コンプライアンスのためのペンテスト? そんな時代遅れのループに嵌まっていませんか?

Pen Testing for Compliance Only? It’s Time to Change Your Approach

2025/05/15 TheHackerNews — 次のような状況を想像してほしい。ある組織が、1月に年次ペネトレーション・テストを完了し、セキュリティ・コンプライアンスで高い評価を得た。そして2月には、開発チームが定期的なソフトウェア・アップデートを導入した。しかし4月には、そのアップデートで混入した脆弱性を悪用する攻撃者が、顧客データにアクセスした。それは、この脆弱性が検知される数週間前のことだった。

それは、単なる理論上の話ではない。ポイント・インタイムのコンプライアンス・テストでは、評価後に混入した脆弱性から保護できないことに、ユーザー企業は気づき始めているが、このようなインシデントが繰り返して発生という状況が続いている。

Verizons 2025 Data Breach Investigation Report によると、脆弱性の悪用は前年比で 34% 増加している。コンプライアンス・フレームワークは、重要なセキュリティ・ガイドラインを提供しているが、それとは別にユーザー企業には、攻撃者が悪用する前に新たな脆弱性を特定して修正するという、継続的なセキュリティ検証を行う必要性が生じている。

この記事では、コンプライアンス基準を満たすための、ペネトレーション・テストについて知っておくべきことを解説する。そして、ペネトレーション・テストの目標が、最低基準を超えるところに設定される場合に、継続的なペネトレーション・テストの導入が必要なる理由についても説明する。

ペンテストの現状

コンプライアンス重視のペンテスト

多くの組織と同様に、あなたの組織も、PCI DSS/HIPAA/SOC 2/ISO 27001 などの、基準となるフレームワークを満たすために、ペンテストを実施しているかもしれない。しかし、包括的なセキュリティ体制の構築ではなく、コンプライアンス要件を満たすためのチェックリストを、単純に消し込んでいくことに焦点を当てるペンテストでは、セキュリティ対策と実際の脅威対策の間に、危険な乖離が生じてしまう。

限界

コンプライアンス重視のペンテストには、組織を脆弱にしてしまう、いくつかの限界が存在する。

表面的なセキュリティ:コンプライアンス重視のペンテストは、通常において、コンプライアンスに関連する脆弱性のみを対象としている。コンプライアンス要件の遵守のみに、組織がペンテストを集中させている場合には、セキュリティ対策は表面的なレベルに留まり、規制フレームワークの対象外となる脆弱性を、特定する機会を逃してしまう。したがって、それらの未検出の脆弱性が、システムへの攻撃ベクターを攻撃者に与え、壊滅的なデータ侵害や業務の中断という可能性を生じていく。

静的な性質:サイバー攻撃者とデジタル環境は急速に変化している。それは、コンプライアンス基準を待ってくれない。規制の枠組みが新たな脅威に追いつくまでに、数か月〜数年を要する間に、そして、コンプライアンス重視の侵入テストの実施間隔が空白を生み出す間に、新たな脆弱性を突くエクスプロイトを、攻撃者たちは積極的に開発している。これらの脆弱性が、コンプライアンス・チェックリストに現れる頃には、すでに無数のシステムが侵害されているという可能性がある。

誤ったセキュリティ認識:組織はコンプライアンスとセキュリティを混同し、監査スコアに合格すれば十分に保護されていると考えがちである。しかし、実際のところコンプライアンス認証は、高度な攻撃者なら簡単に回避できる最低基準を示すものに過ぎない。監査に合格した企業であっても、基本要件を超えた防御強化に取り組むべきだが、油断してしまうことが多々ある。

継続的な侵入テストの重要性

継続的なセキュリティ・テストを導入することで、ユーザー組織には多くのメリットがもたらされる。

コンプライアンスを超えて:定期的なコンプライアンス・チェックでは見逃される可能性のある脆弱性を、プロアクティブかつ継続的なペンテストにより発見することは可能である。熟練したヒューマン・テスターであれば、ビジネスロジック/認証システム/データフローなどにおける、複雑なセキュリティ上の欠陥を発見できる。また、自動スキャンにより、開発サイクル中に発生する可能性のある問題を監視できる。つまり、定期的かつ包括的なテストを実施することで、組織は監査人を満足させるだけではなく、攻撃者に対して常に一歩を先行できる。その結果として、次のコンプライアンス・レビューに合格するだけではなく、より高度な脅威にも耐えられる、回復力の高いセキュリティ体制を構築できる。

