Nagios XI Graph Explorer 脆弱性 CVE-N/A:XSS による任意のJavaScript 実行

Nagios Flaw Enables Remote Attackers to Run Arbitrary JavaScript via XSS

2025/08/27 gbhackers — Nagios が公表したのは、エンタープライズ監視プラットフォーム Nagios XI の Graph Explorer 機能で発見された、深刻なクロスサイト・スクリプティング (XSS) の脆弱性の情報である。この脆弱性を悪用するリモート攻撃者は、ユーザーのブラウザ上で任意の JavaScript を実行できる可能性がある。この脆弱性は、セキュリティ研究者 Marius Lihet により責任を持って開示されたものであり、2024年8月12日にリリースされた 2024R2.1 で、修正済みとなっている。

Graph Explorer は、インタラクティブなチャートやグラフを通じて、パフォーマンス・データやネットワーク・メトリクスの可視化を管理者に提供するものであり、エンタープライズ環境で多用される機能である。

技術的な影響と攻撃ベクター

この XSS の脆弱性を悪用する攻撃者は、正当なユーザー・セッションのコンテキスト内に、悪意の JavaScript コードを挿入できる。その結果として攻撃者は、認証 Cookie の窃取/ユーザー・セッションの乗っ取り/悪意の Web サイトへのリダイレクト/認証済み管理者権限での不正操作などを可能にする。

Graph Explorer 機能のパラメータ処理メカニズムにおいては、入力検証および出力エンコードが不十分であり、スクリプト・インジェクション攻撃のリスクが存在している。したがって攻撃者は、コンポーネント処理で実行される JavaScript ペイロードを取り込んだ、悪意の URL やフォーム送信を作成することで、この脆弱性を悪用できる。

Nagios XI は、エンタープライズ環境における、重要なインフラ監視に広く導入されているため、この脆弱性により、ネットワーク監視およびパフォーマンス管理に深刻なリスクが生じる。特に、権限昇格された管理ユーザーは、悪用の対象として標的化される可能性が高い。

修正内容および改善点

新たにリリースされた 2024R2.1 では、上記の XSS 対策に加え、セキュリティおよび機能の面で大幅な強化が行われている。主な改善点に含まれるのは、ジョブ分散を改善するための Nagios Mod-Gearman との統合/ライセンス・レベルのサポート拡張/専用 SNMP Walk Jobs 管理インターフェイスなどである。また、ダッシュボード管理/RADIUS 認証チェック/キャパシティ・プランニング・レポート表示機能などに影響する、複数の運用上の問題も解決されている。

それに加えて Nagios は、Ubuntu 20 のサポートを終了した。そのため、Ubuntu 20 ユーザーに推奨されるのは、サポートの対象となる OS バージョンへの移行となる。

この脆弱性の影響を受ける Nagios XI を使用する組織は、XSS 脆弱性を排除し、追加の安定性向上のメリットを得るため、このセキュリティ・アップデートの適用を優先すべきである。このリリースは、エンタープライズ監視の要件に対応するプラットフォーム機能を拡張しながら、堅牢なセキュリティ体制を維持する、Nagios の姿勢を示している。

システム管理者にとって必要なことは、現行の Nagios XI 導入状況を確認し、既存のコンフィグとのアップデート互換性を検証した上で、パッチ適用のためのメンテナンス期間を計画することである。定期的なセキュリティ評価と、ベンダーが提供するアップデートの迅速な適用は、エンタープライズ環境における安全な監視インフラを維持する上で不可欠である。