Firefox の Rabby を偽装する 13 種類の悪意のアドオン:ウォレットから機密情報を窃取

13 Malicious Rabby Firefox Extensions Steal Wallet Keyrings Before They Are Encrypted

2026/08/20 gbhackers — 大規模な Firefox アドオン・キャンペーンにより、Rabby Wallet を偽装する 13種類の悪意のアドオンが配布され、アプリケーションがウォレットのキーリング・データをローカルで暗号化する前に、そのデータを外部へ流出させている。この活動は、暫定的に “Offside Wallet Theft Factory” という名で追跡されている大規模なオペレーションの一部である。この作戦に関連付けられる 77種類の Firefox エクステンション ID により、クローン化されたコード/再利用されたインフラストラクチャ/欺瞞的な掲載情報/固定されたアドオン ID/バージョンの転用などが実行されている。

このキャンペーンは、遅くとも 2026年3月から活動しており、特定された77種類のエクステンションのうち 40 種類は悪意のあるものであると、Socket は確認している。その一方で、残る 37 種類は、無関係なユーティリティを装う欺瞞的なスポーツ・スコア用シェルだった。

最初に分析されたサンプルに記された Mozilla 署名記録は、3月9日〜8月3日の期間に及び、その活動は 4月と 7月下旬に集中していた。

キーリングを窃取するクラスターは、RABB-Wallet Web3 & EVM/Rabb-Wallet CryptoPortfolio/Rabbit For Desktop などに類似する名称を用いて Rabby を偽装している。複数のサンプルはホモグリフやスペル変更を用いて、認知度の高い Web3 ウォレット・ブランドの外観を維持しながら、目視による確認を回避している。

単純なフィッシング・エクステンションとは異なり、これらのビルドでは、Rabby 由来のウォレット・コードを改変し、その内部に窃取メカニズムを組み込んでいる。正規の Rabby Wallet コードは、ウォレットのキーリングをシリアライズし、生成されたデータを暗号化した後に、ローカルへ保存する。

窃取されたデータは "ping" という JSON フィールドに格納され、"gemachriverdale[.]org""e-wl[.]com" に関連するインフラ上の、個別にハードコードされた Webhook パスへ送信される。

データ収集エンドポイントはポート "9000" 上で平文 HTTP を使用し、繰り返し現れる "/hook/" パス構造を採用している。そのため、防御側はネットワーク・ハンティングで活用するためのインフラ・パターンを取得できる。

この実装は、ウォレットのローカル暗号化による保護を無効化する。シリアライズされたキーリングの状態がデバイス外へ送信された時点で、その後に実施される正規ウォレットによる暗号化/保存プロセスは意味をなさなくなる。

その後に、悪意のエクステンションは通常の永続化フローを継続させ、想定されたウォレットの挙動を維持し、侵害の兆候を隠し続ける。

Representative attack flow for the confirmed malicious extensions
確認された悪意のエクステンションにおける代表的な攻撃フロー
(画像出典:Socket)。

Socket が、いくつかのパッケージを比較した結果、Rabby 由来のサンプル間で広範なコード再利用が確認された。そして、13種類の悪意の亜種が "persistAllKeyrings()" ワークフローを改変し、暗号化ルーチンが実行される前に、攻撃者が制御するインフラへ向けてシリアライズされたキーリング配列を送信していることが確認された。

Socket Threat Research チームは、77種類の Firefox エクステンション ID を追跡している。それらの関連性は、コードの再利用/クローン化されたエクステンション/欺瞞的なマーケットプレイス説明/作成者が選択したアドオン ID パターンおよびドメイン風サフィックス/暗号資産ウォレットの偽装を通じて裏付けられている。

また、8 種類の亜種においては、既知の悪意の参照サンプルと、バイト単位でほぼ一致していることが明らかにされた。主な変更点は "background.js" に集中しており、攻撃者は同一のキーリング窃取ロジックを維持しながら、ハードコードされた流出先エンドポイントを切り替えていた。

13種類の悪意の Rabby Firefox エクステンション

過去の Firefox パッケージ記録で判明したのは、このキャンペーンにおける段階的な展開である。当初、7 種類のエクステンション ID は、バスケットボール/NBA/アメリカン・フットボールのスコア・アプリケーションとして公開されていた。その後のアップデートにより、同じ Firefox ID がキーリングを窃取するウォレット・エクステンションへ転用された。

