Google Chrome 10件の脆弱性が FIX:Critical 1件/High 6件/Medium 3件を修正

Google Chrome 155 Patches Critical Use-After-Free Flaw and Nine Additional Security Bugs

2026/10/16 gbhackers — 2026年10月15日に Google が Stable チャネルで公開したのは、Chrome の 10件のセキュリティ脆弱性を修正する Chrome 155 のリリースである。今回のアップデートでは、ページの事前読み込み機能 Prerender に存在する、深刻度 Critical の脆弱性 CVE-2026-110922 が修正されている。この脆弱性は、解放済みメモリを使用する Use-After-Free (UAF) に起因するものであり、悪用に成功すると、攻撃者によって、メモリ破損やコード実行が引き起こされる恐れがある。すでに Google は、修正済みバージョンの配信を開始しており、今後、数日から数週間かけて順次展開すると説明している。

Chrome 155 の修正済みバージョン

今回公開された Chrome 155 のバージョンは、OS によって異なる。

OS修正済みバージョン
Windows155.0.8059.84/155.0.8059.85
macOS155.0.8059.84/155.0.8059.85
Linux155.0.8059.84

ユーザーは自動更新の配信を待つことなく、Chrome の「Google Chrome について」画面から更新を確認できる。なお、アップデートの適用後は、ブラウザを再起動する必要がある。

Chrome 155 で修正された 10件のセキュリティ脆弱性

Google が公開したセキュリティ・アップデート情報によると、今回修正された脆弱性は以下の 10件となる。深刻度の内訳は、Critical が 1件、High が 6件、Medium が 3件となっている。

CVE ID深刻度コンポーネント脆弱性の種類報告者
CVE-2026-110922CriticalPrerenderUse-After-FreeXinyang Ge
CVE-2026-110913HighDOMメモリ破損Xinyang Ge(Anthropic)、Claudeの支援
CVE-2026-110919HighV8Use-After-FreeXinyang Ge
CVE-2026-110918HighCoreメモリ破損Google
CVE-2026-110917HighSVGメモリ破損C0rk1
CVE-2026-110921HighV8Use-After-FreeXinyang Ge
CVE-2026-110920HighV8メモリ破損Xinyang Ge
CVE-2026-110916MediumDesktop不適切な入力検証Google
CVE-2026-110915MediumCompositingUse-After-FreeGoogle
CVE-2026-110914MediumWorkersメモリ破損Google

今回の修正では、Chromeの主要コンポーネントである Prerender/V8/DOM/Core/SVG などに関する脆弱性が修正されている。

CVE-2026-110922:Prerender に存在する Use-After-Free の脆弱性

最も深刻な脆弱性 CVE-2026-110922 は、Chrome の Prerender 機能に存在する Use-After-Free の問題として報告されている。

Prerender は、ユーザーが次にアクセスする可能性のあるWebページを、バックグラウンドで事前に読み込み、ページ遷移を高速化するための機能だ。

CVE-2026-110922 は、セキュリティ研究者 Xinyang Ge により、2026年10月2日に報告された。

Use-After-Free とは

Use-After-Freeは、プログラムがメモリを解放した後も、そのメモリ領域を使用し続けることで発生する脆弱性だ。解放済みのメモリにアクセスすると、プログラムが予期しない動作を起こし、メモリ破損を引き起こす可能性がある。

この問題を悪用する攻撃者は、状況に応じて、ブラウザのレンダラー・プロセス内で任意のコードを実行する恐れがある。

ただし、今回の CVE-2026-110922 について、Google は具体的な悪用方法の詳細を公開していない。また、多くのユーザーが修正済みバージョンへ更新するまで、関連するバグトラッカーへのアクセスを制限している。

V8 や DOM などに 6件の High 脆弱性

Chrome 155 では、深刻度が High の脆弱性 6件も修正されている。これらの脆弱性は、Chrome の JavaScript/WebAssembly エンジンである V8 や、DOM/Core/SVG などのコンポーネントに存在する。V8 は、Chrome 上で JavaScript/WebAssembly コードを実行するためのエンジンである。今回、V8では以下の3件が修正された。

CVE ID脆弱性の種類深刻度
CVE-2026-110919Use-After-FreeHigh
CVE-2026-110921Use-After-FreeHigh
CVE-2026-110920メモリ破損High