継続的な改善:セキュリティの脅威は常に変化するため、組織にとって必要なことが、ポイント・インタイムの評価から、継続的なテストを導入へと移行している。また、定期的なペンテストにより、攻撃者が悪用する前に、脆弱性を発見できる。たとえば、Pen Testing as a Service (PTaaS) を活用すれば、社内チームに過大な負担をかけることなく、継続的なセキュリティ検証を実現できるだろう。PTaaS を利用することで、新たな脅威を適時に検知し、迅速に修正措置を講じることが可能となる。侵害が発生してから対応するのではなく、PTaaS による実環境テストを実施し、セキュリティを継続的に強化することで、攻撃者よりも先行することが可能になる。

セキュリティのためのペンテスト戦略

システムの保護において、本質から貢献できるペネトレーション・テストを実施するためには、以下のような戦略構成要素に重点を置くべきだ。

定期的または継続的なテスト

脆弱性をリアルタイムで効果的に解決するために、組織にとって必要なことは、定期的にペンテストを実施することだ。そこに含まれるものには、重要なシステム変更後や大規模なシステム導入前のペンテストもある。つまり、理想的なペンテストの頻度と深さは、資産の複雑さや、事業運営における重要性、そして、外部への露出度などにより異なるものとなる。

たとえば、オンラインストアの運営の場合なら、重要な顧客データと支払い情報を保有し、定期的な変更やプラグインの更新を行うと想定されるので、継続的なテストの導入が適切となるだろう。その一方で、マーケティング部門の秋季キャンペーン用マイクロ・サイトであれば、四半期ごと、または、年次での評価で済むかもしれない。

他のセキュリティ対策との統合

組織のセキュリティ効果を、最大限に高めたいだろうか? もし、そうなら、ペンテストと EASM (External Attack Surface Management) を組み合わせほしい。デジタル・フットプリントを特定し、重要アプリを最新の脅威データに基づいてテストすることで、高リスクの脆弱性を優先的に特定しながら、インターネットに接続された資産における、監視/保護/テストの漏れという状態を残さないようにできる。

カスタマイズと脅威主導のペンテスト

それぞれの組織には、それぞれの業種/テクノロジー・スタック/事業運営があるため、それらをベースにした固有のセキュリティ課題に直面する。したがって、ペンテストをカスタマイズすることで、画一的な評価に対する時間とリソースの浪費を、抑制することも重要である。つまり、それぞれのビジネスに固有の脅威プロファイルに焦点を当て、最も活発な脅威アクターと、最も大きな損害をもたらす脅威アクターを特定できれば、侵害が発生する可能性が最も高い領域のテストを実現していける。

克服すべき課題とは?

明らかなメリットがある一方で、多くの組織が悩むのは、リソースと組織文化が生み出す、ペンテスト導入に対する一般的な懸念である。

リソースの割り当て

予算における制約だけではなく、資格のあるセキュリティ担当者の不足といったリソースの問題により、多くの組織は適切なペンテスト・プログラムを導入できていない。しかし、PTaaS と、Outpost24 の Cyber​​Flex サービスのような、検出とテストを組み合わせるサービスは、予測可能なサブスクリプション・モデルと、認定テスターに対するアクセスの提供により、これらの課題を解決していく。それにより削減されるのは、社内で専門知識を維持するための費用である。

文化の転換

コンプライアンス主導のセキュリティを、さらに進化させる上で必要なことは、継続的なテストとプロアクティブなリスク管理を、組織のリーダーシップにより優先させていくという、文化の転換である。セキュリティが組織文化に根付くにつれて、ペンテストのいち付は、定期的なチェックリスト項目から、攻撃者に先行して脆弱性を発見して対処する、継続的なプロセスへと変化していく。

統合ソリューションによる対策

最高レベルのセキュリティを実現しようとする組織は、環境内の全アプリケーションを把握し、それぞれを徹底的にテストする必要がある。その際には、Outpost24 の Cyber​​Flex のような、統合ソリューションが役立つ。

EASM と PTaaS をプラットフォーム・レベルで統合することで、サイバー・セキュリティの専門家はインターネットに接続する全アプリを特定し、詳細な分類を介してリスクの優先順位付けを行い、柔軟で人間主導の評価により、ビジネス・クリティカルなテストを達成するだろう。

プロアクティブなペンテストへの移行により、ユーザー組織は攻撃を未然に防ぎ、コンプライアンス要件も満たしていける。さらなるコンプライアンス強化とセキュリティ強化を考えてはどうだろう?いま、すぐ、Cyber​​Flex にライブデモを依頼してほしい。

企業におけるペネトレーション・テスト (侵入テスト) の課題と、解決に向けた方向性を丁寧に掘り下げた良記事です。CyberFlex とのタイアップ記事ですが、ウェルカムです。ちょっと長いですが、今後のセキュリティ対策を見直すキッカケになるかもしれません。よろしければ、カテゴリ ProtectionPenetration Test で検索も、ご参照下さい。