OpenSSH 10.6 がリリース:情報漏洩/不正なファイル書き込み/インジェクションの欠陥を修正

Multiple OpenSSH Vulnerabilities Could Enable Plaintext Recovery, File Write and Injection Attacks

2026/10/16 CyberSecurityNews — 2026年10月6日に OpenSSH がリリースしたバージョン 10.6 で修正されたのは、秘密情報の漏えい/指定したディレクトリ外へのファイル書き込み/特定の条件下でのシェルインジェクションにつながる可能性があるセキュリティ上の脆弱性である。今回のアップデートは、クライアント/サーバのツールを対象としており、リモートアクセス/ファイル転送に SSH を利用する管理者とユーザーに関係する。

SSH の平文復元リスク

公式リリースノートで説明されているのは、それぞれ悪用条件が異なる個別の脆弱性の情報であり、すべての環境に影響を及ぼす攻撃の情報ではない。主な問題は、SSH チャネル間で共有される圧縮/SFTP サーバから返されるパス/シェルコマンドへ渡される信頼できないユーザー名に関係している。

研究者である Fabian Baumer/Marcus Brinkmann が Crossing the Streams で説明しているのは、圧縮に関する脆弱性である。圧縮が有効な場合、1 つの SSH 接続内にある複数のチャネルで圧縮辞書が共有される。したがって、攻撃者が任意のテキストを 1 つのチャネルへ挿入し、暗号化されたトラフィックの長さを観測できる場合には、その変化を悪用して別チャネルで送信される秘密情報を復元できる恐れがある。

この情報漏えいは、繰り返される文字列を、以前のデータへの参照に置き換える LZ77 圧縮に起因する。攻撃者が制御するテキストが、秘密情報の一部と一致すると、その結果として生じるトラフィック長の変化から手掛かりを得られる可能性がある。これは SSH の暗号化自体を破る攻撃ではなく、暗号化される前の圧縮処理により露出する情報を利用するものである。

研究者が実施した最もノイズの少ないテストでは、26 文字のアルファベットから構成される 8 文字の秘密情報を、最大 276 回の推測で復元できた。ただし、この結果はテスト時の条件に依存しており、あらゆる環境に当てはまる復元率として解釈すべきではない。

OpenSSH 10.6 では、ssh/sshd の両方で LZ77 辞書コーダーが無効化された。圧縮自体は引き続き利用できるが、その効果は低下する。開発者が推奨しているのは、信頼できるトラフィックと信頼できないトラフィックの間で、SSH の圧縮を共有しないことであり、可能な場合にはアプリケーションレベルで圧縮することである。

ファイル書き込み/インジェクションの脆弱性

SFTP に関する修正では、サーバから返されるパスの検証が強化された。この変更以前は、悪意のサーバが細工したパスを返すことで、本来のコピー先ディレクトリ外へと、再帰コピーによるファイル書き込みが誘導される可能性があった。この問題を報告し、パッチを提供したのは研究者 Junghoon Cho である。このリスクは、未認証の攻撃者による任意の SSH サーバへのファイル書き込みが生じるというものではなく、サーバからのレスポンスをクライアントが処理する方法に関係している。

別の修正では、SSH コマンドラインで指定する接続先ユーザー名に、ドル記号/バックスラッシュを含めることが禁止された。一部の設定では、信頼できない情報源から取得された名前が、ProxyCommand/Match exec/関連機能を通じてシェルの処理へ渡され、インジェクションを引き起こす可能性があった。

この問題を報告したのは SecBuddyF KeenLab Tencent である。設定ファイルの User ディレクティブで設定されたユーザー名は、新たな制限の対象外となる。OpenSSH は、文字のフィルタリングだけで、すべてのシェルや設定を完全に網羅することはできないとしている。さらに、信頼できない入力を、アプリケーションから SSH のコマンドラインへ直接渡さないよう警告している。

以前に Cybersecurity News が、OpenSSH 10.3 のシェル・インジェクション修正を取り上げた際に、ユーザー名/ProxyJump の検証に関する背景を説明しているが、これらの修正は、今回導入された保護とは別のものである。

今回のリリースでは、GSSAPI 認証情報の処理/トンネルの制限/過大な解凍後パケット/証明書の日付変換に関する問題も修正された。QNX 6/SCO OpenServer 5 など一部の古いプラットフォームでは、保持された root 権限に関連する転送オプションが無効化されている。

管理者にとって必要なことは、アップデートを導入する際に、これらの変更を確認することであり、特に圧縮/転送を必要とする環境では注意が必要となる。一方、AI の支援を受けた脆弱性報告が増加するなか、メンテナはリリース頻度を高める方針を示しており、攻撃者が同じ脆弱性を独自に発見する可能性についても警告している。こうした報告を検証する上で、人間によるレビュー/テストケース/修正案が引き続き重要となる。