Elastic Cloud Enterprise の脆弱性 CVE-2025-37729 が FIX:管理者権限による悪意のコマンド実行

Elastic Cloud Enterprise Vulnerability Let Attackers Execute Malicious Commands

2025/10/14 CyberSecurityNews — Elastic が公表したのは、Elastic Cloud Enterprise (ECE) プラットフォームに存在する深刻な脆弱性 CVE-2025-37729 の情報である。この脆弱性により、管理者権限を持つ攻撃者が任意のコマンドを実行し、機密データを流出させる可能性がある。この問題の原因は、Jinjava テンプレート・エンジンにおける特殊要素の不適切な無効化にあると、Elastic のアドバイザリ ESA-2025-21 で報告されている。この脆弱性は複数の ECE バージョンに影響を及ぼす。悪意のインサイダーや管理者アカウントを侵害した脅威アクターに悪用された場合には、エンタープライズ環境に深刻なリスクが生じることになる。

ECE 管理コンソールを介したデプロイメント・プランの処理中に、Jinjava 変数を含む特別に細工された文字列が評価されると、この脆弱性がトリガーされる。つまり、管理者権限を持つ攻撃者であれば、これらのプランに悪意のペイロードを挿入し、コード実行を引き起こすことが可能である。その結果として、機密データの窃取やシステム侵害につながる恐れがある。

Elastic が強調するのは、この脆弱性の悪用の前提として、管理コンソールへのアクセス権と Logging+Metrics 機能が有効化された環境が必要な点である。したがって、脅威の主体は特権ユーザーに限定されるが、共有環境やマルチテナント環境では影響が拡大する可能性がある。

Elastic Cloud Enterprise の脆弱性

この脆弱性の影響が及ぶ範囲は、ECE バージョン 2.5.0~3.8.1/4.0.0~4.0.1 までのビルドを、本番環境で運用している組織となる。特に、ロギングやメトリクス・ワークロードのスケーラブルなクラウド管理に、ECE を活用している組織が高いリスクにさらされる。

CVE-2025-37729 の CVSS v3.1 スコアは 9.1 と評価されており、ネットワーク・アクセス可能性 (AV:N)/攻撃の低複雑性 (AC:L)/高い権限要求 (PR:H)/ユーザー操作不要 (UI:N) を伴う攻撃ベクターを示す。さらに、スコープが変更されることで機密性/整合性/可用性に高い影響を与え得るため、その深刻度はきわめて高い。

概念実証 (PoC) のエクスプロイトは公開されていないが、インタプリタ・コマンドを模倣するペイロードを作成する手法が、アドバイザリには詳述されている。たとえば、Jinjava 式を評価する文字列を挿入すると、他のプラットフォームで見られるテンプレート・インジェクション攻撃と同様に、リモート・コード実行にいたる可能性がある。

この問題について Elastic が指摘するのは、スタンドアロンの Elastic Stack コンポーネントには影響せず、ECE のエンタープライズ・デプロイメント・オーケストレーションだけに影響する点だ。

緩和策

Elastic が、ユーザーに対して強く推奨するのは、テンプレート・エンジンの問題を修正した、パッチ適用済みバージョン 3.8.2/4.0.2 への即時アップグレードである。なお、直接的な回避策は存在しないが、組織は厳格なロールベースのアクセス制御と監視により、管理コンソールへのアクセスを制限することでリスクを低減できる。

潜在的な悪用を検知するため、Elastic が推奨するのは、次のクエリを用いてリクエスト・ログをスキャンすることだ:

(payload.name:int3rpr3t3r) または (payload.name:forPath)

これにより、注入されたペイロードを示唆する不審なアクティビティに、フラグを付けられる。

Indicator of CompromiseDescriptionDetection Method
payload.name : int3rpr3t3rMalicious payload mimicking interpreter commandsLog search in ECE console
payload.name : forPathInjection targeting path evaluation in templatesLog search in ECE console

ハイブリッド・クラウドの可観測性のために、Elastic Cloud Enterprise (ECE) を利用する企業が増えている中、この脆弱性が浮き彫りにするのは、特権管理を厳格に行う必要性である。

Elastic の迅速な開示によりプロアクティブな防御が可能であるが、パッチ適用が遅延すると、侵害されたネットワーク内で内部脅威や横方向の移動 (ラテラル・ムーブメント) を招く可能性がある。