Google が Chrome Manifest V3 のテスト開始を発表:2023年6月に V2 は 消滅

Google to test disabling Chrome Manifest V2 extensions in June 2023

2022/09/28 BleepingComputer — Google は、Chrome Manifest V2 エクステンションのサポート終了に関する詳細を発表し、より多くの開発者にManifest V3 への移行を促している。Chrome チームからのアップデートによると、2023年6月に Manifest V2 を段階的に廃止しながら、スムーズなエンドユーザー・エクスペリエンスを確保しながら、慎重かつ実験的なステップで進めていくとのことだ。

この間において Google は、エクステンション機能の開発者に対して、新しいプロトコルに関するガイダンスと情報を提供し、それをサポートするバージョンの展開を、ユーザーが支障をきたすことなく進める、最適な方法をサポートするという。

マニフェスト V3 の概要

Google は 2019年に、ユーザーデータのセキュリティとプライバシーを向上させるために、より厳しいルールを導入する Chrome エクステンションのための新しい許可/機能のフレームワークとして、Manifest V3 を発表している。

Manifest V3 では、以下のことを実現したいと考えているという。

  • エクステンション機能のアクセスをユーザーのネットワーク・リクエストに限定する。
  • 開発者は、すべての機能をエクステンション内に収めることを強制され、コードをリモートでホスティングする慣習を終わらせる。
  • ネットワーク・リクエストの変更をエクステンションからブラウザに移行する。
  • ブラウザのパフォーマンスを向上させるために、バックグラウンド・ページを専用のサービス・ワーカーに置き換える。

これはポジティブなことではあるが、エクステンションの開発者にとっては、ツールへの機能の実装方法が大きく変化するため、必然的に技術的な課題が発生することになる。

つまり、アド・ブロックのような、ブラウザの機能に対して、積極的に働きかけるエクステンションで特に顕著であり、Manifest V3 で同レベルの機能を提供する方法を見つけ出すことに、開発者たちは苦労しているようだ。

ロールアウト・タイムライン

Google は 2019年11月に、Chrome 80 Canary ビルドで Manifest V3 のテストを開始し、その後の Chrome 88 のでは製品ビルドに一部を導入している。 2022年1月に、Chrome Web Store は、Manifest V2 ベースで構築された、新しいエクステンションの受け入れを停止した。

Google が1年前に発表した、当初のロールアウト・タイムラインによると、Manifest V2に基づいて構築された全てのエクステンションは、2023年1月から Chrome ブラウザで動作しなくなる。

そして、今日のアップデートでは、Manifest V3 のロールアウト (および Manifest V2 の段階的廃止) に関する詳細な情報が提供され、次のマイルストーンが追加された。

  • 2023年1月:Chrome 112 のリリースに伴い、Chrome は Canary/Dev/Beta チャネルにおいて、Manifest V2 エクステンションのサポートを停止する実験を実施する可能性がある。
  • 2023年6月:Chrome 115 のリリースに伴い、Stable チャネルを含む全てのチャネルにおいて、Manifest V2 エクステンションのサポートを停止する実験を行う可能性がある。

このアップデートに基づき、Manifest V2 のサポート解除の期限は、2023年1月から6月へと、5カ月間ほど延期された。企業向けには、Manifest V2 のサポートが 2024年1月まで延長され、より煩雑な事業者が変化に適応するための時間が与えられる。

さらに、Chrome Web Store に関しては、次のようなマイルストーンが説明されている。

  • 2023年1月:Manifest V3 の使用が Featured バッジの必須条件となる。
  • 2023年6月:Chrome Web Store では、可視性を公開に設定して Manifest V2 アイテムを公開できなくなる。 その時点で可視性が公開に設定されている Manifest V2 アイテムは、可視性が非公開に変更される。
  • 2024年1月:Manifest V2 エンタープライズ・ポリシーの期限が切れた後に、Chrome Web Store は、すべての Manifest V2 アイテムをストアから削除する予定だ。

その一方で、Chrome チームは、エクステンション開発者と協力して、新しい API を導入し、プラットフォームの機能を改善し続けることを約束するという。Manifest V3 移行に関連する事項について、議論に参加したい開発者は、chromium-extensions Google Group に投稿することが推奨される。

アド・ブロッカーが最も大きな障害に直面している

Google Chrome のアド・ブロッカーの開発者は、多くのエクステンションが必要とする機能を API がサポートしていないため、Manifest V3 への移行において最も大きな障害に直面している。

2021年12月に uBlock Origin 開発者である Raymond Hill は「declarativeNetRequest (“DNR”) API がコンテンツ・ブロッカーのイノベーションの障害になっている事例だ。現時点で、この機能をデフォルトのフィルター・セットで使用しているケースは 420以上に達している。フィルター・リストのメンテナ にとって、明らかに有益なものであるが、それらは DNR ベースのブロッカーでは存在しなくなる」と説明している。

これらの制限の一部は克服されたが、Manifest V3 上でのアド・ブロッカーは、依然として機能の低下という欠陥に悩まされている。

たとえば、8月に AdGuard は、自社のアド・ブロッカーを Manifest V3 に移植したと発表したが、問題がないわけではないと述べている。

AdGuard は、「実験的なエクステンションは、以前ほど効果的なものではないが、大半のユーザーにとって、違いは感じられないだろう。唯一、コスメティックス・ルールの適用にラグがあるため、広告で生じるちらつきが気になるかもしれない」と述べている。

この件については、2022年8月31日の「Google Manifest V3 対応:広告ブロック・エクステンション AdGuard が実験を開始」で、すでにお伝えしています。その時の記事は、アド・ブロックにフォーカスして、Manifest V3 対応でのハードルの高さが上がることを解説していました。また、8月30日の「Chrome に潜む悪意のエクステンション:140万人のユーザーから情報を盗み出す」には、それでも Manifest V3 が必要だと分かる、インシデントについて解説されています。よろしければ、Extension で検索も、ご利用ください。

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