Anatsa Android trojan now steals banking info from users in US, UK
2023/06/26 BleepingComputer — 2023年3月以降の新たなモバイル・マルウェア・キャンペーンにより、米国/英国/ドイツ/オーストリア/スイスのオンライン・バンキング利用者に対して、Android バンキング型トロイの木馬 Anatsa が押し付けられている。この悪質な活動を追跡している ThreatFabric のセキュリティ研究者によると、このマルウェアは Google Play ストア経由で配布され、このチャネルだけで既に3万件以上がインストールされているとのことだ。

このトロイの木馬が装うアプリは、PDF スキャナ/QR コードスキャナ/Adobe Illustrator/フィットネス・トラッカーなどであり、30万回以上もインストールされている。
Anatsa の新たなキャンペーン
このマルウェアの配布は6ヶ月間ほど中断していたが、2023年3月に新たなマルバタイジング・キャンペーンが再開され、Google Play から Anatsa ドロッパー・アプリをダウンロードするよう、潜在的な被害者を誘導していた。

この悪意のアプリは、以前と同様に生産性のカテゴリに属し、PDF ビューア/エディタ/オフィス・スイートなどを装っている。
この悪意のアプリを、ThreatFabric が Googleに報告し、ストアからは削除されるのだが、新たな装いのドロッパーがアップロードされ、キャンペーンは止まらずにいる。
今回、新たに確認された5つのケースでは、いずれのマルウェアもクリーンな状態で Google Play に提出され、その後に悪意のコードへと更新されている。つまり、この手口により、提出時には Google の厳格なコード審査プロセスを回避している。

被害者の端末にインストールされたドロッパー・アプリは、GitHub にホストされている外部リソースを要求し、Anatsa ペイロードをダウンロードするが、それも Adobe Illustrator 用のテキスト認識アドオンを装っている。

ユーザーが正規のバンキング・アプリを起動する際に、Anatsa が行うことは、フィッシング・ページのフォアグラウンドへのオーバーレイや、キーロギングなどであり、それにより、銀行口座/クレジットカード/詳細な支払いなどの金融情報を収集する。
現在の Anatsaトロイの木馬のバージョンは、世界中の銀行機関の、約 600 の金融アプリを標的としているという。

続いて Anatsa は、窃取した情報を用いて銀行アプリを起動し、被害者に代わってトランザクションを実行することで、運営者の金銭窃取プロセスを自動化し、デバイス上での詐欺を完遂する。
ThreatFabric は、「銀行の不正防止システムがあるが、いつも使用しているデバイスで取引が開始されるため、標的とされる銀行の顧客が不正を検知することは、きわめて困難であると報告されている」と説明している。
盗まれたキャッシュは暗号通貨に変換され、指定された国々のマネーミュールの広範なネットワークへと引き渡される。それらのマネーミュールは、盗んだ資金の一部を収益分配として取得し、残りを攻撃者に送金する。
Android の保護
Anatsa のようなマルウェア・キャンペーンが世界を標的として拡大する中、Android デバイスにインストールされるアプリについて、ユーザーは警戒する必要がある。
たとえ Google Play のような信頼できるストアであっても、疑わしいパブリッシャーから提供されるアプリのインストールは避けるべきだ。常にレビューをチェックし、悪意の行為を示す報告パターンの有無を確認すべきである。
さらに、可能であれば、インストール数やレビュー数が少ないアプリは避け、有名な Web サイトなどで紹介されているアプリをインストールすべきだ。
Google Play 上の多くのアプリが、悪意のアプリと同じ名前を持っているという厄介な問題がある。したがって、Anatsa をプッシュしているパッケージ名とシグネチャ・リストについて、ThreatFabric レポートの Appendix で確認し、もし、それらがインストールされている場合には、Android デバイスから直ちに削除することを推奨する。
BleepingComputer は Google に対して、ドロッパー・アプリの悪意のアップデートを、Anatsa の運営者が Play ストアに提出する方法と、報告されたドロッパーを迅速に交換する方法を説明するよう求めたが、この記事の公開までにコメントは得られなかった。
更新 6/27 – Google の広報担当者は、「これらの特定された悪質なアプリは、すべて Google Play から削除され、開発者は BAN された。また、Google Play プロテクトは、Google Play サービスを利用する Android 端末上で、このマルウェアの混入が判明しているアプリを自動的に削除し、ユーザーを保護する」というコメントを BleepingComputer に返信した。
Google Play で配布される、Android バンキング・トロイの木馬は、日に日に進化し、その攻撃対象を拡大し続けています。文中にもあるように、運営者の金銭窃取プロセスを自動化することで、大規模なキャンペーンを支えようとしているようです。よろしければ、以下の関連記事も、ご参照ください。
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