームワークにおける重大な盲点の一つとなっている。

最近の調査によると、ユーザー組織の 60~90% が、アクティブな SSH キーに対する完全なインベントリを保有しておらず、54% においては、依然としてスプレッド・シートなどの手動プロセスでキーが管理されている。
つまり、このシステム的な監視の欠如が攻撃対象領域を拡大し、横方向の移動/権限昇格/機密システムへの永続的アクセスなどを、脅威アクターたちに許す状況が生じている。

安全なリモート・アクセスにおける SSH キーの重要性
現代の企業環境における、安全なリモート認証の基盤として機能する SSH キーは、堅牢な公開鍵暗号を通じてパスワードレス・アクセスを提供する。
従来からのパスワード・ベース認証とは異なり、SSH キーで用いられるのは、ユーザーが保持する秘密鍵と、ターゲット・システム内に保存される公開鍵で構成される、キーペアによる非対称暗号化である。
この暗号化アプローチの利点として挙げられるのは、ブルートフォース攻撃への耐性/ネットワークを介したパスワード送信の排除/自動化プロセスとのシームレスな統合などの重要なものとなる。
企業インフラにおける、SSH キーの普及は驚異的である。今日の企業インフラの 84% において、何らかの形で SSH プロトコルが使用され、通常のユーザー組織では、サーバ1台あたり 50 ~ 200 個のキーが管理されている。
それをエンタープライズ環境に当てはめると、100 万個を超える SSH キーに相当し、オンプレミス・サーバ/クラウド・プラットフォーム/コンテナ環境/DevOps パイプラインなどにまたがる膨大なキー資産となる。
これらのキーを容易にするものには、システム管理/安全なファイル転送/バックアップ・プロセス/CI/CD 自動化/システム間統合などの重要な操作がある。
パスワード認証との比較において、SSH キーの技術的な実装により複数のセキュリティ上の利点がもたらされる。通常において SSH キーは、2048 Bit 以上のキー長を持つ RSA/ECDSA/Ed25519 アルゴリズムを用いるため、ブルートフォース攻撃による解読は計算上不可能である。
その認証プロセスでは、必要な秘密鍵をクライアントが所有していることを、サーバが確認する暗号化チャレンジが行われるが、その際に機密認証情報はネットワーク経由で送信されない。この設計により、SSH キーは、対話型のパスワード入力が不可能な、自動化されたマシン間通信にも適している。
しかし、デフォルトの SSH キー・コンフィグレーションには、セキュリティ上の課題がある。SSH キーのデフォルトでは、期限切れという概念がサポートされないため、数十年前に生成されたキーであっても、明示的に失効させない限り有効な状態を引きずる。
この永続的な有効性と、高い権限を持つアクセス・パターンが組み合わされると、従業員の在籍期間やプロジェクト・ライフサイクルを超えていく、長期的なセキュリティ・リスクが生じる。
エンタープライズ・セキュリティにおいて SSH キーが見落とされる理由
現代のエンタープライズ・セキュリティにおいては、SSH キー管理が軽視される複数の要因があり、それにより運用上の盲点が生じることになる。
分散的に行われる SSH キーの作成と配布により、従来からの ID ガバナンス・フレームワークの根本が損なわれる。ディレクトリ・サービスや ID プロバイダを介してアクセス制御を行う、集中型の認証システムとは異なり、SSH キーの場合には、適切なアクセス権を持つユーザーであれば自らプロビジョニングできるため、組織におけるモニタリング/ポリシーの適用を回避できる。
特に問題なのは、アドホックな鍵生成である。正式な手順やセキュリティ・ガイドラインに従わない、システム管理者や開発者が、個人のワークステーションやテンポラリ・システム上で SSH キーを作成することも多々ある。
これらの鍵には、適切なパスフレーズ保護が不足するものが多く、しかも、ドキュメントやライフサイクルによる追跡を担保せずに、複数のシステムへと配布される可能性がある。
SSH キー作成は、1回の ssh-keygen コマンド実行で容易に完了するため、セキュリティ・レビューや承認プロセスに関連する摩擦が排除される。
その一方で、SSH キーの永続性は管理上の課題を悪化させる。前述の通り、SSH キーは期限切れにならず、明示的に失効させる必要があるため、それがインフラ全体に拡散されるにつれて、技術的な負債が蓄積されていく。
つまり、ユーザー組織は、従業員が退職した後も、彼らが残していった永続的にアクセス可能な、孤立した鍵の存在に悩まされ続ける。
また、複数のシステム間における鍵の再利用は、侵害された1つの鍵が、広範なインフラ全体での横方向への移動を可能にする、シングル・ポイント・フェイラーを生み出す。
最も重大な見落としとして挙げられるのは、SSH キー資産に対する、一元的な可視性の欠如である。従来からの PAM (Privileged Access Management) ソリューションは、パスワード・ボールトと対話型セッションに重点を置くものであり、SSH キーを無視している。
