JetBrains TeamCity の脆弱性 CVE-2023-42793:北朝鮮の Lazarus が悪用を開始

North Korean hackers exploit critical TeamCity flaw to breach networks

2023/10/18 BleepingComputer — 北朝鮮のハッキンググループ Lazarus と Andariel が、TeamCity サーバの脆弱性 CVE-2023-42793 を悪用してバックドア型マルウェアを展開し、ソフトウェア・サプライチェーン攻撃を行っているようだと、Microsoft が述べている。TeamCity は、組織がソフトウェア開発インフラの一部として使用する CI/CD (continuous integration and continuous deployment) サーバである。2023年9月に TeamCity は、脆弱性 CVE-2023-42793 (CVSS:9.8/10) を修正し、未認証の攻撃者によるリモートコード実行に対処した。こうして、TeamCity による修正は完了したが、その一方では、ランサムウェア集団などの脅威アクターが、企業ネットワークに侵入するために、この欠陥を悪用し始めている。

北朝鮮のハッカーが TeamCity を悪用

Microsoft の脅威インテリジェンス・チームは新しいレポートの中で、「Lazarus (別名 Diamond Sleet/ZINC ) と Andariel (別名 Onyx Sleet/PLUTONIUM) のハッキング・グループが、脆弱性 CVE-2023-42793 を悪用して TeamCity サーバーに侵入していることが確認された」と述べている。

Microsoft は、これらの攻撃の最終的な目的について言及していないが、ソフトウェア・サプライチェーン攻撃の可能性があると考えているようだ。

Microsoft は、「Diamond Sleet などの北朝鮮の脅威アクターは、これまでのオペレーションにおいて、この種のソフトウェア・ビルド環境に侵入することで、サプライチェーン攻撃を成功させている。したがって、この活動の影響を受ける組織には、特に高いリスクが生じると評価している」と説明している。

TeamCity サーバーに侵入した脅威アクターは、さまざまな攻撃チェーンを利用してバックドアを展開し、侵害したネットワーク上で永続性を獲得する。Lazarus は、ある攻撃チェーンで ForestTiger マルウェアを展開し、侵入したサーバ上でコマンドを実行するための、バックドアとして使用していたことが確認されている。

A Lazarus attack chain was seen after exploiting the TeamCity flaw
TeamCity の欠陥を悪用した Lazarus の攻撃チェーン
出典 Microsoft

2つ目の攻撃チェーンは、DLL 検索順序ハイジャックにより、FeedLoad と呼ばれるマルウェア・ローダーを起動し、リモート・アクセス型トロイの木馬 (RAT) をインストールするものだ。

Andariel は、より実践的なアプローチで攻撃を行い、侵入したサーバ上に “krtbgt” 管理者アカウントを作成し、コマンド群を実行してシステム情報を収集する。最終的には、HazyLoad プロキシ・ツールをインストールするペイロードを展開し、侵害したサーバと Andariel のサーバの間の持続的な接続を可能にする。

Microsoft によると、ずれの攻撃方法であっても、ハッカーは最終的に LSASS から認証情報をダンプするという。それらは、侵害したネットワーク上で横方向に拡散するために使用される可能性が高いとされる。Microsoft は、確認された攻撃チェーンの全てについて、侵害の指標を含む詳細な技術情報を共有している。

Lazarus と Andariel とは?

Lazarus と Andariel は、どちらも国家に支援された北朝鮮のハッキング・グループであり、Andariel は Lazarus のサブグループとなる。

両グループの攻撃は、北朝鮮政府に利益をもたらすために行われるが、その目的は異なることもある。

Lazarus は、さまざまなスパイ活動/データ窃盗/金銭的利益を目的とした攻撃に関連している。具体的には、セキュリティ研究者の標的化/オープンソースの暗号プラットフォームの RAT 化/大規模な暗号通貨強盗/偽の就職情報を介したマルウェア配布などを実施している。

その一方で、Andariel の標的は、韓国/米国/インドにおける、防衛/IT サービス事業体であり、サイバー・スパイ/データ窃盗/破壊的攻撃/ランサムウェア攻撃などを行っている。このグループは、企業ネットワークへのイニシャル・アクセスにおいて、脆弱性を悪用することで知られている。