Cisco ISE の脆弱性 CVE-2025-20281/20282/20337 (CVSS:10.0) が FIX:root での任意のコマンド実行

Critical Cisco ISE Vulnerability Allows Remote Attacker to Execute Commands as Root User

2025/07/17 CyberSecurityNews — Cisco が公表したのは、Identity Services Engine (ISE)/ISE Passive Identity Connector (ISE-PIC) に存在する、複数の深刻なセキュリティ脆弱性に関する情報である。これらの脆弱性を悪用する未認証のリモート攻撃者は、影響を受けるシステム上のルート権限で、任意のコマンド実行の可能性を手にする。これらの脆弱性 CVE-2025-20281/CVE-2025-20282/CVE-2025-20337 の CVSS スコアは、いずれも 10.0 であり、Critical と評価されている。

脆弱性の概要
CVE IDAffected VersionsPatched VersionsDescription
CVE-2025-20281ISE/ISE-PIC 3.3, 3.43.3 Patch 7, 3.4 Patch 2API unauthenticated remote code execution via insufficient input validation
CVE-2025-20282ISE/ISE-PIC 3.4 only3.4 Patch 2File upload vulnerability allowing arbitrary file execution with root privileges
CVE-2025-20337ISE/ISE-PIC 3.3, 3.43.3 Patch 7, 3.4 Patch 2API unauthenticated remote code execution via insufficient input validation

これらの 3 件の脆弱性は、Cisco ISE /ISE-PIC システムにおける特定の API の、不十分な入力検証に起因する。脆弱性 CVE-2025-20281/CVE-2025-20337 はバージョン 3.3/3.4 に影響するが、CVE-2025-20282 はバージョン 3.4 のみに影響する。

重要な点は、これらの脆弱性において、認証が必要とされないことにある。したがって、有効な認証情報を持たない攻撃者であっても、これらの脆弱性の悪用が可能であり、きわめて危険な状況にあると言える。

脆弱性 CVE-2025-20281/CVE-2025-20337 、ユーザー入力に対する不十分な件法に起因するものであり、細工された API リクエストの送信により、任意のコード実行を攻撃者に許すという。

その一方で、CVE-2025-20282 が示す攻撃ベクターは、特権ディレクトリへの任意のファイルのアップロードと、その後のルート権限での実行を、攻撃者に許すものである。この脆弱性は、重要なシステム・ディレクトリへ向けた、悪意のファイル配置を防ぐための、ファイル検証チェックの欠如を悪用するものだ

影響を受けるシステムと範囲

これらの脆弱性は、Cisco ISE/ISE-PIC のリリース 3.3/3.4 に、デバイスのコンフィグレーションとは無関係に影響を及ぼす。ただし、バージョン 3.2 以下を使用するデバイスは、これらのセキュリティ欠陥の影響を受けない。

数多くのエンタープライズ環境において、ネットワークアクセス制御およびポリシー適用のコア・プラットフォームとして機能する ISE の脆弱性は、広範な影響を及ぼす可能性がきわめて高い。

これらの脆弱性は互いに独立しており、いずれの悪用においても、他の脆弱性との連鎖は不要であるため、攻撃者に対して複数の攻撃ベクターが提供される。

これらの脆弱性は、未認証のリモート攻撃者による悪用が可能であるため、影響を受けるユーザー組織は、緊急のセキュリティ対応が必要な状況にある。

推奨される対策とアップデート

すでに Cisco は、ソフトウェア・アップデートをリリースし、これら3件の脆弱性に対処している。ただし、回避策は存在しない。したがって、Cisco が推奨するのは、バージョン 3.3 Patch 7 および、バージョン 3.4 Patch 2 へのアップグレードである。

現時点で、バージョン 3.4 Patch 2 を実行している組織は、追加の対応は不要である。ただし、バージョン 3.3 Patch 6 を使用している組織は、Patch 7 へのアップグレードが必要となる。

なお、Cisco は、以前リリースした、以下のホット・パッチを廃止している:

  • ise-apply-CSCwo99449_3.3.0.430_patch4-SPA.tar.gz
  • ise-apply-CSCwo99449_3.4.0.608_patch1-SPA.tar.gz

これらのホット・パッチは CVE-2025-20337 に対応していないため、完全なパッチ・リリースへのアップグレードが必要となる。

脆弱性の発見者と悪用状況

これらの脆弱性は、Trend Micro Zero Day Initiative のセキュリティ研究者 Bobby Gould と、GMO Cybersecurity by Ierae の Kentaro Kawane により発見され、適切に開示された。

Cisco の PSIRT は、情報の公開時点において、これらの脆弱性の悪用の証拠は確認されていないと報告している。

影響を受ける Cisco ISE システムを運用している組織は、これらの脆弱性の重大性および、システム全体への侵害の可能性を考慮し、速やかなパッチ適用を最優先事項とすべきである。