Cisco にビッシング攻撃:従業員が騙され CRM から Cisco.com ユーザー・プロファイルが流出

Cisco Hacked – Attackers Stole Profile Details of Users Registered on Cisco.com

2025/08/05 CyberSecurityNews — Cisco が認めたのは、同社 Webサイト “Cisco.com” に登録されているユーザーの基本プロフィール情報が、サイバー攻撃の標的となり盗み出されたという事実である。なお、被害に遭ったユーザー数は非公表とされている。同社によると、この情報侵害は、高度に洗練された音声フィッシング、いわゆる “ヴィッシング” (Vishing) 攻撃により従業員が騙された結果として発生したとされる。

このインシデントは、2025年7月24日に Cisco により認知されたものだが、パスワード/財務情報/企業情報などの機密性の高いデータには影響がなかったと報告されている。しかし、このインシデントが浮き彫りにするのは、企業のサイバー・セキュリティにおいて、従業員を標的とするソーシャル・エンジニアリング攻撃の脅威が、増大しているという実態である。

Cisco が公表した声明によると、この攻撃者はヴィッシング技術を用いて、音声通話 (主に電話) により従業員に接触し、機密情報の開示やシステム・アクセスの承諾を引き出すことに成功したという。

その結果として、同社が利用するサードパーティ製クラウド型 CRM システムの一部インスタンスに対して、この攻撃者は不正アクセスを試行した。そして攻撃者は、この CRM からユーザー・データセットを外部に持ち出すことに成功した。

流出したデータには、Cisco.com のアカウント登録時にユーザーが提供する、基本的なプロフィール情報が含まれていた。具体的には、氏名/所属組織名/住所/Cisco ユーザー ID/メールアドレス/電話番号などが含まれることが確認されている。また、プロファイル作成日などの、メタデータも含まれていたとされる。

この侵害を発見した後にCisco のセキュリティ・チームは、攻撃者によるアクセスを迅速に遮断し、影響範囲の特定に向けた精緻な調査を開始した。

現時点において同社は、今回の不正侵入は、特定の CRM システムのみに限定されており、その他の社内システム/製品/サービスには、まったく影響が及んでいないと強調している。さらに Cisco は、「当社顧客の機密情報/専有情報や、パスワードなどの重要情報が取得された事実は確認されていない」と断言している。

Cisco は、各国の法令および業界標準に則り、関係するデータ保護当局への報告を行っており、法的に義務づけられている場合には、影響を受けた個人への通知も適切に実施したと説明している。

今回のインシデントを受けて Cisco は、「今回のことを、防御体制強化のための貴重な学習機会と捉えている。すべてのサイバー・セキュリティ・インシデントは、レジリエンスを高め、知見を蓄積し、セキュリティ・コミュニティ全体に貢献する契機である」と述べている。

Cisco は、修復措置の一環として、攻撃の再発防止を目的とする追加的なセキュリティ・プロトコルの導入を進めており、特にヴィッシング攻撃への対処力を高めるために、従業員に対する再教育を重点的に実施しているという。

Cisco は、このインシデントにより、ご不便/ご心配をおかけしたことを深くお詫びすると、謝罪の意を表している。また、ユーザーおよびパートナーに対しては、疑問や懸念がある場合には、各担当アカウント・チームに連絡のうえ、サポートを受けるよう促している。