AI Has Changed Attack Speed, Not Security Fundamentals
2026/10/01 SecurityWeek — 私をよく知る人なら、私が非常に率直な人間であり、単純なことを説明するための用語を必要以上に複雑にするのが好きではないことを知っているだろう。ここ数カ月、Frontier AI などのツールを用いる攻撃者/防御側の双方が、脆弱性の特定やエクスプロイトの開発に必要とされる時間を短縮できるようになった。それに伴い、「仮想パッチ」というテーマをめぐって、非常に多くの誇大な宣伝や話題が生まれている。

先日、同僚と電話で話していたところ、「自分がおかしくなったのか、それとも仮想パッチは新しいものではないのか?」と聞かれた。私は「いや、おかしくなってはいない。仮想パッチは特に新しいものではなく、以前から存在する多層防御の考え方の一部にすぎない」と答えた。言い換えるなら、最近の Frontier AI をめぐる報道により、セキュリティ業界の一部では、数十年前から存在するセキュリティのベストプラクティスに新しい名前を付ける動きが生まれたということである。
当然ながら、「Frontier AI」の時代でも、適切なセキュリティ衛生/セキュリティの基本原則は、セキュリティ・インシデントの防止/アプリケーションの保護に大きく貢献する。これほどにも「仮想パッチ」が話題になる中、脆弱性が発見され、エクスプロイトが開発される速度がアプリケーションへのパッチ適用を上回る状況において、企業は何に重点を置きながらアプリケーションを保護すべきなのだろうか。網羅的なリストではないが、アプリケーションの保護に役立つ基本的なセキュリティ対策をいくつか紹介する。
- IAM:アプリケーションに対する認証や認可を適切に実施され、権限の回避が困難な場合 (BOLA/BFLA/BOPLA 攻撃) には、アプリケーションを攻撃できる範囲は小さくなる。当然ながら、さまざまな手段を用いる攻撃者が侵入経路を見つける可能性は常にあるが、目標とすべきは、適切な Identity and Access Management (IAM) により、それを可能な限り困難にすることである。
- ネットワーク・セグメンテーション:多くのアプリケーションは外部公開を前提としているが、すべてがそうではない。ネットワーク上のあらゆる場所からアクセスする必要のないアプリケーションであるなら、そのようなアクセスを許可すべきではない。ネットワーク・セグメンテーションを利用し、アプリケーションへのアクセスを必要なネットワーク・セグメントだけに制限することも、アプリケーションを攻撃から保護する方法の1つである。
- 最小権限:前述の IAM に関連して、最小権限は企業が利用できる、きわめて強力なセキュリティの基本原則の1つである。考え方は単純であり、必要なレベルのアクセス権限だけをユーザーに付与するものである。アプリケーションへの攻撃において、ほかの防御層が回避された場合でも、攻撃者が実行できることを大幅に制限できる。これはアプリケーション・セキュリティにとって大きな利点となる。
- ネットワーク・セキュリティ:攻撃者がアプリケーションへ到達するには、オープンなインターネットであれ、より制限されたネットワークであれ、ネットワークを経由する必要がある。適切なネットワーク・セキュリティは、ネットワーク・レベルでアプリケーションへの不要なアクセスを防止する上で大きな効果を発揮する。
- エンドポイント・セキュリティ:侵害された従業員のノート PC/モバイルデバイスが、アプリケーションへ到達するための中継地点として利用される場合がある。また、アプリケーションをホストするシステムに、不審な兆候が現れる場合もある。どちらの場合でも、堅牢なエンドポイント・セキュリティは、セキュリティチームによるアプリケーションへの攻撃の検知に役立つ。場合によっては、大きな被害が発生する前に問題へ対応し、被害を緩和する上でも役立つ可能性がある。
- アプリケーション・セキュリティ:当然に聞こえるかもしれないが、アプリケーション・スタックのすべてのレイヤー (インフラ/API/AI など) で、適切なアプリケーション・セキュリティを確保することは極めて重要である。アプリケーションに脆弱性が存在する場合でも、保護する方法は数多く存在する。セキュリティ組織にとって重要なのは、アプリケーション・スタックの各レイヤーで、どの保護機能が最も適しているのかを理解することである。代表的なものとして、WAF/API セキュリティ/ボット対策/アプリケーション層の DDoS 対策などがある。
- データセキュリティ:保存時/転送時におけるデータの暗号化も、アプリケーションを防御するための有効な手段である。その理由は非常に単純である。攻撃者が本来アクセスできないデータへアクセスしたり、そのデータを窃取したりした場合でも、暗号化されていれば悪用ははるかに困難になる。
- 予防的制御:適切なセキュリティ・ポリシーと、それを確実に適用する能力も、アプリケーションの多層防御を構成する重要な要素である。設定ミス/不十分なセキュリティ衛生などの、基本的なセキュリティ上の落ち度が原因となるアプリケーション侵害が多発することに、いまでも驚かされる (本来は驚くべきことではないのかもしれない)。適切な予防的制御を確保することで、本来なら成立しない攻撃手段による、アプリケーション侵害のリスクを大幅に低減できる。
- 検知制御:検知制御は、予防的な制御を補完するものである。適切なテレメトリを収集し、そのデータを監視して疑わしい活動を検知することは不可欠である。さらに、Frontier AI 時代における攻撃の進化速度を考えると、シグネチャだけに依存することはもはや不可能である。シグネチャベースの検知を補完するため、潜在的な攻撃活動を検出する新たな方法による補完が必要になる。その一例が、AI を活用した WAF/WAAP ソリューションだが、ほかにもさまざまな方法が存在する。
- プロセス/手順:残念ながら、適切なプロセス/手順は、アプリケーション・セキュリティで見落とされがちな領域である。継続的なレッドチーム演習/脆弱性評価 (四半期ごとでは不十分)/リスク評価/パッチ適用/ポリシーの実装と適用/継続的なセキュリティ監視/インシデント対応/GRC などを対象とする必要がある。こうした重要領域を体系的に文書化することで、ミスが発生する余地を減らし、アプリケーションのセキュリティ態勢を大幅に改善できる。
上記のリストが多層防御の考え方によく似ていることは明らかであり、前述のとおり、適切なセキュリティ衛生/セキュリティの基本原則は、アプリケーション層を含む大半のセキュリティリスクに対して、今なお最も重要な防御策である。「仮想パッチ」をめぐって、業界内に誇大な宣伝や議論、混乱が広がっている。Frontier AI の分野が成熟していく中で、セキュリティ組織が重点を置くべき領域を、いくつか整理することが有益だと考えた。
Frontiers AI 等の普及で攻撃や開発が高速化し、「仮想パッチ」という言葉が話題を集めています。しかし、これは新たな技術ではなく、以前から存在する多層防御の一環に過ぎません。適切なパッチ適用が追いつかない現状では、IAM による適切な認証認可/不要なアクセスのセグメンテーション制限/最小権限の徹底/堅牢なネットワークやエンドポイントの保護/WAF や API セキュリティといった多層でのアプリケーション保護/暗号化によるデータ保護/設定ミスを防ぐ予防的制御/AI を活用した WAF や WAAP による動的な検知制御/体系的なプロセス整備といった基本原則の徹底が求められます。
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