wolfSSH 1.6.0 がリリース:中間者攻撃による認証バイパスなどに対応

wolfSSH 1.6.0 Fixes 5 Security Flaws Including Critical MITM Host Key Verification Bypass

2026/10/08 CyberSecurityNews — wolfSSL がリリースしたのは、5 件のセキュリティ脆弱性を修正する wolfSSH 1.6.0 であり、ホスト鍵の検証を回避され、攻撃者が SSH サーバになりすます可能性があると警告している。2026年10月6日に公開されたアップデートでは、Windows における権限昇格/未認証での鍵交換処理の悪用/許可されていない転送チャネル/SFTP のメモリ破損の脆弱性が修正されている。5 件の脆弱性の深刻度は、Critical が 1 件、High が 1 件、Medium が 3 件となっている。

深刻度が Critical である CVE-2026-16516 は、wolfSSH 1.5.0 以前のバージョンに影響する。

SSH の鍵交換において、サーバのホスト鍵に含まれる ECDSA 曲線が、接続時に合意したアルゴリズムとの一致を、クライアントが検証していなかったことが判明した。したがって、クライアントとサーバの通信経路上に位置する攻撃者は、ホスト鍵を異なる曲線を使用する鍵に置き換えることが可能になる。

攻撃者は置き換えた鍵に対応する秘密鍵を所有しているため、その状態でも署名検証が成功する可能性がある。ただし、この脆弱性の悪用には、アプリケーション側で公開鍵を適切に検証しないコールバックが使用されていることも条件となる。

この条件は重要であり、影響を受けるすべてのクライアントが、攻撃者の鍵を自動的に受け入れるわけではない。wolfSSL は、この問題の報告者として、GitHub で afldl の名前を使用する研究者 zhangph を挙げている。


2 件目の脆弱性 CVE-2026-83540 (High) は、Windows 版 wolfSSHd 1.4.15~1.5.0 に影響する。同時接続された複数のセッションで、Windows のログオン・トークンを含む認証コンテキストが共有されていた。

パスワード認証/公開鍵認証の両方が、この共有トークンに書き込みを行っているため、有効なアカウントを持つユーザーが、別ユーザーのログオン ID を取得する恐れがあり、その影響はより高い権限を持つアカウントにまで及ぶ。ただし、Windows 以外のビルドは影響を受けない。


3 件目の脆弱性 CVE-2026-84897 は、Diffie-Hellman グループ交換メッセージの処理不備に関する欠陥である。脆弱なサーバが不正なメッセージを受け入れてしまい、クライアント側での未認証の処理を引き起こす恐れがある。

攻撃者は diffie-hellman-group-exchange-sha256 を選択した後、任意に選んだグループを送信し、その数値が素数かどうかを判定する計算負荷の高い処理を強制できる。

リリースノートによると、4096 ビットの素数を含む 1 KB のパケットごとに、約 0.5 秒の CPU 処理が発生するという。このメッセージ処理の脆弱性はバージョン 1.2.0~1.5.0 に影響するが、その後のバージョンは、計算負荷の高い素数判定処理に対応している。WOLFSSH_NO_DH_GEX_SHA256 を使用するビルドは影響を受けない。


4 件目の CVE-2026-81535 は、--enable-fwd を指定してビルドされた wolfSSH 1.4.8~1.5.0 に影響する。このソフトウェアは、アプリケーションの転送ポリシーを確認せずに forwarded-tcpip チャネルのリクエストを受け入れていた。

また、クライアントは自身が要求していないリモート転送用のチャネルも受け入れていた。そのため、通信相手は、アプリケーションが承認していない転送チャネルのために、接続先のエンドポイントへバッファを割り当てさせることが可能になる。


5 件目の CVE-2026-83742 は、Windows 以外のビルドの wolfSSH 1.4.11~1.5.0 に影響する。wolfSSH_RealPath() における長さの計算ミスにより、細工した SFTP パスを処理すると、スタックバッファの末尾を 1 バイト超えた位置に終端 NUL バイトが書き込まれる可能性がある。

この脆弱性を悪用する認証済みの攻撃者は、隣接するデータを破損させ、プロセスをクラッシュさせる可能性がある。また、入力より小さい出力バッファを渡すアプリケーションでは、長さの制限がないコピー処理による追加のリスクも存在する。


管理者/開発者に推奨されるのは、影響を受ける環境を wolfSSH 1.6.0 にアップグレードし、展開前に公式リリースノートを確認することである。

今回のアップデートでは、厳格な鍵交換がデフォルトで有効になり、Cyber Security News が以前に取り上げた Terrapin 攻撃への対策が追加されている。また、RSA ユーザー認証鍵には最低 2048 ビットが要求され、認証失敗の試行回数はデフォルトで 6 回に制限される。