サイバー攻撃と世界経済:今後の5年間で $3.5trn の損失 – 日本は3位 – Lloyd’s

Global Economy Could Lose $3.5trn in Systemic Cyber-Attack

2023/10/18 InfoSecurity — 保険大手の Lloyd’s of London は、サイバー攻撃による世界の経済損失が $3.5trn に達するという、構造的なリスク・シナリオを発表した。このシナリオは、主要な金融サービスの決済システムに対する、もっともらしい仮説のサイバー攻撃を想定したものであり、世界のビジネスに広範な混乱をもたらすものだとされる。


Cambridge Centre for Risk Studies との共同研究により、9つの構造的な仮説のリスク・シナリオが検討された。これらのシナリオが107カ国に及ぼす潜在的な経済的影響を、GDP を中心指標とした対話型データ・ツールで計算したという。

Llyod’s の研究者たちは、重大度/深刻度/極端度の3つのレベルにわたって、世界的な経済損失を提示した。今後の5年間における被害額は、最も深刻度が低いシナリオで $2.2trn、最も深刻度が高いシナリオで $16trn であった。モデル化された3つの深刻度の、平均的な被害額は $3.5trn であったという。

最もリスクが高いのは米国/中国/日本

このシナリオと分析によると、今後の5年間で経済損失が最も大きい国々は、米国 ($1.1trn)/中国 ($470bn)/日本 ($200bn) となる。同調査は、各地域の回復時間は、経済の構造/被災レベル/回復力により異なると指摘している。

Llyod’s の主張は、この調査結果は、サイバー攻撃がもたらす複雑に絡み合ったリスクを浮き彫りにしており、サプライチェーンや地政学などの分野に影響を与えているというものだ。

Llyod’s の Bruce Carnegie-Brown 会長は「サイバー空間における世界的な相互関連性は、1つのセクターが単独で対峙するには、あまりにも重大なリスクであることを意味する。したがって、この潜在的なリスク規模に対して、社会の回復力を確実に構築するためには、政府/産業界/保険市場全体で知見/専門知識/革新的なアイデアを共有し続けなければならない」とコメントしている。

2023年1月に、世界経済フォーラム (WEF:World Economic Forum) は、地政学的な不安定さは、サイバー “大災害” が差し迫っていることを意味すると警告している。