2022年の調査によると、SSH キーの管理について、セキュリティ・チームの 57% が困難/不可能と認めていた。2024年には、この数字は 27% に減少するが、それでも根本的な課題は解決されていない。
コンプライアンス。フレームワークと監査手順では SSH キーが見落とされ、その代わりにユーザー・アカウントと対話型アクセスが重視される。この規制上の盲点により、SSH キーの拡散は抑制されず、インシデントやフォレンジック調査の際に、初めて明らかになる。
セキュリティ強化における SSH キー管理ツールの役割
エンタープライズ SSH キー管理ソリューションが提供するのは、SSH キーに関するライフサイクル検出/インベントリ化/自動管理などの機能である。これらのプラットフォームは、一元的可視性/自動検出/ポリシー主導のガバナンスにより、SSH キー拡散という根本課題に対応するものだ。
主要ソリューションとして挙げられるものには、Universal SSH Key Manager (UKM)/CyberArk Privileged Access Manager/HashiCorp Vault などに加えて、複数のクラウド・ネイティブ鍵管理サービスがある。
| Tool/Solution | Primary Capability | Key Discovery | Policy Enforcement | Rotation Capabilities | Integration Support | Deployment Model | Best For |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Universal SSH Key Manager (UKM) | Centralized SSH key lifecycle management | Automated network scanning | Built-in policy templates | Scheduled & on-demand | SIEM, ITSM, Directory Services | On-premises, Cloud, Hybrid | SSH-focused environments |
| CyberArk Privileged Access Manager | Comprehensive privileged access management | Agent-based discovery | Advanced policy engine | Automated rotation workflows | Extensive enterprise integrations | On-premises, Cloud | Large enterprise PAM programs |
| HashiCorp Vault | Dynamic secrets and credential management | API-driven discovery | Policy as code | Dynamic secrets rotation | API-first architecture | On-premises, Cloud, SaaS | DevOps and cloud-native |
| Delinea Secret Server | Enterprise secret management platform | Network scanning & agents | Role-based policies | Configurable rotation policies | Active Directory, SIEM | On-premises, Cloud | Microsoft-centric environments |
| BeyondTrust Privilege Management | Privileged account and session management | Comprehensive discovery engine | Granular policy controls | Automated key rotation | Enterprise security stack | On-premises, Cloud, SaaS | Comprehensive privilege management |
| Keyfactor Command | Certificate and key lifecycle automation | Certificate discovery tools | Compliance-driven policies | Certificate lifecycle automation | PKI and certificate authorities | Cloud-first, On-premises | Certificate-heavy environments |
