AI-Generated Phishing No Longer Needs Malware: It Can Steal Your Session Inside the Browser
2026/07/29 CyberSecurityNews — AI 生成フィッシング・キャンペーンが、従来のマルウェア配信を急速に超えて進化しており、攻防の場を Web ブラウザへと移している。そこでは、アクティブなセッションの乗っ取り/多要素認証 (MFA) のバイパス/従来型のエンドポイント・セキュリティ制御の回避などが、攻撃者により引き起こされている。このような状況が、ANY.RUN の Enterprise Phishing Resilience Report に記されている。

この新たな脅威モデルにより、Security Operations Centers (SOC) が再考せざるを得なくなっているのは、フィッシング攻撃の検出/調査/封じ込めの方法である。敵対者は、悪意の実行形式のペイロードではなく、Adversary-in-the-Middle (AiTM) 技法と AI が作成した誘導文への依存度を高めている。
もちろん、メールゲートウェイ/Endpoint Detection and Response (EDR)/ファイルベースのサンドボックス化などの従来型防御は、引き続き重要である。しかし、それだけでは、もはや十分ではない。
多くのケースにおいて、現代のフィッシング攻撃は、悪意のファイルや不審なプロセスを残さず、正規のブラウザ・セッション内だけで展開されている。
もはやマルウェアを必要としない AI 生成フィッシング
現在の攻撃チェーンで用いられる認証情報を収集するための一般的なインターフェイスは、信頼されたドメイン/多段階のリダイレクト・チェーン/動的にレンダリングされるフィッシング・ページなどであり、それらの痕跡は正規のエンタープライズ・サービスと見分けられなくなっている。
多くの場合において、攻撃者は静的なパスワードではなくセッション・トークンを悪用する。それにより、MFA をバイパスし、永続的なアクセスを維持している。
この変化による、財務面/運用面での影響は大きい。
- Business Email Compromise による損失:FBI の IC3 report によると、BEC は 1 年間で 30.5 億ドルの損失をもたらした。
- 認証情報窃取による侵害の割合:Verizon の Data Breach Investigations Report は、侵害の 53% がフィッシング関連の認証情報窃取に起因するとしている。
- MFA バイパスの傾向:Microsoft の Digital Defense Report は、MFA バイパス・インシデントの 80% が、盗まれたセッション・トークンに直接関連していると強調している。
- AI 生成ソーシャル・エンジニアリング:ENISA の Threat Landscape report は、ソーシャル・エンジニアリング攻撃の 80% に、AI 生成コンテンツが関与していると示している。
SOC チームにとっての主な課題の 1 つは、これらの攻撃が標的とする暗号化 HTTPS セッションへの可視性が不足していることである。フィッシング活動は正規の暗号化トラフィック内に隠れていることが多いため、従来のネットワーク監視ツールでは、悪意の挙動パターンを検出できない。
現代のサンドボックス技術は、ブラウザ・レベルの分析に焦点を移すことで、この可視性のギャップに対処している。これらのプラットフォームは、ライブのリダイレクト・チェーン/Document Object Model (DOM) の変化/動的に注入されたスクリプトなどを含め、ユーザーが体験する形で攻撃を観察できるようにする。それにより、ブラウザ・ネイティブ脅威の完全なコンテキストを提供する。
このフレームワークの中核機能は、自動 SSL 復号である。それは、侵襲的な中間者プロキシに依存するものではなく、プロセス・メモリからセッション・キー (session keys) を直接抽出し、暗号化された Web トラフィックを可視化する。
ANY.RUN の Enterprise Phishing Resilience Report で強調されているように、復号されたセッション・トラフィックを検査するセキュリティチームは、HTTPS 暗号化の背後に隠れるフィッシング・ペイロードと DOM 変更を確認できる。
現代のフィッシング調査は、こうした初期の検出に加えて、一時的なブラウザ・セッションのアーティファクトを永続的な検出ルールへと変換する、脅威インテリジェンス・ワークフローに大きく依存している。
ブラウザ実行中に取得された、DOM 要素/一意のスクリプト変数/隠しフォーム・フィールドは、YARA ツールへの変換が可能となる。これにより、セキュリティ・アナリストは単一のフィッシング URL からのピボットを達成し、関連インフラ/接続されたマルウェア・サンプル/広範な脅威アクター・キャンペーンなどを発見できる。
高度なアーティファクト抽出を活用することで、単一の URL 調査から、関連する数百件の Indicators of Compromise (IOC) を明らかにできる。これらの知見を、エンタープライズの脅威ハンティングに統合することで、企業ネットワーク全体へとフィッシング・インフラが拡大する前に、能動的な早期検出が可能になる。
インテリジェンスを収集しても、それを迅速に運用化できなければ効果は限られる。SIEM/SOAR/EDR プラットフォームに統合された自動脅威インテリジェンス・フィードにより、組織は手動の IOC 管理なしに、新たなフィッシング・キャンペーンを継続的に検出できる。

ライブサンドボックスのインジケーターを自動 SIEM ワークフローと接続することで、SOC チームが可能にするのは、侵害されたセッションの自動隔離/盗まれた認証トークンの失効/悪意の C2 インフラのリアルタイム・ブロックなどである。
| Metric / Indicator | Industry Benchmark | Threat Impact |
| BEC Financial Impact | $3.05 Billion Annually | Direct monetary losses via fraudulent wire transfers |
| Breaches via Credential Theft | 53% of Total Breaches | Primary vector for initial enterprise network access |
| MFA Bypass Rate | 80% Tied to Stolen Tokens | Invalidates traditional password + OTP security layers |
| AI Content Involvement | 80% of Social Engineering | Delivers highly persuasive, error-free lures at scale |
マルウェアレス・フィッシングへの移行が示すのは、敵対者の戦略における根本的な変化である。脅威アクターは、実行可能なバイナリに依存する代わりに、ブラウザ内の ID/セッションの完全性/ユーザーの信頼などを標的にしている。
ブラウザレベルの可視性/メモリベースの SSL 復号/自動脅威インテリジェンス統合を取り入れる組織は、新たな SOC ワークフローの適応を可能にする。それにより、重要システムが侵害される前に、AI 駆動型のセッション窃取の緩和が可能になる。
主な攻撃対象領域が、Web ブラウザの内部に存在する時代において、ライブのユーザー操作と動的な DOM 挙動を観察することは、AI 駆動型フィッシング・キャンペーンを阻止するために不可欠である。
訳者後書:ANY.RUN が提供する最新レポートは、AI を用いて作成された本物そっくりの画面や複雑な転送処理により、従来の対策をすり抜ける新たなフィッシング手法を分析するものです。この種の攻撃により、ログイン状態を維持するための情報が盗まれ、重要な社内サービスへの不正な侵入を許してしまう恐れがあります。システムを安全に利用するためにも、Web ブラウザ内部の動きを詳細に観察できる分析ツールの導入や、通信内容を解読して不審な挙動を検知する仕組みの活用が効果的です。あわせて、連携ツールを用いた自動での通信遮断や情報失効の対応も推奨されます。



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