米国の NSA が Anthropic Mythos を運用:法廷で争うペンタゴンの姿勢と裏腹の展開

NSA Reportedly Using Anthropic’s Mythos Despite Pentagon Blacklist

2026/04/20 CyberSecurityNews — 米国の国家安全保障局 (NSA:National Security Agency) が、Anthropic の高度 AI モデル Mythos Preview を導入していると報じられている。その一方で、国防総省 (DoD:Department of Defense) は、Anthropic に対してサプライチェーン・リスク指定 (ブラックリスト) しており、内部における矛盾が浮き彫りとなっている。Anthropic とペンタゴンの対立は、2026年の初頭に遡る。

2025年07月に Anthropic と DoD が締結した $200 million 規模の契約は、大規模な国内監視および完全自律型の兵器における、Claude AI の利用を禁止する明確な制限を設定するものだった。

Anthropic とペンタゴンの対立

この枠組みは 2026年01月まで機能していたが、すべての DoD AI 契約において、合法的なあらゆる用途を許可する文言を義務付けるという、ピート・ヘグセス国防長官が発行したメモにより、Anthropic に対しても安全ガードレールの撤廃が要求された。

これを拒否した Anthropic に対して、2026年02月末にペンタゴンは同社を、国家安全保障上のサプライチェーン・リスクであると指定し、米軍と取引するすべての契約業者およびサプライヤーに対し、Anthropic との商業活動を即時停止するよう指示した。

さらにトランプ大統領は、連邦政府機関に対して Anthropic 技術の利用停止を命じ、既存システムに 6ヶ月という猶予を定めた段階的な廃止期間を設定した。

しかし、この包括的な禁止措置にもかかわらず、2026年04月19日に公開された Axios の報道により、顕著な矛盾が明らかにされた。

DoD 傘下の NSA が、Anthropic の最新高性能 AI モデル Mythos Preview を積極的に使用していることが判明した。

Axios が引用した 2 つの情報源によると、Mythos Preview は NSA 内で広範に利用されており、部門内の他領域にも使用が拡大している。

Anthropic は、攻撃的サイバー能力への懸念を理由に、Mythos へのアクセスを厳格に制限している。現時点において、Mythos は約 40 の組織だけに提供され、そのうち公表されているのは 12 組織のみである。したがって、NSA は非公開対象の組織の一つとされる。この秘密主義と論争の中心には、Mythos の高度な攻撃的サイバー能力がある。

Anthropic 自身も、誤用時におけるサイバー攻撃能力の強化の可能性を認めており、それがアクセス制限の主因となっている。

そのため、NSA による導入は、きわめて重要な現象である。NSA は、米国の主要な信号情報およびサイバー・セキュリティ機関であり、米国サイバー軍 (U.S. Cyber Command) の下で運用されている。英国では NSA のカウンターパートが、AI Security Institute を通じて Mythos にアクセスしているとされ、同盟国の情報機関も同様に導入を進めている可能性がある。

法的対立の継続

2026年03月にサンフランシスコで訴訟に踏み切った Anthropic は、ペンタゴンによるサプライチェーン指定に対して前例のない違法行為と位置付け、ビジネスの自由および適正手続きの侵害を主張している。

この件は係争中であるが、法廷での米軍は Anthropic 技術が国家安全保障上の脅威であると主張する一方で、その内部では同技術を運用している状況にある。

2026年04月17日に Anthropic CEO である Dario Amodei は、政府高官であるスージー・ワイルズやスコット・ベッセントと会談し、Mythos の政府利用/セキュリティプロトコル/他機関への展開計画について協議した。

ペンタゴンが法廷で争う中で、NSA が Mythos を静かに利用している状況が示すのは、米国情報機関における運用上の必要性が、公式の方針を上回っているという実態である。

AI 能力の進展に伴い、制度上の禁止と現場運用の乖離は拡大している。そこで提起される重要な課題は、国家安全保障機関における高度な AI 利用のガバナンス/監督/説明責任である。