NordVPN の Meshnet が無償で開放:誰もが簡単にプライベート・トンネルを作れる時代に

NordVPN makes its Meshnet private tunnel free for everyone

2023/03/13 BleepingComputer — NordVPN を契約していないユーザーであっても、プライベート・トンネル機能 Meshnet の Windows/macOS/Linux バージョンを、無料で利用できるようになった。2022年6月に NordVPN が、Meshnet の提供を開始したときは有償版だった。この製品を使えば、ネットワーク・トラフィックを受け渡すための、信頼できるデバイス間でのプライベートな暗号化トンネルが作成され、本質的に自分自身の VPN (仮想プライベート・ネットワーク) サーバが得られる。


Meshnet を使えば、たとえば休暇中に、スマートフォンから自宅のパソコンを経由してネットワーク・トラフィックを転送し、いつもの場所からブラウジングしているように見せかけることが可能となる。また、Meshnet アプリを使用している友人の Mesh に招待されている限り、そのユーザーのトラフィックは、友人のコンピュータの安全なトンネルを通過することになる。

NordVPN's Meshnet client app
NordVPN’s Meshnet client app
Source: BleepingComputer

この機能は、ユーザーが地理的に制限されたプラットフォームにアクセスする場合や、安全ではない WiFi アクセスポイントを使用する場合に、ユーザーのデータを保護することになる。

さらに便利なのは、Meshnet のプライベート・トンネル機能を使うことで、外出中/出張中/休暇中であっても、ファイアウォールのポートを開くことなく、オフィスや自宅にいるかのように、内部のデバイスにアクセスすることが可能になる。

たとえば、Windows のリモート・デスクトップ機能は、自宅やオフィスから離れた場所にあるコンピュータにアクセスする際に便利である。しかし、リモート・デスクトップはランサムウェア攻撃に悪用されることが多いため、インターネットに公開すべきものではない。しかし、ホームユーザーの場合には、専用の VPN を導入することは必ずしも容易ではない。

しかし、Meshnet を使えば、リモート・デスクトップ PC とノート PC の双方に NordVPN ソフトウェアをインストールし、同じ Mesh の一部になるように設定することが可能となる。そして、MeshNet により RDP サーバに割り当てられた IP アドレスにノート PC から 接続し、あたかもネットワーク内にいるかのように、リモート・デスクトップ・コンピュータにアクセスできる。

今日は BleepingComputer でも、この機能を行うためのテストが行われたが、上手く機能し、セットアップも簡単だった。

MeshNet は、仕事だけではなく、ゲームにも役立つ。友人を Mesh に招待すれば、物理的な距離に関係なく、また、ファイアウォールのポートを開くことなく、内部のプライベート・ゲーム・サーバにアクセスできる。

Meshnet 上の全ユーザーは、自分のネットワークへの他者からのアクセスを制限でき、完璧とは言えなくとも、共有リソースを適切に制御できる。さらに、NordVPN を使いやすくするためには、アクセス可能な特定の IP アドレス/ポート/帯域幅制限などに、きめ細かいセキュリティ権限を追加すれ良いだろう。

Connectivity customization options
Connectivity customization options (BleepingComputer)

そして、今日のことだが、NordVPN は、このシステムを誰もが無料で利用できるようにした。それと同時に、透明性を高めるために、Linux クライアントをオープンソース化することを発表した。

この展開に合わせて、NordVPN のエンジニアたちは Meshnet に新機能を導入し、ユーザーがサイズ無制限のファイルを、友人たちと安全に共有できるようにした。

また、ファイルの転送に際しては、両方のユーザーが同意する必要があるため、不要な悪意のあるファイル転送のリスクは、最小限に抑えることが可能な仕組みになっている。ファイルの共有に使われるライブラリ Libdrop と、ネットワーク通信に使われるライブラリ Libtelio も、オープンソース化された。

NordVPN の利益にかなうのだろうか?

NordVPN は、セキュリティにおいてほぼ完璧と言っても過言でない。最大級の VPN サービス・プロバイダーである。だたし、そうであっても、自身のネットワーク・データを民間企業に託すのは難しいと、感じる人はいるかもしれない。提供される製品が無料である場合には、そのような懸念が大きくなるが、NordVPN は、Meshnet のユーザーからは利益を求めないと断言している。

同社がプレスリリースで説明しているように、Meshnet の運用は安価であり、同社の巨大なグローバル・インフラ (59カ国にある5,000台のサーバ) のごく一部を使用するに過ぎない。したがって、誰もが利用できるようになったとしても、NordVPN にとって目立った経済的負担は生じないという。

NordVPN は、「より多くの人々に開放しても、新しいシステムの開発は、今以上の投資は不要だ」と述べている。

それ同時に、この NordVPN の動きは、自社製品のサブスクリプション購入の有無に関係なく、すべてのユーザーにとって、インターネットが安全な場所になるよう支援するという、同社のコアバリューと一致するとしている。

NordVPN からの素晴らしいプレゼントですね。2023/03/08 の「Google One の新機能:VPN アクセス/Dark Web レポートでセキュリティを強化」では、月額 $1.99 からのベーシック・プランでも VPN が使えるようになると報じられていました。NordVPN にしろ、Google にしろ、こういうサービスを手軽に利用させてくれる姿勢に拍手です。

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