サイバー犯罪が常態化しているZ世代:UEL/Europol の共同レポート

Gen Z Internet Users “Normalize” Cybercrime – Report

2022/12/06 InfoSecurity — EU が資金提供した新しい大規模な研究によって、若いインターネットユーザーの大半が、マネーミュール/デジタル海賊行為/ヘイトスピーチ投稿などの、何らかのサイバー関連犯罪に関与していることが判明した。The University of East London (UEL) によるこの調査は、EU の Horizon 基金の資金を受け、欧州警察機構 (Europol) のサイバー犯罪センターと共同で実施された。この調査は、16歳〜19歳の 8000人を対象に、20種類のオンライン行動についてのアンケート結果が集約したものだ。

レポートのコピーを入手した The Guardian によると、対象者の約半数が、大半の地域において犯罪とみなされる行為に関与していたという。そして、犯罪行為と危険行為が混在する “cyber-deviancy” の割合が最も高かったのはスペイン (75%) であり、英国は 58%で 9カ国中最下位だった。

調査対象者の 3分の1 (34%) がデジタル著作権侵害に参加したと答え、4分の1以上 (27%) がオンラインで荒らし行為をしたことがあると認め、5分の1 (22%) が暴力を扇動したことがあると答えた。また、約 18%が違法なゲーム・マーケットにアクセスしたことがあると回答し、12%が重大な犯罪であるマネー・マーケットになったことがあると回答している。

調査共著者の Julia Davidson は、「EU の若者の多くが何らかのサイバー犯罪に手を染めており、ネット上での低レベルの犯罪行為や、ネット上でのリスクテイクが半ば常態化しているほどであることが、この調査で明らかになった」と、The Guardian に語っている。

その調査結果の深刻さを裏付けるかのように、昨日の欧州警察機構は、世界的な警察活動によって約 2500人のマネーミュールの容疑者を逮捕したこと、そして、犯罪収益 €17.5m ($18.4m) の犯罪収益が阻止されたことを明らかにした。

今回で8回目となる European Money Mule Action (EMMA8) は、EU 圏を超えて、コロンビア/シンガポール/オーストラリアなどの国々にまで拡大された。欧州警察機構によると、この活動は 1800の金融機関/送金サービス/暗号通貨取引所/フィンテック企業/技術ベンダーなどとの、密接な協力のもとに実施されたとのことだ。

また、欧州警察機構は、合計 8755人のマネーミュール実行者が、222人のマネーミュール勧誘者とともに発見されたと述べており、さらなる逮捕者が出る可能性が高い。

こういう調査が、適切に実施され、その結果が公表されることは、とても良いことだと思います。正直に答えてもらうための、工夫と配慮がなければ、このような結果にはならないはずです。無謬を好む日本の社会では、ちょっと想像し難い展開ですね。なお、マネーミュールに関しては、11月11日に「FBI が Web ドメイン 18件を押収:マネーミュールで運び屋にされないために」という記事がありました。若年層に限った話ではなく、誰もが注意すべきことなのでしょう。

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