Degital デバイドから AI デバイドへ:インフラへの投資と言語人口がカギになる – Microsoft

The next tech divide is written in AI diffusion

2025/11/17 HelpNetSecurity — Microsoft のレポートによると、あらゆる主要技術の歴史において、AI は最も速いペースで普及しているという。最初の主流リリースから3年以内に、12 億人以上が AI ツールを使用している。この成長は著しいものであるが、政府/産業界/セキュリティ・チームにおける負担は不均等である。

AI の導入は記録的なスピードで拡大

ラジオ/インターネット/スマートフォンなどは急速に成長したが、AI はさらに急速に成長している。その導入の進み方は、コネクティビティとデジタル・リテラシーに早期に投資した国で最も顕著である。

労働年齢層で見ると、UAE の 59.4% とシンガポールの 58.6% が AI ツールを使用している。これらの国々は数十年をかけてデジタル・インフラを構築しており、その投資がベースとなり、現在では世界で有数の利用率を誇っている。

電力が安定し、ブロードバンドが利用可能で、デジタル・コンピテンシーが普及している地域では、AI の利用が増加する。これらの基盤が脆弱な地域では、AI の導入は鈍化する。世界全体で見ると、AI システムを利用するために必要な基本的な条件を満たしていない状態で、約 40 億の人々が生活している。このギャップにより、経済発展、労働力の育成、AI を活用するセキュリティ・ツールへのアクセスなどに影響が生じる。

南北格差の拡大

グローバル・ノースにおける平均的な AI 導入率は、グローバル・サウスの約2倍である。サハラ以南のアフリカやアジアの一部の国々では、国民全体の AI 導入率が依然として 10% を下回っている。

Microsoft のデータによると、AI 導入率を予測する上で、一人当たり GDP が最も優れた指標になるという。この値が2万ドルを下回ると、AI の利用率は低下する。それらの発展途上の国々では、電力の安定/ブロードバンドの信頼性/デジタル・スキル育成プログラムなどが不足していることが多い。その結果として、普及率の格差が拡大し、ローカルの組織がテクノロジーを構築/保護する方法に影響を与える。

AI 導入率の高い地域と低い地域の両方で事業を展開する企業では、従業員の行動に顕著な違いが見られるという。従業員が AI ツールを日常的に使用している地域もあれば、同じ機能を利用するためのスキルやインフラが不足している地域もある。これらの違いは、トレーニング/採用/インサイダー・リスク管理/セキュリティ対策の設計などに影響を及ぼす。

言語がセキュリティ上の問題となる

AI モデルは、言語人口が大きな地域で最も高いパフォーマンスを発揮する。英語はオープンウェブ上で圧倒的なシェアを占めているが、母国語として話す人は世界人口の約 5% に過ぎない。また、デジタル・コンテンツで低リソース言語を使用する国々では、ユーザー入力の解釈に AI システムが苦労する。そのため、所得水準や接続性が同等であっても、AI の導入率は低くなる。

言語人口が大きな国々と比べて、低リソース言語を主に使用する国々では AI 導入率が約 20% 低くなっている。このギャップが影響を及ぼすのは、翻訳/オンボーディング/ポリシーガイダンス/自動サポートなどの、AI を活用するワークフローの品質である。また、モデルのトレーニング・データにおいて母国語が十分に活用されていない環境では、AI ベースの監視ツールや分類ツールの効率にも影響が生じる。AI システムが入力を正確に処理できない場合には、その価値は低下し、ユーザー・エラーのリスクが高まる。

構築者と使用者の速度は異なる

このレポートは、AI エコシステムを構成する人々を、フロンティア構築者/インフラ構築者/ユーザーの3つに分類している。フロンティア構築者は高度なモデルを作成する。インフラ構築者は、トレーニングと推論をサポートするデータセンターやクラウドプラットフォームを運用する。ユーザーは AI を実際の環境で活用する。これらのグループはそれぞれ異なる速度で進歩しており、その不均衡が AI の普及に影響を与えている。

フロンティア構築者はパフォーマンスを向上させ続けている。フロンティア・レベルのモデルを生産しているのは僅か7カ国だが、その差は縮まっている。米国がリードしているが、中国は6ヶ月未満の差で追随している。また、フランス/韓国/イギリス/カナダ/イスラエルは約1年以内の差にある。以前の技術サイクルでは、国家間での差異が長く続いていたが、現在の開発は急速に進んでいるため、組織が適応する時間は短縮されている。

インフラ構築者はさらに集中化している。米国と中国は、世界のデータセンター容量の約 86% をホストしている。これらの施設は、新しいモデルのトレーニングと既存モデル利用の両方を支えている。この2カ国への集中は、多くの地域に対して制約をもたらす。レイテンシ/コンプライアンス要件/データレジデンシーのニーズ/国境を越えたリスクなどは、いずれも AI の拡張性に影響を与える。

エコシステムの中で最も広い部分はユーザーである。このレポートは、集計された Windows テレメトリと市場データを使用して、世界の利用状況を推定している。所得が高い地域では普及率が急速に上昇するが、構造的な障壁が現れると減速する。この調査結果が示すのは、基本的なデジタル対応力に対して、普及率が大きく依存する傾向にある。電力/接続性/デジタル・スキルが一定の基準を下回ると、AI の利用率は低下する。