Google の Security AI Agent 群:Chrome 149/150 において 1,072 件ものバグの発見・修正を支援

Google Uses AI Agents to Find and Fix 1,072 Chrome Security Vulnerabilities

2026/07/31 CyberSecurityNews — Google は、Chrome のセキュリティ・ライフサイクル全体において人工知能 (AI) エージェントの利用を拡大し、Chrome 149/150 において 1,072 件ものバグの発見・修正した。その目的は、ソースコード上の弱点を特定し、パッチをテストし、ユーザーに対するセキュリティ更新を加速することにある。現在の AI システムが、ファジングなどの限定的なタスクを支援するだけではなく、広範な Chromium コードベース全体での脆弱性の発見を支援していると、Chrome Security チームは述べている。

同社は、Gemini などのモデルを使用するエージェント・フレームワークを開発した。このフレームワークには、セキュアなコード分析向けに設計された専用ツール/内部ナレッジベース/ガードレールが備わっている。

AI 支援スキャンにより、13 年以上にわたりコードベース内に残っていた Chrome サンドボックス・エスケープの脆弱性も発見されている。この脆弱性により、侵害された renderer process がサンドボックス制限をバイパスし、ブラウザをだましてローカル・ファイルを読み取る可能性があった。

life cycle of a bug ( source : google )
life cycle of a bug ( source : google )

Google によると、同社の AI エージェントは、Chrome コードをレビューする際に、ブラウザの Git 履歴/過去に公表された CVE/セキュリティ・ドキュメント/コンポーネント固有の SECURITY.md ファイルといった、複数のコンテキスト情報を使用する。

これらの情報は、個々の Chrome コンポーネントに関する、信頼境界/予測される挙動/脅威モデルなどを、AI が理解するのに役立つ。

さらに同社は、報告されたバグと提案された修正を独立してレビューする “critic” エージェント群を導入した。この複数エージェントによるプロセスは、開発者が結果を評価する前段階での誤検出を減らし、修復のための提案の品質向上を目的としている。

Number of security bugs fixed in recent Chrome Stable release milestones ( source : google )
Number of security bugs fixed in recent Chrome Stable release milestones
( source : google )

AI は、脆弱性トリアージの自動化にも使用されている。従来、単一のセキュリティ・レポートを確認するには、5 分 〜 30 分ほどの時間を要する場合があった。

現在の Chrome の自動パイプラインは、重複したレポートや無効なレポートの除外/Proof of Concept の確認/影響を受けるプラットフォーム上での欠陥の再現/深刻度評価の割り当て/関連メタデータの追加/責任を持つ開発者やチームへのバグの振り分けなどを行う。

Google によると、この自動ワークフローにより、開発者は数百時間/月のペースで労力を抑えることが可能になる。それにより節約された時間を、複雑なセキュリティ調査/緩和策の開発/高影響の発見事項の手動検証へと振り向けることができる。

修復においては、AI 修正エージェントが複数のパッチ候補を生成する。その後に、”critic” エージェントが、一連のパッチにおける正確性/コーディング標準/Chromium 互換性を評価する。

テスト作成エージェントに関しては、Chrome がサポートするオペレーティング・システムとコンフィグ全体で、回帰テストを作成/検証することもある。

Google が示すのは、DeepMind と Project Zero のツールである Big Sleep や CodeMender などが、Chrome の継続的インテグレーション環境に統合されていることである。

これらのシステムは継続的に動作し、コード変更に応じて 24 時間ごとに実行される。2026年5月だけで、これらのツールにより、20 件を超える脆弱性の本番環境への到達を防いだと、同社は報告している。その中には、Critical 深刻度の問題が 1 件含まれていた。

さらに Google は、パッチ・ギャップにも対処している。それは、公開されたソースコード修正と、ユーザーへの展開までの間隔を意味する。

Google は、セキュリティ更新を、週 2 回のペースでリリースする方向へと移行することを目指している。同社は、完全なブラウザ再起動を必要とせずに、特定の Chrome プロセスを更新できる、動的パッチの適用技術を研究している。

AI 駆動型のバグ発見に加えて、Chrome に対して継続される投資には、C++ 防御の強化/std::span の採用/ヒープ強化/Rust 利用の拡大といった、メモリの安全性の保護もある。