Cloudflare の Adaptive Intelligence:継続的に再学習する検出エンジンにより非対称性を逆転する

Cloudflare Unveils Adaptive Intelligence to Counter AI-Fueled Bot Attacks

2026/08/31 SecurityBoulevard — Cloudflare が導入したのは、自動化されたサイバー攻撃に対するリアルタイムな防御である。すべての Web サイトへの攻撃は、その組織を意図的に標的とした攻撃だと、今でも信じている人がいるが、実際にはそうではない。現在では、一定の予算があれば、誰でも侵害されたデバイスのネットワークを簡単に借用し、実在する家庭用インターネットの IP アドレスの背後に接続元を隠して、AI を利用して人間の行動を模倣する攻撃を仕掛けることが可能である。そこに個人的な恨みなどはなく、存在するのは自動化された攻撃だけである。こうした状況に対抗する Cloudflare は、継続的に再学習する検出エンジン Adaptive Intelligence を Cloudflare Bot Management サービスに追加した。

Cloudflare の目的は、自動化されたボット攻撃を、より高コストで継続困難なものにすることで、経済性を逆転させることにある。Cloudflare によると、Adaptive Intelligence はグローバル・ネットワークから得られるリアルタイムのテレメトリを利用し、新たに出現するボット・フレームワークや回避手法を特定するとともに、数兆件のリクエストを学習データとして利用する。つまり、攻撃者が最新の防御を回避する方法を見つけ出す前に攻撃を妨害するための、対象を限定した短期間だけ有効なルールを生成するという。

これにより、手動アップデート/定期リリースを待つ従来の防御とは異なり、攻撃者に攻撃手法の継続的な改良を強いることができる。セキュリティ・チームが防御策を更新するまでの時間差を、攻撃者に悪用させるのではなく、新たな攻撃手法の開発に取り組まざるを得ない状況にしていく。

この新たな機能により対処されるのは、AI ツール/低価格の自動化ソフトウェア/住宅用プロキシ・ネットワーク/レンタル可能なボットネットによって、ますます深刻化しているセキュリティ上の非対称性である。攻撃者は低コストの試行を大量に実行し、短期間で何度も改良できる一方、防御側においては、顧客へ影響を与えることなく、悪意のトラフィックと正規ユーザーを識別することが求められる。

Cloudflare の前提にあるのは、従来のボット対策では攻撃者に対して比較的安定した標的が提供されてしまうという考え方である。同社によると、セキュリティ制御は固定された検出シグネチャ/定期的なアップデートに依存することが多く、自動攻撃ツールの変化に対して数週間から数カ月遅れる可能性がある。それに対し、Adaptive Intelligence は本番環境のトラフィックを使用して継続的に再学習し、脅威の出現に応じて検出機能のアップデートを展開する。

Cloudflare の CTO である Dane Knecht は声明で、「攻撃の大規模化にかかるコストが実質的にゼロなら、防御壁を高くしても機能しない。従来の防御では、脅威アクターが体系的に攻略できる静的な標的を提供してしまう。Cloudflare の Adaptive Intelligence は動き続ける標的を作り出し、攻撃者の活動が大規模化する前の段階で、彼らのエンジニアリング上の取り組みを時代遅れのものにする」と説明している。

Cloudflare によると、この製品では複数の時間軸にわたる行動分析も可能になる。その目的は “low-and-slow” な活動への対策として、短い時間枠だけでの観察では通常のトラフィックに紛れる可能性がある、段階的に実行される認証情報スタッフィング・キャンペーン/Web スクレイピングなどを検出することにある。

さらに、別のコンポーネントでは、Cloudflare の Precursor テクノロジーから得られるブラウザ・セッションの行動シグナルと、同社のネットワーク・エッジで収集されるテレメトリが組み合わされる。Cloudflare によると、この多層的なアプローチでは、単純な「ボットか人間か」という二者択一を超えて悪意を評価し、正規の訪問者に対する誤検知を回避しながら、不正行為の自動的な阻止を目指している。

Cloudflare は、これらの検出機能のアップグレードを直ちに展開するのではなく、実際に展開する前の段階でバックグラウンドで本番トラフィックを対象とした自動テストを実施すると説明している。同社によると、このプロセスの目的は、精度の検証/誤検知の低減/ダウンタイムを発生させないセキュリティ・ポリシー変更の展開にある。

Adaptive Intelligence では、新たな自動化の手法を防御側が恒久的に特定することを前提とせず、継続的に変化する検出ロジックにより、攻撃者が構築した手法を繰り返し無効化することを目指している。正規ユーザーに運用上の支障を生じさせることなく実現できるかどうかが、その有効性を測る中心的な指標になるだろう。

Adaptive Intelligence は Cloudflare Bot Management に直接組み込まれているが、今回の発表では、提供開始時期/価格/プラン階層は明らかにされず、当初のベータ版提供の有無も不明である。Cloudflare の将来予測に関する記述では、今後、関連機能が開発され、既存顧客/見込み顧客に対してベータ版または正式リリースとして提供される可能性があるとしている。

個人的には、このアイデアはかなり気に入っている。本当に重要な疑問は 2 つである。実際に機能するのか、そして企業の日常的なサービスに支障を来すことなくインターネット上のプレゼンスを守れるのか、という点である。今後に注目したい。