Google の AI Security Agent AVDH:2 日間で 100 件超の深刻な欠陥を発見

Google’s AI security agents found 100+ critical software vulnerabilities in just two days

2026/08/20 HelpNetSecurity — Google の Mandiant が公開したのは、ソース・コード内の脆弱性を探索するために、AI エージェントを連鎖させる社内ツールの仕組みである。同社によると、盗まれた企業リポジトリを対象とした実際の調査において、わずか 2 日間で 100 件を超える検証済みの深刻度 High の欠陥を発見したという。Agentic Vulnerability Discovery Harness (AVDH) と呼ばれるツールは、Mandiant の社内で 10 カ月間にわたって運用されている。Google Threat Intelligence Group が公開したブログ投稿によると、その間に数千万行のコードをスキャンし、数万件の調査結果を生成した。

Mandiant の研究者 Alex Tselevich/Michael Maturi によると、このツールは、広く使用される Web エクステンションやオープンソース・プロジェクトから、CVE を割り当て可能な数十件の欠陥を発見した。その結果、Drupal の CVE-2026-13242CVE-2026-55803 といった 12件の CVE が割り当てられ、さらに 12件が情報開示の手続き中であるという。

パイプラインの仕組み

Mandiant の AVDH は、Google Agent Development Kit 上に構築された専門エージェントとして動作し、それにより、各エージェントの出力が次のエージェントへと受け渡される。各段階は以下のとおりである:

  • 脅威モデリング:エージェントはコードベースをマッピングし、ソフトウェアの種類を特定した上で、テスト・ディレクトリなどの、スキャン対象から除外する部分を指定する。その後の処理へ進む前に、人間が生成された脅威モデルをレビューする。
  • エントリ・ポイントの発見:エージェントは対象範囲内の全ファイルをスキャンし、Web ルートからプロセス間通信のリスナーに至るまで、ユーザー入力がアプリケーションに渡される場所を特定する。
  • コンテキストの拡充:エージェントは各エントリ・ポイントに分散した関連コードを集約し、通常であればレビュー担当者が手作業で追跡する必要がある、権限チェックや入力サニタイザーなどを実施する。
  • 仮説の生成:個別のエージェントが、認可の欠如/権限昇格/Cross-Site Request Forgery (CSRF) などのアクセス制御上の問題を探索する。また、SQL インジェクション/Cross-Site Scripting (XSS)/コマンド・インジェクション/パス・トラバーサルにつながる、危険なデータ・フローも探索する。
  • 仮説の検証:複数のエージェントを意図的に高い “Temperature (温度)” 設定で実行し、生成される推論の幅を広げながら各仮説を評価する。その後に各仮説は、統合エージェントにより確認済み/反証済み/却下済みに分類される。

確認済みの調査結果であっても、正式な結果として扱われる前に、すべてが人間に引き渡される。Mandiant のコンサルタントは、エクスプロイトの再現/PoC コードの実行/欠陥の実在などを確認し、見落とされた制御により悪用が阻止されないことも確認する。このテストを通過しない調査結果は破棄される。

Human-in-the-loop handover diagram
Human-in-the-loop の引き渡し図 (出典:Google)

Mandiant の研究者 Alex Tselevich/Michael Maturi は、「同様の脆弱性発見ハーネスの導入を検討している、ネットワーク防御側に推奨するのは、調査結果を手動で検証することである」と述べている。

誤検知の削減

以前から、自動コード・スキャナーにはノイズが多いという評価がある。つまり、机上では妥当に見えるが、人間が確認すると成立しない調査結果が含まれるという問題である。AVDH は、既知のバグに類似するコード・パターンに対して単純にフラグを付けるのではなく、エージェント同士で互いの結論を検証し、Mandiant のコンサルタントが作成したルールと照合することで、この問題に対処するよう構築されている。

これらのルールはソフトウェア・ドメインごとに整理され、その後に、言語/フレームワーク/脆弱性タイプの 3 グループへと分割される。そのため、異なるコードベースをツールで分析する場合であっても、知識の再利用が可能となる。

Mandiant は自社ツールのパフォーマンスを評価するため、公開されている脆弱性データセットへ依存せず、意図的に脆弱にした合成コードベースのセットを構築した。それぞれの時点におけるモデルが、トレーニング中に公開データセットをすでに目にしている可能性がある。そのような状況では、脆弱性について推論しているのではなく、記憶から回答を呼び出しているだけかもしれないという懸念があるためである。

Mandiant は、「ソフトウェア開発パイプラインの保護は、現代のエンタープライズ防御を特徴付ける課題として浮上している」と指摘している。

さらに研究者は、「こうした新たな脅威に対抗するためには、コード・パイプラインの保護を、現代の防御戦略における重要な要素にする必要がある。手作業によるソース・コード・レビューでは AI の速度に追随できず、従来のスキャン・エンジンでは、最新のソフトウェアに潜む広範な脆弱性を見落とし続ける」と述べている。

彼らは、「このハーネスの成功は、敵対的 AI に対する優位性を、防御側が取り戻せることを証明している。専門家が定義したハーネス内に、フロンティア・モデルを組み込むことで、防御側は一般的な脆弱性の発見を自動化できる」と結論付けている。