Multiple OpenSSL Flaws Let Remote Attackers Crash Servers and Corrupt Heap Memory
2026/08/26 CyberSecurityNews — OpenSSL が発表したのは、暗号ライブラリ全体に存在する 9 件の脆弱性に関するセキュリティ・アドバイザリである。これらの脆弱性は、不正なメモリ書き込みによるヒープ破損から、QUIC および DTLS 実装におけるメモリ枯渇まで多岐にわたる。一連の脆弱性が影響を及ぼす範囲は、OpenSSL 4.0/3.6/3.5/3.4/3.0 など広く導入されているブランチであり、一部の脆弱性は旧版の 1.1.1 系にも影響する。したがって、このライブラリを基盤とする TLS/CMS/CMP サービスを運用する組織にとって、パッチ適用は優先事項となる。

OpenSSL が 9 件の脆弱性を修正
1 件目の中程度の脆弱性 CVE-2026-18798 は、OpenSSL の QUIC サーバーに影響するものであり、INITIAL パケットの処理時にチャネルの作成に失敗すると、QRX (QUIC record layer RX) オブジェクトが二重に解放される可能性がある。
この脆弱性は、RFC 9000 に準拠しない、8 バイト未満の宛先接続 ID (DCID) を含む細工された INITIAL パケットによって比較的容易に誘発でき、ヒープ破損から QUIC サーバー・プロセスの終了につながり、サービス拒否を引き起こす可能性がある。現時点では、この二重解放がリモート・コード実行に悪用された証拠はなく、その可能性は極めて低いとされている。
2 件目の問題は、OpenSSL の CMS 復号コードに存在する脆弱性 CVE-2026-63072 であり、中程度と評価されている。この脆弱性では、ラップ解除された鍵に使用するバッファ・サイズを決定する際に、このライブラリが想定される出力長を照会する一方、AES-WRAP-PAD のアンラップ・プリミティブが照会結果を上回るバイト数を書き込む可能性がある。
正規の暗号化メッセージを取得した攻撃者は、そのキー・ラップ・アルゴリズム識別子の 1 バイトを反転させることで、CMS_decrypt() が呼び出されるたびに 8 バイトのヒープ境界外書き込みを強制的に発生させることが可能となる。書き込みのサイズと値はいずれも固定されているため、攻撃条件は限定的であり、特別なサーバー設定も必要ない。ただし、OpenSSL は現実的な影響について、コード実行ではなくヒープ破損およびサービス拒否であるとしている。
3 件目の中程度の脆弱性 CVE-2026-63076 は、Certificate Management Protocol (CMP) に影響するものである。パスワードベースの MAC 検証時に、OpenSSL は保護アルゴリズムのパラメーターが null ではないことだけを確認し、実際のデータ型を検証しないため、細工されたメッセージによって無効なポインターの参照解除が発生する可能性がある。
PBM で保護されたメッセージを受け入れる CMP サーバーを稼働させているアプリケーションに対し、未認証の攻撃者がこの脆弱性をリモートからトリガーできる。それにより、悪意のあるサーバや通信を傍受され得るサーバに接続する CMP クライアントも同様にクラッシュする恐れがある。
OpenSSL のアドバイザリでは、低深刻度と評価された 6 件の問題についても詳述されている。
| CVE IDVulnerabilityCWEAffected VersionsFixed Versions | ||||
|---|---|---|---|---|
| CVE-2026-18798 | QUIC Server May Trigger Double Free When Processing INITIAL Packet — crafted INITIAL packet triggers heap corruption and typically terminates the QUIC server process, leading to Denial of Service | CWE-415: Double Free | 4.0, 3.6, 3.5 | 4.0.2, 3.6.4, 3.5.8 |
| CVE-2026-63072 | Heap buffer overflow in CMS key unwrapping — crafted CMS message triggers an 8-byte out-of-bounds heap write via CMS_decrypt() | CWE-787: Out-of-bounds Write | 4.0, 3.6, 3.5, 3.4, 3.0, 1.1.1 | 4.0.2, 3.6.4, 3.5.8, 3.4.7, 3.0.22, 1.1.1zi |
| CVE-2026-63076 | Invalid pointer dereference in CMP server via crafted protectionAlg — remote, unauthenticated crash of CMP servers or clients | CWE-476: NULL Pointer Dereference | 4.0, 3.6, 3.5, 3.4, 3.0 | 4.0.2, 3.6.4, 3.5.8, 3.4.7, 3.0.22 |
| CVE-2026-14457 | NULL pointer dereference in Raw Public Key (RPK) configurations with key-only setup when peer sends signature_algorithms_cert extension | CWE-476: NULL Pointer Dereference | 4.0, 3.6, 3.5, 3.4 | 4.0.2, 3.6.4, 3.5.8, 3.4.7 |
