DOJ Proposes Breaking Up Google: Calls for Sale of Chrome Browser
2024/11/21 HackRead — Google に対する反トラスト訴訟において DOJ は、Chromeブラウザの売却および、検索処理の制限、そして、独占を制限するための事業再編などの、厳しい提案を行っている。米国司法省 (DOJ) は、Google に対する反トラスト訴訟の一環として、同社の事業構造とインターネットにおける役割を完全に変えると思われる、きわめて大きな変革を提案している。

DOJ による最新の申し立ては、Google の主要資産の売却を求めるものであり、その中には Chrome ブラウザも含まれ、Android と検索業務に影響を与える可能性のある構造変更を求めている。この提案に対して Google は強く批判し、イノベーション/セキュリティ/消費者の選択に対する脅威だと位置付けている。
訴訟の背景
2020年10月の時点で、Google に対して反トラスト訴訟を起こした DOJ は、検索エンジン市場での優位性を悪用し、競争を抑圧していると非難している。この訴訟がフォーカスするのは、Apple や Mozilla およびスマートフォン・メーカーといった主要パートナーと、Google が締結した検索配信契約である。また、これらのパートナーたちは、Google 検索をブラウザやデバイスのデフォルトにすることで、Google の独占を後押したとされている。
DOJ の主張は、これらの慣行により競争が阻害され、競合する検索エンジンの市場への参入が阻止されているというものだ。この訴訟の中心にあるのは、Google の行動が公正な競争と革新を妨げ、最終的に消費者に損害を与えている論旨である。
司法省の提案
司法省の最新の提出書類 (PDF) を、HackRead として分析してみた。Google の支配を終わらせるために、DIJ が概説/提案している内容は以下のとおりである:
- Chrome と Android の売却:Google によるインターネット・アクセス・ポイントへの制御を緩和させるするために、DOJ は Chrome と Android の売却を提案している。(ただし Android に関しては推定の部分が多い)
- 検索選択画面:この提案では、Google による選択画面の実装を要求している。この画面により、Google Pixel スマートフォンなどのデバイスにおいて、ユーザーは好みの検索エンジンを選択できる。この設計は、新たに提案された Technical Committee により承認される必要がある。
- データ共有要件:Google に対して求められるのは、外国企業を含む競合他社との間での、検索データやイノベーションの共有である。
- デフォルト検索契約の禁止:Google 検索をデフォルト・エンジンにするための契約が、Apple や Mozilla などのパートナーとの間で、締結されることを禁止しようとしている。
DOJ の主張は、これらの措置により公正な競争が確保され、また、デジタル市場のバランス回復のためにも必要だというものだ。
Google の対応
これに対して Google は、極端で過激な介入主義の論法であり、また、消費者にとって有害であるとし、強く反対している。2024年11月11日に公開されたブログ投稿で Google は、この提案がもたらすのは、以下の事柄であると主張している。
- プライバシーとセキュリティの毀損:Chrome と Android を売却すると、それらのプラットフォームに組み込まれたセキュリティ機能が低下し、ユーザー・データにおけるセキュア・リスクが高まる可能性がある。
- イノベーションの阻害:これらの措置により、同社がグローバルでリードする、人工知能などの最先端技術への投資が冷え込む可能性がある。
- パートナーと開発者における損害:Google の主張は、この提案により Mozilla などのパートナーに損害が生じるというものだ。Mozilla の Firefox ブラウザは、Google の検索配置契約からの収益に依存している。
- 過剰な規制の導入:広範な権限を持つ Technical Committee の設立により、Google の業務を監督することは、前例のない行き過ぎだと行為だと批判している。
Google の主張は、検索市場における自社の優位性を支えるのは、業界最高品質の検索エンジンの提供もあり、不公正な慣行によるものではないというものだ。同社は、独自の提案を提出し、来年も法廷闘争を続ける予定である。
業界全体への影響
DOJ の提案が実施されると、テクノロジー業界の勢力図やビジネス慣行に、大きな変化が見られると想像できる。
- Browser/OS 市場への影響:Google に対して、Chrome や Android の売却が強制されると、競合他社にチャンスが生まれろ。その一方で、Google の統合エコシステムに依存している、何百万人ものユーザーの利益が損なわれる可能性もある。
- 検索市場の競争:検索選択画面などの対策により、小規模な検索エンジンが勢いを増す可能性がある。その一方で、批評家たちは、このような介入はユーザーを混乱させ、エクスペリエンスの低下につながる可能性があると主張している。
- 人工知能開発:AI 投資削減に関する Google の主張は、自動化/機械学習などの進歩に対して、広範囲にわたる影響が生じる可能性を示唆している。
- グローバル・テクノロジー・リーダーシップ:この訴訟は、米国のテクノロジーが保有する競争力に対する懸念を引き起こす。この救済策により、米国において最大の影響力を持つテクノロジー企業の一社が、弱体化していく可能性が生じる。
DOJ の提案は、世界で最も強力な企業を制限するための、単純な措置を意味しているが、まだ戦いは終わらない。Google は措置に異議を唱えると宣言しており、この訴訟に関する論争が数か月は続くだろう。
この法廷闘争は、テクノロジーの世界における競争と進化を、どのようにバランスさせていくべきかという課題でもある。その結果により、テクノロジーとオンライン検索の使い方が、今後の何年にもわたるかたちで変化していく可能性がある。
なぜ、Google は、こうなった? ・・・ と思ってしまう展開ですね。たしかに、マーケットを独占しているとも言える Chrome の存在は、きわめて突出したものです。だからといって、一挙に経営分割までというのも強烈です。ただ、こうしないとダメだという感触が、DOJ にはあるのでしょう。これからの展開に注目です。

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