| Cloud-Native Solutions (AWS/Azure/GCP) | Cloud-integrated key management services | Cloud resource integration | Native cloud policies | Cloud-native rotation | Native cloud service integration | Cloud-native only | Cloud-first organizations |
この包括的な比較表は、エンタープライズ SSH キー管理が提供する、多様な機能と導入オプションを示している。それにより、インフラ要件/セキュリティ・ポリシー/運用制約に適合したソリューションを、組織として選択できるようになる。
SSH キー・セキュリティの重要性に関する従業員教育
サイバー・セキュリティ侵害の主要因は人為的なミスであり、インシデントの約 95% を占めている。
SSH キー・セキュリティ教育において必要なことは、技術実装の詳細と広範なセキュリティ意識の双方に焦点を当て、リスク曝露を軽減する行動変容を促すことに集約される。従来からのセキュリティ・トレーニングは、恐怖ベースのメッセージングに依存しているため、行動変容に失敗することが多い。
効果的な SSH キー・セキュリティ・トレーニングの焦点は、日常のワークフローで従業員が遭遇する、実践的なシナリオになるべきだ。
トレーニングのコースでは、強力なパスフレーズの使用/適切な鍵長 (RSA の場合 2048 Bit 以上)/Ed25519 など最新アルゴリズムについて、説明しなければならない。そこで従業員たちが達成すべきことは、SSH キー管理ツールの実践経験と、鍵の作成/配布/ローテーションに関する組織ポリシーの理解となる。
また、ロール・ベースのトレーニングにより、従業員のグループごとに、的確な指導が可能となる。システム管理者が必要とするのは、ライフサイクル管理/セキュリティ強化/監視手順の包括的トレーニングである。開発者は、セキュア・コーディング/CI/CD セキュリティに加えて、ソースコードに鍵を埋め込むリスクについて教育されるべきである。そして管理職は、SSH キーのガバナンス要件とコンプライアンス影響を認識すべきである。
対話型ワークショップと模擬攻撃シナリオにより、SSH キー管理不備の結果を示す学習体験が提供される。具体的には、ラテラル・ムーブメント/権限昇格/SSH キー侵害による、ビジネスへの影響を実証できる。ゲーミフィケーション要素により、従業員のエンゲージメントを維持しながら概念を強化していける。
定期的なフィッシング・シミュレーションと意識向上キャンペーンには、SSH キー固有シナリオを取り込む必要がある。具体的には、秘密鍵窃取や悪意の共有要求であり、それにより従業員は、不審活動を認識/報告できるようになる。継続的な教育プログラムにより、進化する脅威や新たな SSH 脆弱性に対応していく必要がある。
これまでのインシデントの例として挙げられるのは、1400 万を超える脆弱な OpenSSH サーバに影響を与えた CVE-2024-6387 (regreSSHion) や、悪意の npm パッケージを介したサプライチェーン攻撃などがある。これら脅威による影響と、保護対策の実施における役割を、従業員たちは理解すべきである。
SSH キーにおける手順を明確化し、一貫した適用を実現するためには、ポリシーの周知と文書化が必要となる。
組織として実施すべきは、作成手順/使用ガイド/ローテーション/インシデント対応を定義する包括的なポリシーの維持であり、それを定期的に見直して更新することで、脅威と技術の変化に対応していくべきだろう。
SSH キー管理の統計情報
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SSH キーにおけるセキュリティ課題は根深いものであり、体系的な修復が急務となる。脅威アクターたちが、横方向移動や永続化に SSH キーを悪用する事例が増加しているため、事後対応からプロアクティブなガバナンスへと、ユーザー組織は移行すべきである。
Fortune 1000 企業では、適切な SSH キー管理により、年間で $1-3 million のコスト削減が可能とされ、特権アクセス関連インシデントの平均侵害コストは $4.5 million 超えるという。それらを考慮すると、包括的なセキュリティ・プログラムへの投資は、説得力あるビジネス・ケースとなる。
こうした盲点に対処できない組織は、SSH キー資産拡大と脅威アクターによる高度な悪用手法の進展により、セキュリティ・リスクの増大に直面し続ける。
SSH キーという仕組みがとても便利で強力である一方で、その管理の甘さが、大きな脆弱性の原因になっているようです。発行された SSH キーは期限切れにならず、削除しない限り有効な状態を引きずります。そのため、過去のプロジェクトで作られたキーが放置されるケースが多く、それが攻撃者に悪用されるリスクにつながります。こうした分散的で追跡困難な性質が、セキュリティ・フレームワークから漏れやすい原因であると、この記事は強調しています。いろいろと考えさせられますね。よろしければ、カテゴリ AuthN AuthZ も、ご参照ください。
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