Chrome の使用制限:オランダの教育機関でセキュリティへの懸念が指摘される

Chrome use subject to restrictions in Dutch schools over data security concerns

2022/07/23 BleepingComputer — オランダの教育省は、データ・プライバシーへの懸念から、2023年8月まで Chrome OS/Chrome Web ブラウザの使用停止を決定した。Google サービスが、生徒たちのデータを収集し、大規模な広告ネットワークに提供するなど、教育支援以外の目的で使用することを、同教育省は危惧している。

また、同国の監視機関が、学生の個人データがどこに保存され、どのように処理されているのかを把握していないことから、欧州連合の GDPR (General Data Protection Regulation) 違反も指摘されている。


教育大臣と初等中等教育大臣は、サイバー・セキュリティ/データ保護に関するさまざまな事柄が記述された、オランダ議会への書簡に連名で署名した。この書簡では、データ保護の問題について、Google/Microsoft/Zoom と協議を行い、ソフトウェアの今後のバージョンを、EU 圏で施行されるデータ保護規制に対して、より透明で互換性のあるものにすると確約を得たと説明されている。

Google の場合、Chrome Web ブラウザ/Chrome OS の新バージョンを 2023年までに準備すると約束したことで、オランダの規制当局が新たな評価を行うまでの、一時的な禁止措置の適用が決定した。Chrome は世界で最も人気のある Web ブラウザだが、オランダの教育機関は、品質とプライバシーを尊重した代替ブラウザを見つけることも可能である。

しかし、Chrome OS に関しては、教育目的に適した安価なデバイスで動作するように設計された、Google サービスと連携したエコシステムでもあるため、少し複雑であるようだ。

データ・プライバシーに関するその他の懸念事項

Google のサービスは、データ・プライバシーと、それを支える不透明なデータ収集方法について、欧州全域で複数の懸念を引き起こしている。

2022年1月、オーストリアのデータ保護当局は、Web サイト訪問者のデータ収集がユーザーの部分的な同意を得て行われ、欧州外に転送されているとして、Google Analytics の使用は GDPR に違反すると決定した。

2022年2月には、フランスのデータ保護局 (CNIL) も、同様の決定を下している。そして、マイナー・チェンジでは、決定を覆すことはできないと Google に警告している。さらに、2022年7月に デンマークの DPA は、第三国への無秩序なデータ転送を批判し、同国の自治体の一つであるエルシノアにおいて、Google Workspace/Chromebook の使用禁止を課している。

Update July 23:Google Netherlands Communications Team から BleepingComputer に対して、Chrome/Chrome OS は、オランダの教育分野で禁止されていないとの連絡があった。データ・セキュリティ強化/学生のプライバシー確保などを目的としたアクションを、個々の学校が自ら行うことを条件に、使用を継続することができるとのことだ。

オランダ国内において、Google サービスの継続利用を希望する全ての教育機関は、Google が合意通りに製品をアップデートする 2023年まで、これらの追加のデータ保護措置を実施することを期待している。

Note:この記事の本文とタイトルが更新されたが、オランダの教育省が教育を目的とした ChromeOS とChrome ブラウザ使用を、禁止していないことが明確になった。

この記事は、ポストされて直ぐにアップデートされたようですが、オランダの当局と Google の間で何らかの交渉があったのでしょう。Chrome OS を教育分野に展開したい Google ですが、Chrome における広告展開との間に、つまりユーザー・トラッキングとの間に、矛盾を抱えることになっているようです。Google の業態を考えると、これは致し方ないところですが、もう少し、広告のやり方が抑制されると嬉しいですね。