これら 3件は、いずれも Xinyang Ge により報告された。V8 は Web コンテンツのスクリプト処理を担う、重要なコンポーネントであり、それらのメモリ管理に関する脆弱性は、ブラウザの安全性に影響する可能性がある。

CVE-2026-110913:Claude の支援を受けて発見された DOM の脆弱性

今回のアップデートでは、AI を活用した脆弱性研究の事例も注目されている。CVE-2026-110913 は、Chrome の DOMコンポーネントに存在するメモリ破損の脆弱性である。この問題は、Anthropic の Xinyang Ge により 2026年9月29日に報告された。

Google の公開情報では、「assisted by Claude」という記載がある。つまり、脆弱性の発見/調査に AI モデル Claude が関与したことが、報告者情報として明示されている。

AI を活用する脆弱性研究が、広がっていることを示す事例の一つといえる。ただし、AI が単独で脆弱性を発見したと説明されているわけではなく、研究者による調査を支援したものとして記載されている。

Medium の脆弱性 3件

深刻度が Medium の 3件は、いずれも Google の研究者により報告された。対象となるのは以下の脆弱性だ。

CVE IDコンポーネント脆弱性の種類
CVE-2026-110916Desktop不適切な入力検証
CVE-2026-110915CompositingUse-After-Free
CVE-2026-110914Workersメモリ破損

このうち、Desktop に存在する CVE-2026-110916 は、2026年4月12日に報告された。今回の 10件の中では、最も早い時期に報告された脆弱性となっている。一連の修正対象の脆弱性は、2026年4月〜10月に報告されたものだ。

Google は複数のセキュリティ検証ツールを活用

Google によると、今回修正された脆弱性の多くは、複数のセキュリティ検証ツールを活用して発見された。

使用されたツールには、以下が含まれる。

  • AddressSanitizer:メモリアクセスに関する不具合の検出。
  • MemorySanitizer:初期化されていないメモリの使用を検出。
  • UndefinedBehaviorSanitizer:未定義動作の検出。
  • Control Flow Integrity:プログラムの制御フローに関する整合性の検証。
  • libFuzzer:ファジングによる不具合の検出。
  • AFL:ファジングによる異常動作の検出。

こうしたツールは、通常の動作確認では発見しにくい、メモリ破損や不正なメモリ・アクセスなどの問題を検出するために利用される。

実際の攻撃での悪用は報告されていない

Google のセキュリティ・アドバイザリにおいて、今回修正された 10件の脆弱性について、実際の攻撃で悪用されたという報告はない。また、具体的なエクスプロイトの詳細についても公開されていない。

そのため、脆弱性 CVE-2026-110922 などが、すでに攻撃に利用されていると断定することはできない。一方、今回の更新には Critical と評価される脆弱性が含まれており、ユーザーや管理者には早期のアップデートが推奨される。

Chrome 155へのアップデート方法

Chrome を使用しているユーザーは、以下の手順でアップデートを確認できる。

  1. Google Chrome を起動する。
  2. 画面右上のメニューを開く。
  3. 「ヘルプ」から「Google Chromeについて」を選択する。
  4. Chromeが利用可能なアップデートを確認する。
  5. 更新が完了したら、ブラウザを再起動する。

アップデート後は、使用中の OS に対応する修正済みバージョンになっていることを確認することが重要だ。

Edge/Brave/Opera などの Chromium 系ブラウザにも注意

今回の脆弱性は Google Chrome で修正されたものだが、他の Chromium ベースのブラウザにも関係する可能性がある。 Chromium をベースとする代表的なブラウザには、以下がある。

  • Microsoft Edge
  • Brave
  • Opera

これらのブラウザは Chromium のコードを利用しているため、Chrome で修正された脆弱性への対応が、各製品のアップデートにも反映される場合がある。ただし、Chrome の修正済みバージョンが公開された時点で、すべての Chromium系 ブラウザにも修正が適用されているとは限らない。

各ブラウザの利用者や管理者は、それぞれのベンダーが公開するセキュリティ情報を確認し、修正済みリリースが提供されているか確認する必要がある。

今回の Chrome 155 では、Critical な Use-After-Free 脆弱性を含む 10件の問題が修正された。Googleは実際の攻撃での悪用を報告していないが、ブラウザは日常的に外部の Web コンテンツを処理するソフトウェアであるため、脆弱性への迅速な対応が重要となる。