18-Year-Old Linux Kernel SCTP Vulnerability Lets Attackers Gain Full Root on Host
2026/08/07 CyberSecurityNews — 新たに開示された Linux カーネルの脆弱性 CVE-2026-64564 は、SCTPhantom と名付けられ、これを悪用する攻撃者は、非特権ローカル・アクセスから root 権限へ昇格した上で、コンテナ脱出により基盤ホストを侵害できる。この欠陥は、カーネルの動的アドレス再構成機能に存在する解放後使用 (Use-After-Free) の脆弱性であり、その根本原因は、2007年12月に Linux 2.6.25 へ導入されたコードにまで遡ることから、発見されるまで約 18 年が経過していたことになる。

この脆弱性は、RFC 5061 で定義されたメカニズムである ASCONF チャンクをカーネルが処理する方法に存在し、ASCONF は SCTP アソシエーションがネットワーク経路を動的に追加/削除/再構成するための仕組みである。このバグは、アイデンティティの不一致に起因し、カーネルはパケットの送信元アドレスを使用して DEL-IP 削除操作を検証する一方、別のキャッシュ済みポインタは、実際のネットワーク経路、すなわち転送先の選択に使用されるアドレス・パラメータに依存している。
攻撃者は、アドレスの指定、同じアドレスの削除、ワイルドカードによる削除を順序付けて送信する ASCONF シーケンスを細工することでカーネルを欺くことが可能であり、その結果、転送が削除される一方で古い参照がアソシエーションのアクティブ/プライマリ・パスのポインタ内に残り続け、その後のソケット操作によって解放済みメモリが参照され、解放後使用の状態が発生する。
TencentOS Security Team のセキュリティ研究者は、Corvus AI と呼ばれる自律型脆弱性研究システムを使用し、このメモリ・バグを完全な権限昇格チェーンへと発展させ、パケット・ソケット・リング・バッファを用いて解放済み転送情報を再取得することで、カーネル・メモリ・アドレスを漏洩させた。
この漏洩により安定した 4 バイトのカーネル読み取りが可能になり、研究者はこれを使用して割り込み記述子テーブルを検査し、KASLR を突破した上で、攻撃者が制御する SCTP 認証鍵データを用いて 2 つ目の解放後使用を悪用し、偽のカーネル・オブジェクト・グラフを構築することで、最終的に “commit_creds” を呼び出し、シェルコードや従来型の ROP チェーンを必要とせずにグローバル root 権限を取得した。
さらに研究者が実証したのは、同じ欠陥によりコンテナからホストへの脱出が可能であることであり、システム全体の sysctl ではなくソケットごとの SCTP オプションを使用することで、昇格済み capability を必要とせずにこのエクスプロイトを実現し、デフォルトの seccomp プロファイルで実行されているコンテナから高確率で脱出した上で、最終的にホストの初期ネームスペース内で実行される usermode-helper プロセスを起動させた。
このエクスプロイト・チェーンは、Ubuntu 24.04/Debian 13/Rocky Linux 9 に加えて、5.14 〜 7.2 のリリース候補を含む複数のカーネル・ビルドで検証され、すべてのテストケースにおいて root 取得に成功している。
この脆弱性 CVE-2026-64564 の CVSS v4.0 スコアは 8.5 であり、深刻度は High と評価されており、低い攻撃複雑性と機密性/完全性/可用性への高い影響の組み合わせを反映した評価である。
現在の ASCONF チャンクにより参照されている転送を標的とする DEL-IP リクエストが、コミット “9b2854f86f0b” としてマージされたアップストリーム・パッチによって拒否されるようになり、この問題は修正された。
修正は、6.6.148/6.12.101/6.18.42/7.1.6 などの安定版ブランチにも適用されており、7月 12日に始まった非公開での報告を受け、Linux カーネル CVE チームは 2026年8月4日に脆弱性 CVE-2026-64564 を正式に発表した。
SCTP が有効なカーネルを実行しているシステム管理者、特にマルチテナント環境またはコンテナ化環境の管理者は、実証された悪用の容易さと影響の深刻さを踏まえ、修正版カーネルへの更新を優先する必要がある。
Linux カーネルの深刻な脆弱性 CVE-2026-64564 により、通信プロトコルの制御処理に問題が生じることが確認されました。OS の中核をなす領域でメモリ参照のミスが生じ、権限のない利用者による不正な操作を受け入れる状態に陥っています。その結果として、システム全体の制御権の乗っ取りや、隔離された領域からの侵入といった重大な被害に繋がります。安全に利用するためにも、開発元から提供されている修正済みの最新バージョンへ更新手続きを進めることが求められます。


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