Brave 対 Microsoft Recall:洗練されたソユーションによるプライバシー保護

Brave Browser Blocks Microsoft Recall by Default Due to Privacy Concerns

2025/07/23 CyberSecurityNews — Brave ブラウザがバージョン 1.81 以降において導入する重要なプライバシー保護対策は、Windowsユーザー向けに Microsoft が提供して物議を醸している、Recall 機能のデフォルトでのブロックである。Microsoft の Recall とは、ユーザー・アクティビティのスクリーンショットを自動的に取得し、ローカル・データベースに保存するものだ。したがって、この Brave の決定は、ユーザー・プライバシーおよびデータ・セキュリティに関する懸念の高まりを反映するものとなっている。

主なポイント
  1. Brave は、Microsoft Recall をデフォルトで無効化する独自の機能を、すべてのタブに搭載する。
  2. 通常のスクリーンショット機能を維持しながら、すべてのタブを “private” に設定し、Recall をブロックする。
  3. Recall が生成するプレーン・テキスト・スクリーンショット・データベースがもたらす、潜在的な悪用からユーザーを保護する。

この積極的な対応により Brave は、すべてのブラウジング・タブで Microsoft Recall を無効化する唯一の主要 Web ブラウザとなった。この Recall は、ユーザー・プライバシーに対する重大な脅威とされている。それへの対応として、Brave が示しているのは、プライバシーを最大限に高めるデフォルト設定への強いコミットメントである。

Microsoft Recall のブロック

2024年5月に Recall を発表した Microsoft だが、セキュリティ/プライバシーの保護を主張する人々は、このシステム設計には深刻な問題があるとし、大きな非難の波が引き起こされた。

この機能は、数秒ごとに全画面のスクリーンショットをキャプチャし、それをプレーンテキストのデータベースに保存する設計であった。したがって、マルウェアなどによる不正アクセスや悪用の可能性が、そのときから懸念されていた。

この激しい反発を受けた Microsoft は、この機能の展開を一時的に撤回し、大幅な改訂を余儀なくされた。

その後に Microsoft は、Recall のセキュリティ改善を実施したが、そのリスクに対して Brave エンジニアリング・チームは、依然として無視できないほど深刻だと判断した。

Brave の懸念は、たとえば親密なパートナーからの暴力のような、プライバシーの配慮を要するシナリオにおいて、永続的な閲覧履歴データベースが、有害な監視の手段となる可能性である。

Brave の VP of Privacy and Security である Shivan Kaul Sahib が強調するのは、いまの Recall がプレビュー段階にあり、最終的な実装が不透明であることから、直ちに保護措置を講じる必要性があったことだ。

Brave による技術的アプローチ

Brave のアドバイザリによると、このソリューションで採用されるのは、Microsoftが既存のプライベート・ブラウジング・ウィンドウに提供しているプライバシー保護を、すべての Brave ブラウザ・タブにまで拡張する、洗練された技術的アプローチとのことだ。

この実装により、Windows オペレーティング・システムに対して、すべての Brave タブが “private” モードで動作しているという情報が伝達される。その結果として Recall は、Brave におけるブラウジング・アクティビティのスクリーンショットを取得できなくなる。

この方式により、”brave://settings/privacy” にアクセスするユーザーは、”Block Microsoft Recall” トグルを使用できる。


この実装は、GitHub プルリクエスト #29251 に記載されており、他のシステム機能を損なうことなくChromiumのプライバシー機能を迅速に改変できるという、Brave の能力を証明するものとなっている。

Signal との比較とアクセシビリティへの配慮

この DRM フラグを使用して、すべてのスクリーンショットを無効化し、正当なアクセシビリティ・ソフトウェアまで誤ってブロックしてしまう、Signal のアプローチとは異なるものとなっている。つまり、Brave のソリューションは、きめ細かな制御を維持している。

それにより、Recall を明示的にブロックしながら、通常のスクリーンショット機能は引き続き動作し、それに依存するスクリーン・リーダーなどのアクセシビリティ・ツールとの互換性も確保されている。

プライバシー保護の新たな基準の確立

Brave による Microsoft Recall への先制的な対応は、プライバシー保護における重要なマイルストーンであり、オペレーティング・システムの監視機能に対するブラウザ・レベルの保護に関して、新たな基準を打ち立てるものだ。

この実装は、高度な技術とユーザー・プライバシーへの確固たるコミットメントを兼ね備えており、ブラウザの主要機能を維持しながら、潜在的な侵入を意味するシステム・レベルの機能からユーザーを保護するための、テンプレートとなるだろう。