| CVE-2026-54874 | Excessive memory use buffering DTLS records for a future epoch — ~1,200x memory amplification enabling memory exhaustion | CWE-405: Asymmetric Resource Consumption | 4.0, 3.6, 3.5, 3.4, 3.0, 1.1.1, 1.0.2 | 4.0.2, 3.6.4, 3.5.8, 3.4.7, 3.0.22, 1.1.1zi, 1.0.2zr |
| CVE-2026-63073 | Untrusted sender DN used as format string in CMP response validation — malicious CMP endpoint can crash clients | CWE-134: Externally-Controlled Format String | 4.0, 3.6, 3.5, 3.4 | 4.0.2, 3.6.4, 3.5.8, 3.4.7 |
| CVE-2026-63074 | Indefinite cache growth of extraCerts in CMP — malicious client floods long-lived server contexts, causing OOM conditions | CWE-770: Resource Allocation Without Limits | 4.0, 3.6, 3.5, 3.4, 3.0 | 4.0.2, 3.6.4, 3.5.8, 3.4.7, 3.0.22 |
| CVE-2026-63075 | QUIC ACK-only packet metadata retention — peer withholding ACKs forces connection-scoped memory growth and exhaustion | CWE-770: Resource Allocation Without Limits | 4.0, 3.6, 3.5, 3.4 | 4.0.2, 3.6.4, 3.5.8, 3.4.7 |
| CVE-2026-75803 | AEAD forgeries with empty ciphertext via EVP_Cipher() — ChaCha20-Poly1305 and AES-OCB skip tag verification, allowing forged messages | CWE-354: Improper Integrity Check Validation | 4.0, 3.6, 3.5, 3.4, 3.0 | 4.0.2, 3.6.4, 3.5.8, 3.4.7, 3.0.22 |
脆弱性 CVE-2026-14457 を悪用する攻撃者は、生の公開鍵を設定し、証明書が存在しない TLS サーバーまたはクライアントにおいて、ピアが signature_algorithms_cert 拡張を送信した場合に NULL ポインターの参照解除を引き起こす可能性がある。CVE-2026-54874 を悪用する攻撃者は、ネットワーク・トラフィックを約 1,200 倍に増幅でき、将来のハンドシェイク・エポックに関連付けられた小さな偽造レコードにより DTLS エンドポイントに大容量の読み取りバッファーを確保させることで、負荷の高いサーバーでメモリー消費を増大させる。
CVE-2026-63073 は、CMP 応答の検証時に、信頼できない送信者の識別名をフォーマット文字列としてロギング関数に直接渡すことで発生する。これにより、悪意のある CMP エンドポイントは、フォーマット文字列攻撃を介してクライアントをクラッシュさせることができる。CVE-2026-63074 は、拒否されたメッセージがクリーンアップされない場合に、長期間にわたって存続する CMP サーバー・コンテキストにキャッシュされた追加証明書が際限なく増加し、メモリー不足状態につながる可能性がある。
CVE-2026-63075 も同様に、OpenSSL の QUIC スタックでメモリー枯渇を引き起こす可能性があり、ACK-only パケットを強制的に生成させた状態で、確認応答を送らないピアによって接続単位のメモリー使用量を増大させられる。CVE-2026-75803 は、AEAD 暗号の ChaCha20-Poly1305 および AES-OCB に影響を及ぼす欠陥であり、空の暗号文に対して EVP_Cipher() を呼び出した場合に、認証タグを検証せずに復号成功を返す可能性があるため、メッセージを偽造できる。
すでに OpenSSL は、影響を受ける各ブランチ向けの修正版 4.0.2/3.6.4/3.5.8/3.4.7/3.0.22 をリリースしており、バージョン 1.1.1 および 1.0.2 を利用するプレミアム・サポート契約者には、個別に修正を移植した更新版が提供されている。なお、いずれの脆弱性も FIPS モジュール境界には影響しない。
影響を受けるブランチが広範囲に及び、複数の脆弱性を認証なしでリモートから悪用できる状況にあるため、セキュリティー・チームは、TLS/CMS/CMP 対応アプリケーション全体における OpenSSL の使用状況を優先的に洗い出し、該当する修正版へ速やかに更新する必要がある。
暗号化通信などを支える OpenSSL において、9 件の脆弱性が公表されました。不正なパケット受信などによるメモリの不正処理やリソース枯渇が問題の背景にあります。これによりシステムの予期せぬ停止や通信の偽造といった被害を受ける恐れがあり、最新の修正適用版への更新が求められます。
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