さらに別の 1 種類は、無害に見えるユーティリティから、同じ Rabby 由来のマルウェア・ファミリーへと移行していた。

The 0KX WEB3 listing was live during our analysis and presented the extension as a cryptocurrency wallet for managing assets
分析時点で 0KX WEB3 の掲載ページは公開されており、資産管理用の暗号資産ウォレットとして、このエクステンションが紹介されていた
(画像出典:Socket)

この履歴において重要なことは、無害に見えるアドオン ID を確立した攻撃者が、その後のアップデートを通じて攻撃用に転用する可能性を示している点にある。

したがって、エクステンションのセキュリティ・レビューでは、現在の名称/ストア上の説明/権限設定だけを評価するのではなく、アップデートの系譜/パッケージの類似性/リモート依存関係/公開者に関連するアーティファクトも評価すべきことが示されている。

より広範なキャンペーンでは、Supabase で制御される 7 種類のフィッシング・ローダー/Cloudflare Workers を介してリカバリー・フレーズまたは秘密鍵を窃取する 15 種類のエクステンション/ハードコードされた C2 インフラストラクチャを使用してクレデンシャルとクリップボード・データを収集する 5 種類のエクステンションも検出されている。

偽造エクステンションの 1 つである 0KX WEB3 は、OKX ウォレットを装いながら、実際にはリモート制御されるフィッシング配信メカニズムとして機能し、ローカルのメモ帳を隠れ蓑として悪用していた。

Socket AI Scanner flags the malicious 3ABBY- Browser Extension and surfaces its broad browser and wildcard host permissions
Socket AI Scanner は、悪意の 3ABBY- Browser Extension を検出し、その広範なブラウザ権限/ワイルドカード・ホスト権限を示している
(画像出典:Socket)

この悪意のオペレーションで使用されたスポーツ・スコア用シェルは、共有された API-Sports クレデンシャルを使用する一方で、VPN アクセス/ダーク・モード/パスワード生成/スクリーンショット/通貨換算などの無関係な機能を宣伝していた。

分析された 37 種類のスポーツ・シェル・ビルドでは、窃取用ペイロードは確認されていない。しかし、その欺瞞的な機能と、後のウォレット・マルウェアへ直接つながるバージョン履歴は、これらが公開パイプラインにおけるステージング用アセットとして機能する可能性を示している。

ユーザーに求められるのは、ウォレット・プロバイダーの公式 Web サイトに掲載されたリンクからのみウォレット・エクステンションを入手し、露出したリカバリー・フレーズ/秘密鍵/ウォレット状態については、恒久的に侵害されたものとして扱うことである。

Mozilla によると、悪意のウォレット・アドオンを特定するために、自動化されたリスク指標と人によるレビューを使用しているという。ただし、ユーザーに推奨されるのは、エクステンションがウォレット・プロバイダーから正式に承認されているかどうかを自身で確認することである。

防御側にとって価値の高いシグナルには、"persistAllKeyrings()" の変更/ポート "9000" へのアウトバウンド平文トラフィック/"/hook/" Webhook パターン/Rabby コードの再利用/ホモグリフを使用したウォレット・ブランド表記/再利用された Firefox ID/ユーティリティやスポーツ・スコア機能からウォレット関連コードへの突然の移行が含まれる。

IOC
Firefox Extension IDObserved Display NameVersionSHA-256
bliss-heaven@webbrol.comSafe-Themes – Browser Extension8.12.1308b7b064fa9a41b06774315d944ffddff705ab727222a0c3bcac64a77553bf2f
bold-page-vault@addonslab.examplePortal7.9.174d0912d575087dab5f468214a2fd259bc386472a8b2b93b6e2441cde4bd941cb
bright-save-feed@tabtools.orgRabbit For Desktop8.20.1026427220b9965e22deca0e617657c2c65b78f750183355d1265c147818367bd7

注:IP アドレスおよびドメインは、偶発的な名前解決やハイパーリンク化を防止するため、意図的にデファングされている (例:"[.]")。リファングは、MISP/VirusTotal/SIEM など、制御された脅威インテリジェンス・プラットフォーム内でのみ実施すること。