テキスト・メッセージ詐欺の増加と Passkeys の急速な普及：Consumer Cyber Readiness Report 2025

Passkeys rise, but scams still hit hard in 2025

2025/10/03 HelpNetSecurity — 米国が直面しているものにデジタル詐欺の増加があり、多くの人々が、その流れの中で金銭を失っている。第４回目となる Consumer Cyber Readiness Report によると、米国の成人のほぼ半数がサイバー攻撃や詐欺の標的となり、その結果として、10人に 1人が金銭を失っているという。

テキスト・メッセージ詐欺が増加

この調査によると、テキスト・メッセージやメッセージングなどのアプリを使用するユーザーが、詐欺の被害に遭うというケースが増えている。サイバー攻撃や詐欺を経験した人の 10人に 3人が、SMS／WhatsApp／iMessage などのメッセージング・アプリがきっかけだったと回答している。この数値は、昨年の 20%から大幅に増加している。

特に若い世代が影響を受けている。このレポートによると、18歳から 29歳の人々が、テキスト・メッセージ詐欺に遭う確率が 27% も増加している。

Generation Kinetics Center の Jason Dorsey 所長は、「３つのトレンドが重なり、Z世代は、テキスト・メッセージ詐欺の記録的な被害に遭っている。第一に、テキスト・メッセージは、彼らの主要コミュニケーション手段であり、毎日のように何百ものメッセージが送信されるため、詐欺師にとって絶好のチャンスとなる。第二に、彼らの傾向として、未知の連絡先や大規模なグループ・メッセージ・スレッドへの参加があるため、詐欺師の番号と友人の番号と間違えやすくなっている。第三に、彼らは詐欺を見抜く経験が少ない一方で、スマフォで現金決済を行うため、抵抗なく詐欺が成功していく」と述べている。

詐欺被害における人種間の格差

この報告書が浮き彫りにするものには、結果に不平等が生じている憂慮すべき傾向がある。詐欺に遭った黒人米国人は白人米国人と比べて、金銭の損失を報告した割合が２倍以上もあった。詐欺事件に遭った人のうち、黒人米国人の 37% が金銭の損失を報告したが、白人米国人は 15% であった。

下院黒人議員連盟の Yvette D. Clarke 議長は、「黒人米国人が白人米国人の２倍以上の割合で、デジタル詐欺に遭い続けているという現実は容認できない。しかも、改善の兆しを見せていない。こうした格差は、金融保護／標的型詐欺の手口／安全なデジタル・アクセスにおける構造的な不平等を反映している。人種／収入／住所などに関わらず、すべての人々がデジタル世界において安全に暮らせる権利を持っている」と、このギャップについて言及している。

パスキーの普及が進む

今回の調査によると、多要素認証を利用している米国人の 33% が、Passkeys を使い始めていることが明らかになった。Passkeys が導入されてから、僅か３年しか経っていないことを考えると、この普及率は注目に値する。

Passkeys は強力な保護機能を提供するが、早期の導入者はいくつかの課題に直面している。企業がデバイスやサービスごとに、Passkeys サポートを展開する方法が異なるため、混乱が生じる可能性がある。システムが統合されていない場合には、あるプラットフォームで作成された Passkeys が、別のプラットフォームでは機能しない可能性がある。このレポートが推奨するのは、互換性が改善されるまでは、Bitwarden／1Password／LastPass などの、独立したパスワード・マネージャーを使用してパスキーを保存／管理することだ。

プライバシーへの信頼は低下している

人々が自己防衛策を講じるようになった一方で、自分の個人データがプライバシー保護されていると信じる米国人は減少している。今年の調査において、自分のデータが知らない間に配布されることはないと確信している回答者は、僅か 48%であり、昨年の 53% から減少している。

Passkeys などの新しいツールの導入は喜ばしいことではあるが、このレポートが示唆しているのは、デジタル・ライフにおいて消費者が安心できるまでには、長い道のりが残されているという現実である。

米国における調査結果ですが、テキストやメッセージング経由の詐欺増加を通じて、被害が広がる理由が説明されています。主な原因として挙げられるのは、人間的な要因 (若年層の主たる通信手段と経験不足)、プラットフォームの断片化 (Passkeys などのサービス間互換性の不足)、そして、社会的格差による脆弱性の差だと、この記事は指摘しています。日本では、どのような統計値が出るのでしょうか？ よろしければ、Phishing で検索も、ご参照ください。