Microsoft Exchange の古い脆弱性:インターネットに露出する 20,000 のサーバについて考える

Over 20,000 vulnerable Microsoft Exchange servers exposed to attacks

2023/12/02 BleepingComputer — 欧州/米国/アジアにおいて、パブリックなインターネット上に公開されている、数万台の Microsoft Exchange 電子メール・サーバーには、複数のリモート・コード実行の脆弱性が存在する。これらのメール・システムには、現在でサポートが切れているバージョンも含まれており、いかなる種類のアップデートも、受けることが不可能なものもある。

Exchange Server 2007 はまだ稼動中

The ShadowServer Foundation のインターネット・スキャンによると、パブリック・インターネット上で、現時点でアクセス可能な Microsoft Exchange サーバのうち、約 20,000 台近くが EoL (end-of-life) の段階に達しているという。

2023/12/1 の時点では、10,000台以上の Exchange サーバがヨーロッパに存在し、北米には 6,038 台、アジアには 2,241 台となっている。

Microsoft Exchange servers that no longer receive any updates
サポートが終了したMicrosoft Exchangeサーバー
ソース ShadowServer Foundation

しかし、Macnica のセキュリティ研究者である Yutaka Sejiyama は、サポートが終了した Microsoft Exchange サーバーが 30,000 台強あることを発見している。したがって、ShadowServer の統計が、全体像を示していない可能性もある。

11月下旬の時点で、Sejiyama が Shodan 上で行ったスキャンによると、サポートが終了したバージョンの Microsoft Exchange を搭載する 30,635 台のマシンが、パブリックな Web 上に存在していた:

  • Exchange Server 2007 が 275 インスタンス
  • Exchange Server 2010 が 4,062 インスタンス
  • Exchange Server 2013 が 26,298 インスタンス
リモートコード実行のリスク

また、この研究者が更新率を比較したところ、2023年4月以降において、全世界の EoL Exchange サーバの数が、43,656 台から 18% だけしか減少していないことが判明した。彼は、「最近でも、これらの脆弱性が悪用されているというニュースを目にしている。多くのサーバが、依然として脆弱な状態にある」と述べている。

ShadowServer Foundation が強調するのは、パブリックな Web 上で発見された古い Exchange マシンには、複数のリモートコード実行の脆弱性が存在していることである。

古いバージョンの Exchange メールサーバを実行しているマシンの一部には、ProxyLogon と呼ばれる脆弱性 CVE-2021-26855 が存在し、別の脆弱性 CVE-2021-27065 との連鎖により、リモート・コード実行にいたる可能性があるという。

Sejiyama によると、スキャン中にシステムから得られたビルド番号をベースにすると、ProxyLogon/ProxyShell/ProxyToken などの脆弱性が存在する Exchange システムは、1,800 台近くに上るという。

ShadowServer によると、スキャン対象のマシンには、以下の脆弱性が存在する可能性があるという:

上記の脆弱性の深刻度について Microsoft は、 “critical” ではなく “important” と評価している。さらに、すでに攻撃で悪用されている ProxyLogon チェーンを除き、その他の脆弱性については、悪用の可能性が高いと述べるに留めている。

ただし、古い Exchange サーバを運用している企業が、利用可能な緩和策を実施することも可能だ、しかし Microsoft は、外部に面しているサーバに対しては、新たなバージョンへのアップデートを推奨している。つまり、それらの緩和策は、十分とは言えないのだろう。

また、サポートが終了したインスタンスの場合には、セキュリティ・アップデートが提供されているバージョンへのアップグレードが、残された唯一の選択肢となる。