Mac ユーザーを狙う偽のブラウザ・アップデート:Atomic Stealer というマルウェアが配布される

Atomic Stealer malware strikes macOS via fake browser updates

2023/11/25 BleepingComputer — ClearFake という名の偽ブラウザ・アップデート・キャンペーンが macOS にも拡大し、Atomic Stealer (AMOS) マルウェアによる、Apple コンピュータの標的化が進んでいるという。2023年7月に始まった、Windows ユーザーを標的とする ClearFake キャンペーンは、JavaScript インジェクションを介して侵害したサイト上に、偽の Chrome アップデート・プロンプトを表示するものだ。


2023年10月に Guardio Labs は、Binance Smart Chain コントラクトを活用し、感染チェーンをサポートする悪意のあるスクリプトを、ブロックチェーンに隠すというオペレーションの展開を発見した。

この EtherHiding という手法を用いる運営者が、Windows を標的とて配布したペイロードには、RedLine/Amadey/Lumma などの情報窃取マルウェアが含まれている。

macOS への拡大

2023年11月17日に脅威アナリストの Ankit Anubhav は、ClearFake により侵害されたWeb サイトを訪問する macOS ユーザーに対して、DMG ペイロードをプッシュし始めたことを報告した。

この動きは、今週の初めの Malwarebytes の報告でも確認されており、標準的な Chrome のオーバーレイに加えて Safari アップデートが、ルアーとして用いられているという。

Fake update overlay targeting macOS users
macOS ユーザーを狙う偽のアップデート・オーバーレイ
ソース
Malwarebytes

一連の攻撃で投下されたペイロードは、Telegram チャンネル経由で $1,000/month で販売されている、情報窃取マルウェアの Atomic である。

Atomic stealer disguised as a Safari update
Safari のアップデートを装った Atomic 窃盗プログラム
ソース Malwarebytes

2023年4月に Trellix と Cyble により発見された、Atomic が窃取する情報を列挙すると、ブラウザが保持するパスワード/クッキー/クレジットカードに加えて、ローカルファイル/キーチェーンパスワード/50種類以上の暗号通貨エクステンション・データなどになる。

このキーチェーン・パスワードは、macOS に内蔵されたパスワード・マネージャーであり、WiFi パスワード/Web サイトログイン/クレジットカードデータ/暗号化された情報などを保持しているため、それが侵害されると、被害者に甚大な被害が生じることになる。

Malwarebyte がペイロードの文字列を調査したところ、パスワードなどの機密データを抽出し、文書ファイル/画像/暗号ウォレットファイル/鍵を標的にする、一連のコマンドの存在が判明したという。

String of commands in Atomic's code
Atomicのコードに含まれるコマンドの文字列
ソース Malwarebytes

この、Mac をターゲットにする ClearFake キャンペーンが、Apple ユーザーに喚起する注意点は、Web サイトを訪問する際にブラウザをアップデートするように促す、プロンプトに注意することだ。Atomic の発見と報告から、すでに数ヶ月が経過しているが、VirusTotal に登録されている AV エンジンの約 50% が、このペイロードの検出に失敗している。

さらに言うなら、すべての Safari ブラウザのアップデートは、macOS のソフトウェア・アップデートを通じて行われる。また、他のブラウザの場合はブラウザ自体の中でアップデートが配布される。そのため、Web サイト上でブラウザのアップデートを促されたとしても、無視すべきである。