Linux Kernel NetFilter の脆弱性 CVE-2023-6817:権限昇格攻撃の危険性

CVE-2023-6817: Linux Kernel NetFilter Flaw Opens Root Access

2023/12/19 SecurityOnline — Linux NetFilter カーネルに、深刻なセキュリティ脆弱性が発見された。この脆弱性 CVE-2023-6817 (CVSS スコア:7.8) の悪用に成功した、権限のないローカルの攻撃者は、権限を昇格させてシステムの完全な制御を可能にする。

この状況の重大さを理解するには、まず Linux の NetFilter サブシステムの役割を理解しなければならない。この重要なコンポーネントはゲートキーパーとして機能し、ネットワーク・スタック内のデータ・パケットの流れを管理する。つまり、アドレスの変更/パケットのドロップ/アクティビティのロギングなどの、さまざまなオペレーションを容易にするものである。

この脆弱性 CVE-2023-6817 は、上記のデータフローを管理する NetFilter サブシステムの、”nft_pipapo_walk” 関数に存在するものであり、使用済みフリー・メモリ状態 (メモリが解放された後もシステムが使用し続ける危険なシナリオ) につながる可能性がある。このような状態は、攻撃者に悪用される可能性があり、アプリケーションのクラッシュ/情報漏えい/ローカル権限の昇格などにつながる可能性がある。

脆弱性 CVE-2023-6817 において、最も懸念される点は、ローカル権限の昇格の可能性である。権限のないローカルの攻撃者が、この脆弱性の悪用に成功すると、システムを完全にコントロールする可能性がある。つまり、システムの侵害から機密データの漏洩にいたるまでの、壊滅的な被害がもたらされる可能性がある。

このような重大な問題に対処するためには、迅速かつ効率的な行動が必要である。Florian Westphal と Pablo Neira Ayuso という2人のエンジニアが、この脅威を軽減するための、重要な Linux カーネルのソースコード・コミットを提出した。彼らの解決策は、”nft_pipapo_walk” 関数が、セットウォーク中に非アクティブ要素をスキップできるようにするものである。このアプローチにより、PIPAPO (Pile Packet Policies) エレメントの二重の非アクティブ化が効果的に防止され、使用済みフリー・メモリ状態が解消されるという。

Linux システムのユーザーや管理者にとって、このメッセージは明確な対処法を伝えている。システムを最新のセキュリティ・パッチを適用すること、特に、脆弱性 CVE-2023-6817 に対応したパッチでアップデートし続けることは、潜在的な悪用から身を守る上で極めて重要である。