EU の匿名ドメイン禁止法案:サイバー犯罪対策とプライバシー保護の対峙

EU legislation introduced to ban anonymous domain registration

2021/10/13 BleepingComputer — 欧州連合 (EU) は、この大陸では、個人が匿名でドメインを登録することを、禁止する可能性のある法案を作成している。インターネット・ドメインを登録する際、レジストラは購入者の氏名/住所/電子メール/電話番号などの情報を収集する。しかし、これらの情報は正確であることが確認されておらず、虚偽の情報が含まれている可能性がある。

この EU の新法案では、ドメイン・レジストラが申請はから情報を収集する方法と、当該情報にアクセスできるのは誰かという点について、新たな規定が追加される。具体的には、新しいドメインの登録者は、本人が所有する有効な電話番号を提供する必要があり、また、氏名/電子メール/物理的住所も確認する必要がある。現時点では、登録者は名前/住所のみを提供する必要があるが、これらをチェックする検証機関は、この新しいドメインの所有権について承認/反証することはない。

この EU 新法案のドラフトでは、「正確で検証された完全なドメイン名登録データを確保するために、TLD (Top Level Domain) レジストリおよびドメイン名登録サービスを提供する団体は、ドメイン名登録データの収集を義務付けられるべきだ。TLD 登録機関およびドメイン名登録サービスを提供する事業者は、ドメイン名登録データの収集を義務付けるべきであり、登録者への確認プロセスなどの技術的/組織的な対策を実施することで、当該データの完全性/可用性の確保を目的とすべきである」と修正されている。

「特に、TLD レジストリおよびドメイン名登録サービスを提供する事業者は、正確で検証された完全な登録データの収集/維持、ならびに、不正確な登録データの防止/修正のための方針/手順を確立すべきである」としている。

誰がロビー活動をしているのか?

Internet Corporation for Assigned Names and Numbers (ICANN) は、さまざまな著作権団体などと伴に、この新しい指令を支持する明確な姿勢を示している。匿名ドメインの問題点は、マルウェア配布や著作権保護された作品の無許可での配布などの、違法行為に利用されることが多いと、これらの団体は考えている。このような、悪意のプラットフォームの所有者や運営者が匿名である限り、彼らは法執行機関からの規制を受けることがない。仮にレジストラから報告を受けて、問題のドメインがオフラインになったとしても、所有者は新しいドメインに切り替えてやり直すことができる。

言論の自由への脅威

しかし、すべての匿名ドメイン登録を禁止することは、インターネット上の望ましい情報の自由な流通に影響を与えないわけではない。欧州議会議員の Patrick Breyer (Pirate Party) が警告しているように、この新しい指令は、活動家や内部告発者を保護する唯一の手段である匿名性を終わらせることで、彼らの安全を脅かすことになる。

Patrick Breyer は、「この、ドメイン所有者を無差別に識別する政策は、インターネット上の匿名の出版物やリークを抑止するための大きな一歩となる。この政策は Web サイト運営者を危険にさらすものだ。なぜなら、ストーカー行為/データの盗難/個人情報の盗難/晒し/デスリストなどから、個人を効果的に保護できるのは匿名性だけだからだ。

オンライン上の匿名性の権利は、女性/子供/マイノリティ/弱者だけではなく、虐待やストーカー行為の被害者などにとって、特に不可欠なものだ。内部告発者や、報道機関への情報提供者、政治活動家、カウンセリングを必要とする人々は、匿名性の保護がなければ沈黙してしまう」と述べている。

ドイツの TLD (Top Level Domain .de) レジストリである DENIC も、この新しい指令について懸念を表明している。DENIC は機会へのフィードバックの中で、EU 全体のサイバー・セキュリティを強化するための提案を歓迎しているが、登録データの収集に関する新たな要件は、必ずしも DNS のセキュリティ強化や不正使用の防止にはつながらないと感じているようだ。

DENIC は、「登録者の特定は、委任された名前空間を実際に技術的に制御している、エンティティに関する情報を提供するものではい。さらに、その名前空間内でコンテンツやサービスを提供している、エンティティに関する情報を提供しないことを指摘する」と述べている。

次のステップ

今月末に、主要産業による委員会は見解を採択し、その直後から EU 理事会との交渉を開始する。物議を醸している条項は削除されるかもしれないが、現在の形で法律が成立すると、ネット上で匿名性を求める人たちは、ダークウェブ上で Web サイトをホストすることを余儀なくされるかもしれない。

サイバー犯罪者の動きを封じようとする法案ですが、文中で指摘されるように、プライバシーの問題が生じます。一言でプライバシーの問題と言っても、週刊誌のゴシップから、暴力的な活動による生命の危機に至るまで、とても幅の広い問題ですが、ここで言われているのは後者の方です。慎重に進めてもらいたい法案ですね。

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